植木屋さんご精がでますね 文楽「お初徳兵衛 曾根崎心中」@国立劇場
2017年 02月 17日
徳兵衛は歯を食いしばり、身を震わして腹立つを、
初はこれを知らせじと、足の先にて押し鎮め、押さえいるこそ不憫なれ。さらにお初は徳兵衛をかばい、
「微塵いささかそのような悪い人じゃござんせぬ。情けが結句身の仇で、騙されさんしたものなれど、証拠なければ理も立たず。この上は徳様も、死なねばならぬ品なるが、ハテ死ぬる覚悟が聞きたい」と独り言になぞらえて、足で問えば、下には頷き、足首取って喉笛撫で『自害する』とぞ知らせける。九平次が、徳兵衛が死んだら俺がお前を可愛がると、言い放つと、お初は
「ヲホゝゝ、こりゃ忝いというものじゃ、私を可愛がらしやんすと、お前も殺すが合点か。徳様に離れて片時も生きていると思うてやるか。そこな九平次の毛虫殿、阿呆口でもおいてたも。人に聞かれても情けない。どうで徳様一緒に死ぬる、徳様わしも一緒に死ぬるぞや」と足にて突けば 縁の下には涙を流し、足を取って押し戴き、息を殺して焦がれ泣き、、縁の下で女の足と交わす死の契り。
短いけれどいちばんよかった。
豊竹咲太夫の語り、あれでも万全ではない(朝日新聞劇評by田草川みずき)そうだが、ほかの太夫とは格段の手練、鶴澤燕三の三味線とあいまって義太夫が音楽であり歌うものだと思わせた。
ちょっとモダンジャズみたいなリズムの面白さもある。
店の者が寝静まってから二人がこっそりぬけ出すときのスリルがあって、
虎の尾を踏む心地して、二人続いてつつと出で、顔を見合わせ「アゝ嬉し」と死に行く身を悦びし、あわれさ辛さ浅ましさ、、この上演で心中が流行ったという、「浅ましさ」と近松はいってるのに。
ミカンにだってこんなに個性があるのだぞ。
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平名
at 2017-02-17 19:46
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怖いですね、、 作者の意図と全く違う方向に作品が動き出して、 でも本人は有名人に
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saheizi-inokori at 2017-02-17 21:22
> 平名さん、先を見ることもできずに目の前の愛に生きてガンジガラメになって死んでしまう。哀れで辛くて浅ましい、それが人間、いとおしい人間だと近松は思ったのでしょうか。
現代のテレビドラマ(見たことはないのですが)になりそうな戯曲です。
もっとも現代の若者は心中なんてしないでしょうが。
現代のテレビドラマ(見たことはないのですが)になりそうな戯曲です。
もっとも現代の若者は心中なんてしないでしょうが。
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テイク25
at 2017-02-17 21:48
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本当に哀れで、辛い。その哀れな場面に観客も一緒に引き込まれる、そして涙……。何度観ても涙が出そうです。こんな繊細な感情は全てを効率で勘定する橋下にわかるはずがない。
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saheizi-inokori at 2017-02-17 22:02
> テイク25さん、馬鹿で浅ましくて、でもひたすらなところが哀れで愛おしくてと近松は思ったのでしょうね。
私は徳兵衛と自分のバカさと重ね、しかもいい加減に逃げて生きてきたことを想い合わせ、なんとも言えない気持ちになりました。
私は徳兵衛と自分のバカさと重ね、しかもいい加減に逃げて生きてきたことを想い合わせ、なんとも言えない気持ちになりました。
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reikogogogo at 2017-02-17 23:56
saheiziさん
すごいお仕事、勿論命綱つけてるのよね?。
簡単に登った木なのに、下りられなくなって、お昼から夕方4時迄木の上。近所中に迷惑をかけた長野県松本、浅間温泉近くの岡田村を思い出してしまいました。
すごいお仕事、勿論命綱つけてるのよね?。
簡単に登った木なのに、下りられなくなって、お昼から夕方4時迄木の上。近所中に迷惑をかけた長野県松本、浅間温泉近くの岡田村を思い出してしまいました。
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福
at 2017-02-18 07:09
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saheizi-inokori at 2017-02-18 09:43
> reikogogogoさん、命綱はしっかりつけていましたがが、万一先っぽが折れたらどうなるのか足を滑らして宙づりになったら木が折れるなんてことはないのか、と心配してしまいました。
高所恐怖症の私も登るのは下を観なければなんとかなっても降りるのはどうにもならなかった経験があります(工事現場の足組でしたが)。
高所恐怖症の私も登るのは下を観なければなんとかなっても降りるのはどうにもならなかった経験があります(工事現場の足組でしたが)。
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saheizi-inokori at 2017-02-18 09:44
by saheizi-inokori
| 2017-02-17 11:37
| 能・芝居
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Comments(8)