小判の雨が降った隼町 第584回「落語研究会」
2017年 02月 25日
プレミアムフライデーなんて言われないでも毎日が日曜日、おまけなんかいらないや。
伝統の落語研究会も第584回、その第467回が僕の初体験、月一度の開催だから、え~と、ずいぶん昔から笑わせてもらっている。
この会は年間契約で指定席、その会員になるのに徹夜で並んで、というのがもう何年前だったか、お仲間10人くらいで交代で並ぼうと休憩用のホテルを押さえて、二人一組の交番表をダイヤグラムにしたのが僕なのだが、肝心のその日に熱発、ドタキャンして先輩たちに迷惑をかけた。
翌年からはその席をそのまま更新するシステムになって(そうしなければ死人が出た、年寄りが多いのだもの)助かった、というより、そのシステム変更の年に大行列ができたのだった。
落語と言えば寄席しか行ったことのなかった僕にこの会や目ぼしい噺家の独演会のとりがての切符を取ってくださって落語の世界の深みに導いてくださったのはIさん、そのご縁で研究会仲間とも知り合うことができて、ほかのイベントでも親しくさせてもらっている。
いぜんは会が終わると近くのカフエでお茶を飲みながら落語や世の中のことをガヤガヤ、それも楽しかったのだが今はなくなっている。
もしかすると僕の家庭の事情による欠席続きがきっかけだったかもしれない。
その一人から頂いたフキノトウ、世田谷産だ。
ご迷惑をかけっぱなしなのにありがたいお仲間ばかりだ。
昇也「寄合酒」
昇太の弟子、かなり硬くなっていたが、そのせいでというより基本のところでちょっと僕の好みというか落語的でない、笑点的な笑いをめざしているような気がした。
けっこう笑いを取ってはいたが。
やまと「百川」
百兵衛の「ひえっ」の軽さ、ニンだと思ったが、魚河岸の兄さんたちはいささか硬すぎる。
早飲み込み、知ったかぶりってのは滑稽だね。
小満ん「夢金」
雪の夜、舟宿の二階には、欲の皮が突っ張って寝言で「百両欲しい~」という船頭・熊蔵が寝ている。
トン、開けろ、妹連れだという汚い侍が入ってきて舟を出してくれ、酒手を弾むという言葉に乗せられて船を出すと、浪人は、あの娘はかけ落ちしようとして癪がおこり苦しんでいた娘を、男に合わせると騙して連れてきたのだ、懐にどっさり金を持っているらしいので殺して金を山分けにしようと持ちかける。
話に乗ったふりをしながら、中洲に浪人を置いてけぼりにする熊蔵。
娘の親から礼金に二百両貰って喜ぶが、それは夢のなか。
雪の大川に、この界隈で俺くらい欲張りはいないと公言するみじめな船頭、ホレた男と幸せになろうとするオボコ、ハイエナのようになってしまった侍、それぞれの人生が切り結んでふたたび何もなかったかのように雪が降り続ける。
寸劇を墨絵のようにさらっと見せてくれた。
志ん輔「火焔太鼓」
志ん生・志ん朝の古今亭親子の門外不出的な遺産、法灯を継ぐ者として志ん輔は格別の意気込みでこの噺に取り組んだと思う。
彼のブログ、「古今亭志ん輔日々是凡日」でも熱心な稽古の様子がうかがわれる。
前段の女将さんとの会話、
三百両を懐に、
そうだよね、いつまでも師匠大師匠のまんまじゃつまらない。
つまりは師匠・大師匠とはちがう志ん輔という人間のやる噺にしなきゃね。
鯉昇「宿屋の富」
久しぶりに聴いたが、相変わらず、あのぎょろりとした目、光る頭、お馴染みの仕草を生かした間、、たっぷり笑わせてくれた。
考えてみると、夢金で熊蔵が二百両、火焔太鼓の甚兵衛さんが三百両、宿屋の富のすっかんぴんの客と亭主が五百両づつ、合わせて千五百両が舞い飛ぶ国立劇場だった。
満ち足りて酒も飲まずに(「はじめ」の親方の回復を祈って)まっつぐ帰ったとさ。
伝統の落語研究会も第584回、その第467回が僕の初体験、月一度の開催だから、え~と、ずいぶん昔から笑わせてもらっている。
この会は年間契約で指定席、その会員になるのに徹夜で並んで、というのがもう何年前だったか、お仲間10人くらいで交代で並ぼうと休憩用のホテルを押さえて、二人一組の交番表をダイヤグラムにしたのが僕なのだが、肝心のその日に熱発、ドタキャンして先輩たちに迷惑をかけた。
翌年からはその席をそのまま更新するシステムになって(そうしなければ死人が出た、年寄りが多いのだもの)助かった、というより、そのシステム変更の年に大行列ができたのだった。
落語と言えば寄席しか行ったことのなかった僕にこの会や目ぼしい噺家の独演会のとりがての切符を取ってくださって落語の世界の深みに導いてくださったのはIさん、そのご縁で研究会仲間とも知り合うことができて、ほかのイベントでも親しくさせてもらっている。
いぜんは会が終わると近くのカフエでお茶を飲みながら落語や世の中のことをガヤガヤ、それも楽しかったのだが今はなくなっている。
もしかすると僕の家庭の事情による欠席続きがきっかけだったかもしれない。
ご迷惑をかけっぱなしなのにありがたいお仲間ばかりだ。
昇太の弟子、かなり硬くなっていたが、そのせいでというより基本のところでちょっと僕の好みというか落語的でない、笑点的な笑いをめざしているような気がした。
けっこう笑いを取ってはいたが。
やまと「百川」
百兵衛の「ひえっ」の軽さ、ニンだと思ったが、魚河岸の兄さんたちはいささか硬すぎる。
早飲み込み、知ったかぶりってのは滑稽だね。
雪の夜、舟宿の二階には、欲の皮が突っ張って寝言で「百両欲しい~」という船頭・熊蔵が寝ている。
トン、開けろ、妹連れだという汚い侍が入ってきて舟を出してくれ、酒手を弾むという言葉に乗せられて船を出すと、浪人は、あの娘はかけ落ちしようとして癪がおこり苦しんでいた娘を、男に合わせると騙して連れてきたのだ、懐にどっさり金を持っているらしいので殺して金を山分けにしようと持ちかける。
話に乗ったふりをしながら、中洲に浪人を置いてけぼりにする熊蔵。
娘の親から礼金に二百両貰って喜ぶが、それは夢のなか。
