銭湯仲間の文左衛門が出世した 橘家文蔵襲名披露公演@国立演芸場
2016年 11月 09日
三代目だという。
俺は二代目を知らないから、それがどれほどのことかはわからない。
けれど、文左衛門とは裸の付き合いの間柄だ。
国立劇場のちかくの銭湯で一緒になったのさ。
というわけもあって、彼の襲名披露公演に行った。
ブログで何人かの方たちが、この公演が充実していることを書いていたのと、1300円という安い料金に惹かれたせいもある。
舞台の後一面に大きな紫色に金の纏の房(かな?)と三つのサイコロ(目は四五六)を描いた幕が飾ってある。
両袖に落語協会と文蔵の提灯、前には招きの看板も。
前座・門朗が「子ほめ」をやって、志ん吉「元犬」。
祝いの席では「化ける」というゲン担ぎで動物の噺、なかでも白蛇のように白い動物は特別に有り難がられた、白アリも大事にしましょう、といって犬のシロの噺を丁寧にやった。
扇辰「たらちめ」
嫁がくるというので隣りの婆さんに部屋の掃除をしてもらって、「嫁さんが来たら婆さんを大事にするようにって、そういいますから」と礼をいうのは他の人もやったっけ。
嫁さんが来たら、二人で飯を食う、茶漬けにコウコで、じつにうれしそうにうまそうに食う、いいね。
嫁さんが来て名前(と前置き)を書いてもらって読み上げるうちに経を読むようになったところでお終いにする。
ペペ桜井・ギター漫談
正雀「豊竹屋」
渋い味のある芸だ。
義太夫で珍問答、力がなければできない噺。
志ん生のマクラ(何の噺だったか、出てこない情けなさ)で使われた熱い湯で義太夫をうなるくだり、懐かしかった。
笑点がらみの話、客は喜んで聞くんだ、歌丸が五度も入退院を繰り返しそのたんびに見舞金を取られたとか。
喉頭がんにかかったときに治療費が思ったよりはるかに安く、思わず「安倍さんバンザイ」といったというのはイタダケナイ。
TPPで医療費は高くなるに決まってるんだから。
彦六、田中角栄、大平正芳、談志、物まねは達者。
司会を扇辰、正雀、一朝、木久扇の順に口上、三本〆の音頭は木久扇。
アサダ二世・奇術
「いらっしゃ~い」「今日はネ、ちゃんとやりますよ」「あんまり考えないように」「こんなもんだよ手品なんて」、マンネリが楽しい。
トランプの奇術で客が引いたのはクラブの2、さて海の向こうのトランプの辻占は?
奥多摩に熊が出て民家の戸を叩いたので奥さんが出てきた、「おくたま。お手をどうぞ」なんてマクラ。
やたらと陽気な八五郎の陰にこもらない鐘尽くし、「今行くぞ、そら行くぞ、今行くぞ、そら行くぞ」節をつけてコツを釣りにいく。
軽くて快調なテンポで、けっこう、まことに結構。
ロケット団・漫才
そして文蔵「笠碁」
48日間、ぶっ続けで披露公演、さすがに疲れが見える。
一二日休んで温泉にでも、と思うがこの後も休みなしだという。
落語界もブラックだな。
せめて12時からやっている近所の銭湯でのんびりするつもり、先日はほかの客がいなくて独り占め、いい気持で「与作は木を伐る~」と歌ったら、女湯から「ヘイヘイホー」とかえってきて、とうとう最後まで掛け合いで歌った、「ダダダダッ」と間奏が来たのには驚いたって、銭湯友達の俺に気を使ってくれたマクラ。
本題、まともにきっちり。
待ったをしない旦那が「早く打ちなさい、あなたの番だよ、私はもう打つところを決めてんですよ」というと「どこ!?どこ?あ!分かった、ここだ、参ったなあ、軒並み死んじゃうよ」というやり取りは文蔵の工夫か。
喧嘩して、碁を打てず降り続く雨に無聊を持て余して大あくび、「ああ、こんな日は碁なんか打ったら楽しいだろうなあ、パチリ」と打つ真似をする笑顔、俺もそんな気になった。
我慢できなくなって様子を見に行って、相手が誘い水に打つパチリに「え!碁を打ってる!誰とだろう?甥っ子に教えたいと言ってたから甥っ子とやってるのか?冗談じゃねぇ、甥っ子に取られてたまるか」と駆け出すのも新工夫かな。
扇辰や一朝が「見掛けによらず繊細でやさしい」と評していたが、それは見掛けでもよくわかる。
精進して大成されんことを!
昨日書いた二人の話そのものだ。↓
反知性的安倍政権のヤクザ的論法
笠碁好きの女房に聞かせてやりたい。
在日米軍も、費用のすべてを日本に負担させるといってますけど、それでも安倍はアメリカのいいなりになるつもりなんでしょうか。
オセロはすきですね。