炬燵布団を捨てる

起きぬけに、布団を粗大ゴミに出した。
まいんち断捨離街道をひた走るカミさん。
前の家で使った炬燵掛けともお別れだ(今のマンションには炬燵がない)。
あれが子供たちや亡母との最後の炬燵団欒だった。
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(今年初めて見た霜柱)

あの炬燵は無理すれば8人くらいは当たれる大きさで、中古の家に引っ越して、夏はそのまま椅子に座れるような掘り炬燵を見たときは「すげえな」と嬉しかった。
でも、炬燵ってやつは足を伸ばして寝ころがって入るものだ(僕にとっては)。
掘り炬燵はお行儀よく腰掛けなければならない。
寝ころがって本を読む僕は寝室のベッドに避難してたな。

炬燵といえば、やはり子供のころの炬燵をめぐる様々な情景が懐かしさを通り越して哀切な感傷を催す。
炭や炭団の火を維持するのに苦労したことは前に書いた。
弟と首まで入って、どっちが人の領分にまではみ出しているかとしょっちゅう喧嘩になった。
「そのまま動くな」と布団を持ち上げて相手の侵犯の実態を証明しようとしてもスキをみて尻や足を引っ込めるから証拠がつかめない。
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(今日は、久しぶりにサンチが散歩にカムバック、やはり朝これをやらないとこっちも調子が狂うわい)

母は晩飯の後、よく近所の仲良しおばさんを誘って炬燵茶会をした(お互いに呼んだり呼ばれたり、押しかけたり押しかけられたり)。
野沢菜漬け、朝鮮漬け、あとは煎餅とか飴があったかな。
あの小さな炬燵に大人が3人くらい、それに弟と僕が入る。
ケラケラ笑っていたことが記憶に残っているが、もしかすると苦労話などして涙もあったのかもしれない。
僕たちはたいてい腹ばいになって本などを読んでいた。

週刊誌がブームになるころで、週刊文春だったかがクロスワードパズルをして賞金が10万とかなんだとか、色めき立ってみんなでああでもないこうでもないと楽しんでいた。
いつだったか、「蟻が二匹」というようなヒントを耳が拾って「アリバイ」じゃないかとお節介をして褒められたことが妙に忘れられない。
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居間に炬燵と火鉢(のちに石油ストーブ)それだけが暖房。
ふすまの向こうの4畳半は火の気なし、嫌でも応でも炬燵に集まって来ざるを得ない。
お尻とお尻が当たって伸ばした足がコンがらがって、うるさいようでも温かい。
狭い・寒いけれど、あたたかな暮しだった。
子供が雪に濡れた足袋とか汚れた靴下を脱がずに入ったり、誰かがオナラをすると臭いのには閉口した、閉口して「足袋脱ぎなさい!」と叱られ、オナラには大笑いだったけれど。
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(これはゆうべ、一人の散歩)

それにしても、いまさらでもないが、日本のメデイアはアキレタメダカ。
相撲のニュースの1000分の一でも与党予算案の問題点を取り上げても罰は当たらねえ、と思うのだが。
Commented by koro49 at 2017-12-21 15:49
我が家は豆炭コタツを使っていました。
寒くて狭い住宅で、雪まみれで帰った子供たちは、顔だけ出してコタツに寝そべっていました。
で、やはり足が邪魔だと、兄妹ケンカをしてましたっけ^^;
コタツ布団は処分し、その上に掛けたキルトは、私の初期作品。
昨年一度捨てようと思ったけど、畳んだら私の部屋の座布団代わりになると、結局捨てませんでした。
捨てるのは簡単だし、置き場所はあったので。
その内、全て処分の時が来ますもんね。
Commented by jarippe at 2017-12-21 16:19
コタツのまつわるいろんなお話
みんなそうそう そうだったー・・・・って
団欒のイメージが強いですね その上にはミカンがあって
昔の家はガランとしていて風通しも良く今思えば
よくあの家で暮らしていたものだと思います
囲炉裏の周りにも集まりましたねー

年収800万が中間層と聞き嫌になります
その半分にも満たないのに我が娘たちは何なんだろう。。。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-12-21 18:37
コタツ、
使わなくなりましたね。
学生のときは唯一の暖房器具でした。
長野では、
コタツだけでは寒さはしのげず、
ストーブが主流です。
Commented by cocomerita at 2017-12-21 18:54
Ciao saheiziさん
子供の頃の話をすると 本当にきりがなくどんどん湧き出てきますね
特に年末になるとやけに昔を思い出すにはなぜかなあと思っていました
先日も弟とメールでその話をしたばかり、そしてそこにはいつも母の姿があるのです

