柴又で江戸落語を聴いて鰻を食う 「よってけ柴又落語会・文菊」

葛飾柴又、帝釈天の門前の鰻屋「川千家」で、もう18回目になるという落語会に誘われた。
スマホで調べるといろんな行き方がある。
ふだん乗らない都営地下鉄浅草線、とちゅうの日本橋、浅草、本所吾妻橋、、馴染みの地名だけれど、いつもと違う電車から見えるいつもと違う駅名標だと、なんだか知らない町の表情があるような気がする。
乗って来る人たちがまとっている空気が微妙に違っているような気さえする。
乳母車に外国人の幼児が乗っていて、それを抑えていた父親がこっちを振り向いたら、子どもにそっくりな顔をしているのがおもしろかった、親が子に似る。
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先に整理券を貰って、開演まで二時間ほどあるので、参道の商店街を冷やかして、団子や「矢切の最中」を食ったり佃煮を買ったりする。
どこの店もそこで作ったものを売っているところがいい。
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帝釈天は「題経寺」というのをどれほどの人が知っている?
久しぶりにみるとこんなに立派な建物だったかと、松の枝にも驚く。
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入場料を払って大庭園や帝釈堂の木彫りを見た、すげえもんだ。
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江戸川土手に上がって矢切の渡しを望見。
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小津安二郎について知らぬことはないようなHさんと「おはよう」のことなど話しながら土手を見る。
土手には物語を喚起させる何かがある。
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百人を限ったのは会場の収容力ではなく、後でいただく鰻の都合だと文菊が言った。
間にマーサ☆リノイエ「ポップ三味線」をはさんで「干物箱」「野ざらし」

すこし肥えたような感じで話しぶりも、いぜんの格調の高い楷書から、ところどころ崩したりメリハリをつけて太さを感じさせた。
それもあって会場は暖かく笑いが絶えない。
小唄もうまいし細やかな仕草はいつもの通り。
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マーサ☆リノイエ「ポップ三味線」は、派手なスカートで三味線を肩にかけて元気に長唄から「イミテーションゴールド」の替え歌を歌ったり、じょんがらとベンチャーズの混ざったロックを弾いたり、、平岡正明の「山口百恵は菩薩である」が出てきたと思ったら、かつて百恵のバックで踊っていた由。
鰻会場で近くに来たので「どこかでお会いしたような気がする」(ほんとに)と言ったら、彼女も「私もどこかでお会いした気がする」だって、どこだろう。

うな重に菊正宗を熱燗で、一合飲んだか二合飲んだか、どうも蛇の生殺し。
それを察してくださったのか、Iさんが「立石に寄ろう」、もとより否やはない。
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日曜日なのでシャッターの降りている店が多い中にいくつか頑張っている店はたいてい混んでいる。
我々もわき道を入ったところで見つけた焼き鳥屋に。
いつもは車の運転で飲めないYさんが今日は大いに飲んで、話も盛り上がる。
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Commented by 喜洛庵上々 at 2016-12-19 12:50
昨夜は御無礼致しました。
尽きぬ会話に酔い痴れ、非常な幸福感に浸りながら帰宅致しました。
ありがとう存じます。
新年会にも電車で伺おうかしら^^
Commented by unburro at 2016-12-19 14:24
鰻屋さんの落語会、京都にもあります。
「かねよ」という古い店で、今月は桂米二とか…
先日、店の前を通ったら貼り紙がしてありました。

今度、今度、と思いながら行ったことがないのですが、
今日のsaheiziさんの話を読んで、
今度こそ行ってみよう!
と思いました。

あ、この前の「焼き大根」 作ってみました。
大成功!家族にも好評でした。
ありがとうございました(^。^)/
Commented by 豆ママ at 2016-12-19 15:18
行きたいところばかりです。いいなあ。
Commented by ほめ・く at 2016-12-19 16:07
佐平次さんのフルコースは
散歩+時々銭湯+演芸+酒+料理+歓談
と毎回豪華版ですね。
私は単品型なので、まっつぐ行ってまっつぐ帰ってしまいます。
文菊もこの会場では得意の『鰻の幇間』は掛けられなかったでしょう。観客への捌き方も上手くなってきました。
Commented by tona at 2016-12-19 19:08
柴又、何度行ってもいいですね。
ふと↑を見ましたらほめーくさんが散歩+・・・・と豪華版とおっしゃっていますが、全くその通りで最高です。
毎日毎日、最高の日を送っていらっしゃる典型例ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-19 21:28
> 喜洛庵上々さん、結構飲みましたよね。
ぜひぜひ電車でおいでください。
それよりも日程などを決めなくちゃね^^。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-19 21:29
> unburroさん、米二、好きです。だいぶご無沙汰してますが。
近ければ行きたいところですが、京都ではなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-19 21:30
> 豆ママさん、ほんとに記憶よりもずっといい所でした。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-19 21:35
> ほめ・くさん、豪華と言っても、銭湯と演芸以外は日常生活みたいなものです。
あ、歓談もいつもというわけにはいかないな。
文菊はこの会にはなんどか来ていて、いつも師走だと言ってました。
もしかすると「鰻の幇間」はすでにかけているんじゃないでしょうか。
立派な鰻屋ですからかけても問題なさそう。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-19 21:37
> tonaさん、私はずいぶん前に一度か二度しか行ったことがないのです。
記憶よりもいいところでした。
毎日最高?そうならいいのですが、よくないことは書かないようにしているだけです。
Commented by j-garden-hirasato at 2016-12-20 07:03
落語と鰻がセットですか。
珍しいですね。
でも、柴又の落語会らしいです。
Commented by at 2016-12-20 07:04
いっときは暇ができると柴又に行っておりました。
午後に来て有名な団子とせんべいと佃煮を買って帰るのです。
柴又で文菊を聴く。場所と演者との調和を感じます。
あの映画も場所と演者との調和があそこまで有名にしたんでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-20 09:42
> j-garden-hirasatoさん、しかも噺家が文菊という古典落語一筋、タイムスリップしたような楽しさでした。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-20 09:44
> 福さん、おっしゃる通り!なるほど凡百の寺や参道ではないと思いました。
夕暮れにはあたかも映画のセットのような感じすらしました。
また行きたくなるところ、なぜこんなに間を置いたのか、若かったのかなあ。
こんどは銭湯にも入って(ウナギは匂いだけでいいから)歩こうかな。
Commented by k_hankichi at 2016-12-21 08:06
帝釈天の鰻屋さんでの落語。興趣の乗った企画ですねえ。対岸の矢切は懐かしい。そのバス停で降りましたところに、僕も社会人になるまで住んでいました。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-21 10:12
> k_hankichiさん、おおそうでしたか!
多感な時代にいい所にいましたね。
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by saheizi-inokori | 2016-12-19 12:36 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori