植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場

植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場_e0016828_10371322.jpg
「何メートルあるんだろう?」「15メートルくらいですかねえ」「怖くないのだろうか」「そりゃ、怖いでしょうね」見張りの若者がにっこり笑って答えた。
植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場_e0016828_10355319.jpg
昼下がりの美容室でヴァイオリンを弾く女性、今度ここに行ってみよう。
植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場_e0016828_10345027.jpg
お初が打掛の裾に徳兵衛を隠して天満屋の縁の下にそっと入れ、自分は上り口に腰掛けて、座敷で悪い奴・九平次が徳兵衛の悪口・フエイク・オルタナニュースをしゃべり散らすのを聴く。
徳兵衛は歯を食いしばり、身を震わして腹立つを、
初はこれを知らせじと、足の先にて押し鎮め、押さえいるこそ不憫なれ。
さらにお初は徳兵衛をかばい、
「微塵いささかそのような悪い人じゃござんせぬ。情けが結句身の仇で、騙されさんしたものなれど、証拠なければ理も立たず。この上は徳様も、死なねばならぬ品なるが、ハテ死ぬる覚悟が聞きたい」と独り言になぞらえて、足で問えば、下には頷き、足首取って喉笛撫で『自害する』とぞ知らせける。
九平次が、徳兵衛が死んだら俺がお前を可愛がると、言い放つと、お初は
「ヲホゝゝ、こりゃ忝いというものじゃ、私を可愛がらしやんすと、お前も殺すが合点か。徳様に離れて片時も生きていると思うてやるか。そこな九平次の毛虫殿、阿呆口でもおいてたも。人に聞かれても情けない。どうで徳様一緒に死ぬる、徳様わしも一緒に死ぬるぞや」と足にて突けば 縁の下には涙を流し、足を取って押し戴き、息を殺して焦がれ泣き、、
縁の下で女の足と交わす死の契り。
植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場_e0016828_10312837.jpg
近松名作集、さいごは「お初徳兵衛 曽根崎心中」。
短いけれどいちばんよかった。
豊竹咲太夫の語り、あれでも万全ではない(朝日新聞劇評by田草川みずき)そうだが、ほかの太夫とは格段の手練、鶴澤燕三の三味線とあいまって義太夫が音楽であり歌うものだと思わせた。
ちょっとモダンジャズみたいなリズムの面白さもある。

店の者が寝静まってから二人がこっそりぬけ出すときのスリルがあって、
虎の尾を踏む心地して、二人続いてつつと出で、顔を見合わせ「アゝ嬉し」と死に行く身を悦びし、あわれさ辛さ浅ましさ、、
この上演で心中が流行ったという、「浅ましさ」と近松はいってるのに。
植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場_e0016828_10342078.jpg
今年も宇和島から送ってもらった「ミカンの玉手箱」、若返りの玉手箱だ。
ミカンにだってこんなに個性があるのだぞ。
Commented by 平名 at 2017-02-17 19:46 x
 怖いですね、、 作者の意図と全く違う方向に作品が動き出して、  でも本人は有名人に
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-17 21:22
> 平名さん、先を見ることもできずに目の前の愛に生きてガンジガラメになって死んでしまう。哀れで辛くて浅ましい、それが人間、いとおしい人間だと近松は思ったのでしょうか。
現代のテレビドラマ(見たことはないのですが)になりそうな戯曲です。
もっとも現代の若者は心中なんてしないでしょうが。
Commented by テイク25 at 2017-02-17 21:48 x
本当に哀れで、辛い。その哀れな場面に観客も一緒に引き込まれる、そして涙……。何度観ても涙が出そうです。こんな繊細な感情は全てを効率で勘定する橋下にわかるはずがない。
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-17 22:02
> テイク25さん、馬鹿で浅ましくて、でもひたすらなところが哀れで愛おしくてと近松は思ったのでしょうね。
私は徳兵衛と自分のバカさと重ね、しかもいい加減に逃げて生きてきたことを想い合わせ、なんとも言えない気持ちになりました。

Commented by reikogogogo at 2017-02-17 23:56
saheiziさん
すごいお仕事、勿論命綱つけてるのよね?。

簡単に登った木なのに、下りられなくなって、お昼から夕方4時迄木の上。近所中に迷惑をかけた長野県松本、浅間温泉近くの岡田村を思い出してしまいました。
Commented by at 2017-02-18 07:09 x
我にセザンヌの筆あらば、と言いたくなるみかんですね。
蜜柑剥く 爪先黄なり 冬籠  子規
春来たるも、冬いまだ残る感じです。
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-18 09:43
> reikogogogoさん、命綱はしっかりつけていましたがが、万一先っぽが折れたらどうなるのか足を滑らして宙づりになったら木が折れるなんてことはないのか、と心配してしまいました。
高所恐怖症の私も登るのは下を観なければなんとかなっても降りるのはどうにもならなかった経験があります(工事現場の足組でしたが)。
Commented by saheizi-inokori at 2017-02-18 09:44
> 福さん、味わいがまたさまざまなのが楽しいのです。
この違いを描写できる詩人はいるかなあ。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2017-02-17 11:37 | 能・芝居 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori