ナサニエル・ホーソンには落語が似あう 第141回柳家小満んの会

関内ホールの「小満んの会」には早めに出て港の見える丘公園辺りを歩いて銭湯に入る習わしだ。
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きのうは山手のお屋敷通りをワシン坂の先まで歩いた。
別天地だけれど住みたいとは思わない。
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左は韓国総領事館、こういう細い坂道を降りるのも大変、戻ってくるのも大変、観ているのが一番だ。
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由緒ありそうな教会も近寄ってみるとブライダルの宣伝、べつに悪くはないけれど。
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崖の下は親しみやすい普通の住宅地、そこで初めての銭湯、ちょっと贅沢をして870円払ってロイヤルコースに行くとサウナと露天風呂がある。
露天風呂から見た白い羊雲と飛行機雲、刺青のお兄さんも上を見ていた、故郷のことでも考えていたのか。
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バス停「千代崎町」から市庁舎前まで行って、今夜の居残り会の場所と予約の確認、5人だし落語会終了後なのでウロウロ探すわけにはいかない。
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前座はきいち「芋俵」、ヘンにすれていて前途多難か。

小満ん「渡しの犬」

なんと、ナサニエル・ホーソンの短編「デヴィット・スワン」を小満んが原文を読んで江戸時代の噺に翻案した。
若者が江戸への旅すがら矢切の渡しで舟を待つ間、木陰でつかの間のまどろみを取る間に、婿養子になりそうになったり、美しい娘と結ばれそうになったり、強盗に殺されそうになったり、、わずかな偶然でそういう成り行きを回避するのだが、当人は何も知らずにスヤスヤ。

成り行きを語り、「そうはならなかったのです、プレイバック」といっては現実の出来事、たとえば第三者が飛び込んできたりする、があって若者のまどろみが続くことを語る。
何年か前に「ラン・ローラ・ラン」というドイツ映画で、ローラが何かをするのに何度かプレイバック、やり直しをするというのを見たことを思い出した。

ぼくの人生も自分が気がついていないだけで、様々な偶然の出来事の影響で大きく針路が変わっているのかもしれない。
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小満ん「酢豆腐」

さいきんは、上方版の「ちりとてちん」として演じられることが多い。
しかしあの噺とこれとは「腐った豆腐を知ったかぶり・嫌味な男に食わせる」という点は共通だけれど、噺の眼目はずいぶん違う。
「酢豆腐」で生き生きと描出される若い江戸っ子たちの昼下がりの酒盛り準備の楽しさ、そこで交わされる地口をふんだんに含んだやり取りの妙は、当然(上方版だから)「チリトテチン」にはない。
先代文楽の十八番、その味を弟子の小満んだからこそ、、ワクワクしながら聴いていた。
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小満ん「九州吹き戻し」

クイッパグレて肥後熊本まで落ちてきた幇間が、かつて江戸で贔屓にしてくれた旦那が営む旅館に拾われて、そこは江戸の経験がものをいい、四年も働いてもらった客のチップを数えてみたら百両にもなっている。
旦那はもうひと踏ん張り頑張って二百両貯めたら、自分の旅館をもって妻帯も出来るぞと励ますのだが、百両を目の当たりにしたら急に江戸に帰りたくなった。
船で帰れば早いと便乗させてもらうが嵐に遭遇、薩摩まで吹き戻された。
貯めた百両と餞別の二十両、あわせて百二十両分、百二十里吹き戻された。

と、筋だけ書いても面白くもなんともない。
男の気持ちの変化、熊本と江戸の違い、とくに最後の遭難のシーン。
大きな噺を迫力をもって語る力量が求められる。
そういう点では雲助に分があるかもしれない。
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今夜は居残り会に新メンバー・ドレミさんが参加、生の落語を始めて聴くという。
小満んは通好み、人によっては毛嫌いもする芸風、しかも今日のネタもありきたりのものじゃない、はてさて入門者にはどうかと案じたが、面白いと感じたようで、一安心。
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恒例の「団欒」が休店のため「鳥伊勢」をKさんに教えてもらって5人、そのうち二人がベイスターズの猛烈ファン、話題は落語と野球の間を行きつ戻りつ、楽しい酒だった。