雪の大川に、この界隈で俺くらい欲張りはいないと公言するみじめな船頭、ホレた男と幸せになろうとするオボコ、ハイエナのようになってしまった侍、それぞれの人生が切り結んでふたたび何もなかったかのように雪が降り続ける。
寸劇を墨絵のようにさらっと見せてくれた。
志ん生・志ん朝の古今亭親子の門外不出的な遺産、法灯を継ぐ者として志ん輔は格別の意気込みでこの噺に取り組んだと思う。
彼のブログ、「古今亭志ん輔日々是凡日」でも熱心な稽古の様子がうかがわれる。
前段の女将さんとの会話、
なんでこんな汚い太鼓に一分も出したの!とか、小僧が太鼓を「叩くんじゃなくてはたいても」音が出てしまうことの説明、三太夫(?)から三百両を受け取るときの、「五十両」で絶叫、「百両」で両手を羽ばたいて飛び上がる、三百両で、口、手、上半身すべてがスローモーションになる、三太夫も含めて。
だって一分したんだもの
三百両を懐に、
ふわふわと雲の上を歩いているようだ、馬鹿にしたカカアめ!動けねえほど腹いっぱい食わしておもいっきりくすぐってやる!いろんな工夫があざとくなくて楽しかった。
そうだよね、いつまでも師匠大師匠のまんまじゃつまらない。
つまりは師匠・大師匠とはちがう志ん輔という人間のやる噺にしなきゃね。
久しぶりに聴いたが、相変わらず、あのぎょろりとした目、光る頭、お馴染みの仕草を生かした間、、たっぷり笑わせてくれた。
考えてみると、夢金で熊蔵が二百両、火焔太鼓の甚兵衛さんが三百両、宿屋の富のすっかんぴんの客と亭主が五百両づつ、合わせて千五百両が舞い飛ぶ国立劇場だった。
満ち足りて酒も飲まずに(「はじめ」の親方の回復を祈って)まっつぐ帰ったとさ。
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PochiPochi-2-s at 2017-02-25 17:41
こんにちは。落語はよくわからないけれど。
たくさんの蕗の薹のミツマタのきれいな黄色。それに紅梅。
いよいよ春ですねぇ。
豊中の話、もっとマスコミがあばいてくれないかと。
微かな期待も無駄かな?
たくさんの蕗の薹のミツマタのきれいな黄色。それに紅梅。
いよいよ春ですねぇ。
豊中の話、もっとマスコミがあばいてくれないかと。
微かな期待も無駄かな?
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saheizi-inokori at 2017-02-25 22:48
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reikogogogo at 2017-02-25 23:45
隠居のプレミアムフライデー、プレミアムフライデーなんて言われても毎日が日曜日、おまけけなんかいらないやー。
saheiziさんが吠えて(笑い)プレミアムフライデーなんて初めて聞き、今日新聞でプレ金・プレミアムフライデーの記事を読みましたよ。
プレ金よりふきのとうの方が魅力ーーー美味しそう。
saheiziさんが吠えて(笑い)プレミアムフライデーなんて初めて聞き、今日新聞でプレ金・プレミアムフライデーの記事を読みましたよ。
プレ金よりふきのとうの方が魅力ーーー美味しそう。
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urontei at 2017-02-26 07:18
ネットで、うまいこと言ってる人がいましたよ。
「“プレミアム・フライデー” より、“ほどほどエブリデイ” がいい」 って。
政治家さんはアレですが、国民にこの諧謔精神がある限り、ニッポンは安泰でしょう (笑)
昨夜、BSで落語研究会放送していましたね。録画しました。昼間から一杯やりながらこれを見るのが、最近の楽しみなのです。
「“プレミアム・フライデー” より、“ほどほどエブリデイ” がいい」 って。
政治家さんはアレですが、国民にこの諧謔精神がある限り、ニッポンは安泰でしょう (笑)
昨夜、BSで落語研究会放送していましたね。録画しました。昼間から一杯やりながらこれを見るのが、最近の楽しみなのです。
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saheizi-inokori at 2017-02-26 08:53
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saheizi-inokori at 2017-02-26 08:55
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喜洛庵上々
at 2017-02-26 17:46
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『小判の雨が降った隼町』とは、これは素晴らしいキャッチですね!
『此奴ぁ春から縁起が良いわい』、と洒落てみたくなりました^^
『此奴ぁ春から縁起が良いわい』、と洒落てみたくなりました^^
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saheizi-inokori at 2017-02-26 20:52
> 喜洛庵上々さん、小判の雨は降ったけれど落語の出来にはイマイチでしたか^^。
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hanamomo08 at 2017-02-26 21:10
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saheizi-inokori at 2017-02-26 21:16
by saheizi-inokori
| 2017-02-25 13:08
| 落語・寄席
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