大学を出たってあんなのもいる 第５８８回「落語研究会」

五時起きして洗濯してストレッチを３０分、飯を食わずに病院へ。
定例の採血検査、ひょっとして肝臓がだいぶ疲れているかと思ったが、大丈夫、中性脂肪が高いのはいつも通り、菓子を食うのをやめればいいのだがなあ。
さびしい老人にならないために節制するのと呑んだり食ったりするのと、そのバランスですね、とこっちが言ったら先生が笑っている。
（検査後、デニーズで朝食）

検査結果が出るまでの待ち時間に、森銑三の「新橋の狸先生」を読みだしたら、２００年前に実在した狸を可愛がった医者の話が面白くて、どうか診察の順番が来ないようにと思っていた。
検査結果がいいと心が軽くなって世田谷美術館で「エリック・カール展」を見た。
きれいな絵だが会場がおばさんたちでいっぱいだったせいか、もうひとつ集中できないままに外に出て用賀駅に向かう。
とちゅうの小さな公園、そんなところの花の方に惹かれる気分だった。
昼飯はこのあいだきた「ポエム」で、辛子の利いたハムサンドと香り豊かなジャーマンローストのブラック、柔和なマスターの笑顔。
こういうことをするようになったのは最近だ。
贅沢な気分になれる、このくらいはやれる間にやろうと思う今日この頃。
いったん帰宅して夕方国立小劇場へ。
先に銭湯、脱衣所に入ると老人が「モツアルトも辻井君も、三歳からピアノ弾いたってんだから、すごいよなあ」あ、藤井君の話だ。
「大学出たって、ああ云う人もいるのに、、東大、ハーバードなんてね」成蹊や早稲田や明治をでてもね（これは俺の心中の相槌）。
「これから先、楽しみだなあ、長生きしなくちゃ」ともう一人のオジイサン、藤井君効果は凄いぞ。
落語研究会、最初の三木男「雛鍔」は、会場に入らずロビーのソフアで聴いた、顔（髪型）を見たくなかったのだ。
音だけだとまだ許せるかなあ、９月に名人三木助の名を襲うという、血筋で力もないのにというのが勘に触る今日この頃。

三朝「蛙茶番」

３月に真打になりたて、爆笑落語だが、普通の笑い。
これからだ、がんばれ。
園太郎「野ざらし」

ちょっとひねくれたような人生観のマクラ、もう少し短く明るくできないか。
本題は、持ち味のアクの強さを生かして、歌やデテイルの描き方もうまく、大笑い。

中入り後彦いち「熱血怪談部」

学園もの、「化け物つかい」の新作バージョンか。
笑うには笑ったが。
志ん輔「大山詣り」

ちょっと力が入ったか、酒癖が悪いから大山詣りの留守をしていろと言われた熊がごねるところ、やっぱり宿で風呂の屁が原因で喧嘩をしてしまうところなど、もっと笑いが来てもいいはず、重たいんだなあ。
丸坊主にされた熊が長屋の女房連中に仲間が遭難したことを語るのも人情噺のようになってしまった。
とはいえ、さすがに勉強熱心、さいごはうまくまとめた。
帰りは「はじめ」、いろいろあった長い一日だった。
秋田から玉手箱が届いた。
若返る玉手箱。