次回から会場が吉野町市民ホールになる。
居残り会会場を探さなきゃ。

Commented by kogotokoubei at 2017-09-20 12:13
う~ん、行けなくて、グヤジィー!
次回から吉野町ですね。
休みをとってでも行かなきゃ。
ドレミさんが初落語で小満んを楽しめたというのは、凄い。
あの二人では、居残り会の話題、野球7、落語2、その他1、という感じでしょうか^^
Commented by テイク25 at 2017-09-20 14:21 x
毎回毎回楽しそぉですね、居残り会。食べて飲んで喋る、ましてや落語を聞いて笑った後とあっては、もうみなさんの笑顔や笑い声が見えるような聞こえるような気がします。お顔もお声も存じ上げないのに不思議。
Commented by sheri-sheri at 2017-09-20 18:29
今晩は。さへいじさんの若さと健啖家ぶりが伝わってきます。落語を聞く会っていいですねぇ。・精神上もとても良さそう。
Commented by 喜洛庵上々 at 2017-09-20 19:57 x
愉快な一夜となりました。
いろいろとありがとうございます!
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-20 21:21
> kogotokoubeiさん、新しいメンバーが新風を吹き込んでくれると楽しいですね。
そうだなあ、野球と落語が3対5、残りがほかの話題でしたかな。
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-20 21:26
> テイク25さん、お互いの仕事のことは知りもしない、年齢もまちまちの男女が趣味を中心にしゃべって飽きないというのが嬉しいです。

Commented by saheizi-inokori at 2017-09-20 21:27
> sheri-sheriさん、そうです、精神衛生上素晴らしいのですが、飲みすぎて肉体衛生上悪いことがままあるのが玉に瑕です^^。
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-20 21:29
> 喜洛庵上々さん、こちらこそ、ありがとうございました。
次回は大人数になるかな、楽しみです。
Commented by doremi730 at 2017-09-20 23:27
saheiziさま、喜洛庵上々様、他の皆様も
全くついていけてない私を楽しめるように誘導して頂き
本当にありがとうございました。
楽しかったです。
次回までに少しは勉強してみようかと、、、
よろしくお願いいたします。
Commented by j-garden-hirasato at 2017-09-21 06:52
この辺り、
ウロウロしたいのですが、
なかなか機会に恵まれません。
銭湯もあるのですか。
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-21 09:04
> doremi730さん、落語は楽しむものです。
勉強はほどほどに寄席に行って笑いやしょう^^。
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-21 09:05
> j-garden-hirasatoさん、崖の上と下ずいぶん雰囲気が違います。
下には銭湯もいくつかありますよ。
Commented by at 2017-09-22 06:49 x
油揚げに目がない狐の性の私です。
昔、正蔵(当時こぶ平)の根岸の家がテレビで紹介されたとき、香葉子夫人が空豆と油揚げの焼いたのを大皿に盛ってきて、「この大きさじゃなきゃウチはダメ」と説明されたのには驚きました。
それにしても、小満ん、正蔵と落語家も多様な個性、だからこそ飽きないんでしょうね。
「商いってくれぇだから飽きずにやんなよ(時そば)」
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-22 08:13
> 福さん、油揚げのカリッと焼いたの、狐じゃなくてもたまりません。
個性的といえば喜多八が恋しいなあ。
Commented by 創塁パパ at 2017-09-23 08:05 x
ありがとうございました。新メンバーもいい方ですね。ますます盛会ですね(笑)
Commented by saheizi-inokori at 2017-09-23 09:53
> 創塁パパさん、いろんな見方・聴き方があって楽しいです。
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by saheizi-inokori | 2017-09-20 11:48 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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