昨日からぐっと気温が下がって 猫たちには湯たんぽを用意しました
湯たんぽがあると彼たちも朝までぐっすりです
さんちにもいれてあげたらどうでしょうか?
私は小さなペットボトルにお湯を入れてそれを靴下の中に入れて、彼らの掛け布団の横に包んであげます
血行も良くなるし、動物たちの健康にも血行は大事ですから
そう言う私は湯たんぽ愛好 ほぼ20年以上
よそでお泊まりの時も持って行くほどです
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-21 22:39
> koro49さん、そのキルトは捨てない方がいいです。
壁に飾ったらどうですか。
初期作品だからこそ。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-21 22:43
> jarippeさん、新しい貧困が生まれつつありますね。
私たちは貧しくとも貧困だとは思わなかったし、この先はよくなるという漠然としてはいても希望がありましたね。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-21 22:45
> j-garden-hirasatoさん、火鉢から石油ストーブになったのが中学生のころでした。
嬉しかったなあ、電気炬燵になったのも。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-21 22:47
> cocomeritaさん、サンチは私の布団の上で気持ちよさそうに寝ているかと思うと、カミさんが休むときはそっちの布団の中に入っていきます。
猫犬です。
子供のころは湯たんぽのお湯で顔を洗ったのでした。
Commented by hanamomo08 at 2017-12-21 22:55
おばんです。懐かしの炬燵布団とお別れしたのですね。
思い出がなくなるわけでもないけど、寂しい気持ちわかります。
せめて記念撮影でも!
炬燵の思い出懐かしいな~。
暮れになって父の兄弟が来ると炬燵に7~8人は入っていました。
8角形の炬燵だったら良かったのにと従姉妹のTちゃんが言ったのを覚えています。
私が寝るとき使っていたのは『品川あんか』
母がアップリケしたあんか袋を縫ってくれ、それに入れていました。
今の家に比べると寒かったな~と思います。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-21 23:10
> hanamomo08さん、八角形の炬燵、売れるか、、無理かな今や。
丸いのはありそうですね。
私は湯たんぽでした。
朝そのお湯で顔を洗うのでした。
ああ、懐かしいなあ。
Commented by haru_rara at 2017-12-22 05:15
炬燵、と聞くだけで様々な思い出がよみがえってきます。
ファンヒーターじゃ物語は生まれないなあ^^

こちらでは大抵の家で、ヒーターと炬燵はセットです。
ヒーターの送風口に太いじゃばらのパイプを近づけ、ぐいと伸ばして炬燵に入れるのです。
炬燵の中はヒーターの温風であったか。部屋もあったか。

炬燵って、やっぱりごろんと横になれるのが醍醐味ですね。
あれは私をダメにしますが(笑
Commented by ikuohasegawa at 2017-12-22 05:42
掘りごたつの中に入り首を布団から出してり本を読んでいました。「気を付けないと火傷するよ」っていう母の声を思い出しました。
気のせいかなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-22 09:33
> haru_raraさん、雪の降る日は楽しいペチカじゃなくて、炬燵ですね。
ヒーターと炬燵の関係、はじめて知りました。
私は家長^^。の時代は大きな座椅子を独占していましたが、それも長い時間になると外して寝ころがっていたなア。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-22 09:41
> ikuohasegawaさん、あの独特のヌクヌク感、体が小さいからこその天国だった。
Commented by 平名 at 2017-12-22 10:12 x
 昔、弟が炬燵で一酸化炭素中毒に成り気を失った事を思い出しました。 本人は記憶にもなく元気です。 
 頭から潜っちゃ駄目!ってきつく言われました。 いつの間にか電気炬燵も消えてストーブに、、 あの温かさは懐かしい。 
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-22 10:41
平名さん、そうそうありましたね、中毒。
炭の匂いも懐かしいです。
Commented at 2017-12-22 12:35 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-22 13:04
鍵コメさん、ありがとう。
やってみますね。
Commented by kanafr at 2017-12-23 13:38
saheiziさんにとっては、思い出の沢山詰まった炬燵だったんですね。
断捨離は、我が家でも続行中ですが、思い出多き品物を捨てるのは、なかなか勇気がいります、私の場合ですが...。
我が家は、以前帰国する方から譲り受けた炬燵があります。
「フランスで炬燵?ゼイタクね」って言われた事がありましたが、ゼイタクもなく、どういう訳か真冬の一番寒く、修理の人も休んだり連絡がつかない週末に限って暖房が止まるので、その悲劇対策です(苦笑)
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-23 22:27
> kanafrさん、それもまた人生の大事な記憶になりますね。
Commented by sheri-sheri at 2017-12-26 19:12
メディア・・まっったくです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-12-26 23:41
> sheri-sheriさん、やってる人たち自身が嫌にならないのかと呆れます。
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by saheizi-inokori | 2017-12-21 11:28 | よしなしごと | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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