それにつけても喜多八 小満ん夜会

天気予報が急変して今日は雨、昨日迷ったけれど、エイヤっとシーツやマットなどを洗ってよかった。
今朝もルンバちゃんはオオはりきり、机の下やキッチンの隅々を健気に動き回る。
僕が洗濯物を干し(このところ乾燥するから時間がかかる)、ストレッチも半分ほど終わるころ、ああ疲れた、とデッキに帰っていくその姿が可愛い。
ひっくり返して、掃除ブラシのゴミをとってやる。
機械の手入れだと思うと面倒くさいが、サンチにブラッシングしてるような気持で楽しくさえある。
サンチが手元を覗き込んで「何やってるの?」。

雨が来る前にと、「サンチ、お散歩行くか」というと、尻尾を振り振りクルクル回ってインデイアンダンス、ぼくの身支度する間踊り続ける。
お前は「石橋」の獅子じゃあないんだ。
あらまあ!外に出ると降り出した。
せっかくだからと少し歩いてみたけれど激しくなるばかり、引きかえそう、、綱を引っ張って抵抗する。
でも、こっちが風邪ひいちゃうからね、というとやっとしぶしぶ戻ったけれど、昇りのエレベーターの中でドアのほうを向いて折あらば外に出たい気持ちありあり。
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一昨日は人形町で「小満ん夜会」、これも夏の浅草で買った切符だ。
どういう状況になっているか、わからないなりに励みのような気持ちで買ったのだ。

一花「黄金の大黒」
かわいい顔してかわいい声でかわいい江戸弁、長屋の衆が聴いたらくすぐったがるかも。
小満んの会の客にしてはよく笑う。
落語だと思わなければいいのだ、孫娘の余興だと思えば大笑い。
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小満ん「心眼」
この後、鯉昇さんが大いに笑わせてくれますから、私の方はと言って、
盲人の夢姿を見ず つんぼの夢声を聞かず
私にも盲人の友だちが何人かありますが、気の強い人がいますね、とその友人のエピソードを披露。
ふと宮城道雄のことを書いている百閒随筆を思い出した。

横浜で弟に辱められて帰ってきた盲人・梅喜が女房にやさしく問い詰められて、堪えていた気持ちが爆発、悔し泣きをしながら語る。
膝に置いた右手が小刻みに揺れる。

満願の日に効験現れず悲しむときに「いっそのこと殺しちゃってください」という。
多くの噺家が、薬師様に食ってかかってお賽銭を返せなどというところだ。

芸者の小春と上がった座敷が「藤横丁」にあるという、ひょっとすると「初音小路」にあったのか。
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夏に歩いた所なのかな。

夢のなかで人三化七という女房の顔を見て?しまった梅喜は、盲人であることに幸いを感じて幸せに生きていけたらいいな。

鯉昇「粗忽長屋」

行き倒れの男は「20年前の親父だ」、生きてる今の親父もお袋も大家さんも長屋の衆も、それを納得して、勢ぞろいで雷門の現場に取って返す。
当の親父が死体を抱き起す。
元祖「粗忽長屋」をさらに鯉のぼり的に飛躍させて、さらに大爆笑。
このバージョン、聴いたことがある。
今調べたら、これだ。
4年前の夏、喜多八、扇遊との「落語睦会」だった。
去年死んだ喜多八もどこかで生きていないか。
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(人形町は落語会の始まる前の散歩が愉しい・小網神社)

小満ん「胴乱の幸助」

隠居して、金はあっても(イイネ)これと言って趣味のない人(カワイソー)、喧嘩の仲裁を趣味にした。
待ったマッタ、その喧嘩、この俺に任せろ。
手打ちに酒を飲ませていい気分。
いつも喧嘩を探している。
それを逆手に取って喧嘩のふりをして酒をたかる二人組の話で笑わせて、

幸助が喧嘩を探していると、浄瑠璃の稽古で『桂川連理柵」・「お半長兵衛、嫁いじめ」、ほんとの親子喧嘩かと思って仲裁に入ると「京都のことだ」といわれ、各駅停車神戸行に乗って京都に向かう。
元は上方噺なので大阪から船で行くところだ。

小満んは自分でも京都に行って、あちこち尋ねてみたという。
さすがにキマリが悪くて帯屋には入らなかったと、その顔がいい。

二人は心中してしまったと聞き、しまった「急行でくればよかった」。
上方版では「汽車でくればよかった」。
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(小網神社。銭洗い弁天、先にお賽銭でコインを遣ってしまった)。

Commented by 平名 at 2017-10-25 11:44 x
 石橋か、、懐かしいなぁ 初めて待兼山へ 
それから同級生と力士も、、 近く変な犯罪者も出たが、、
 石橋の獅子は未だ佳く判りませんが、
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-25 20:51
平名さん、待兼山、江戸版だとさしずめ向ヶ丘でしょうか。
「石橋」は能の曲名、獅子が舞うのです。
たまさか待兼山の近くにもある地名でしたね。
Commented by maru33340 at 2017-10-25 20:52
喜多八さん、亡くなったのですよね。
まだ信じられない気持ちでいっぱいです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-25 20:55
> maru33340さん、ほんとに残念です。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-10-26 06:47
浅草の寄席で聞く落語、
どこかのホールで聞くのとは、
また違った雰囲気なんでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2017-10-26 09:17
> j-garden-hirasatoさん、ホール落語は好きな噺家がたっぷり語り、寄席は多くの噺家が比較的短い時間で次々に語ります。
寄席は「よせあつまり」の楽しさ、そのなかでも浅草は一番多くの噺家が出てきて、ざわざわしている、それが好きな人も多いです。
団体客が多いのも浅草、はじめて生の落語を聴くような人も多いなあ。
Commented by ikuohasegawa at 2017-10-28 10:03
私は「隠居して、金はなくても(カワイソー)趣味のある人(イイネ)・・・」ですから、良かったです。

Commented by saheizi-inokori at 2017-10-28 11:14
> ikuohasegawaさん、そうです!理想的です。
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by saheizi-inokori | 2017-10-25 10:53 | 能・芝居・音楽 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori