初めて忠臣蔵を観た
2016年 10月 27日
落語にもよく取り上げられて、芝居好きな若旦那や店の小僧などが歌舞伎の名場面を仕方噺をしたり、歌舞伎役者が噺の主人公として由良之助や斧定九郎になつたりもする。
テレビや映画にもなんどもなつたし、丸谷才一は忠臣蔵に見られる日本人の御霊信仰について面白い評論(「忠臣蔵とはなにか」)を読ませてくれた。
ああ、それなのに、ほんものの忠臣蔵歌舞伎をみたことがなかった。
まさに冥土の土産だ。
五感の利くうちに、いかざあなるめい。
物語の発端を説明する儀式的な大序(いかにも悪そうな黒服の師直・左團次、凛々しい浅葱色の若狭之助・錦之助、穏やかな黄色の塩谷判官・梅玉)で始まり、松の間の刃傷(三段目)、判官の切腹、遺された大星由良之助が家臣を説得して城を明け渡し、一人山科に向かうまで(四段目)、二度の休憩を挟んで五時間十五分、前から二列目まんなかという席で堪能した。
デーモ!血気盛んな家臣たちが、由良之助の説得に不服で、叫んだ、デーモ!じやないが、関さんほど深く観賞できなくても、涙あり笑いあり、動と静、武があり恋もあり、ハラハラどきどき、なるほど日本人を夢中にしてきただけの芝居だと深く納得した。
御霊信仰の支えなどなくとも民衆が時を越えて熱狂するはずだ。
落語などでお馴染みのセリフが、こういう状況でほんとうはこういう言い方で発せられるのかと教えられたこともいくつかあつた。
11月は第二部、菊五郎(勘平)、吉右衛門(大星由良之助)だという、楽しみ也。
六人のうち、四人が忠臣蔵を見ていた。
「何かのファンにならない人生とはどんなものだろう」という問題提起がMさんからなされたが、答えらしい答えもないままにカブスの話やら、ベイの指導者月旦やら。
皆さん、繫多ななかによくいろんなお勉強をなさって、しっかり楽しんでおられる。
ご紹介賜りました関容子氏の『芸づくし忠臣蔵』、明日(土曜日)手元へ参る予定です。
楽しみです^^
文庫本は値がついていましたのに単行本は1円(!)でしたので、単行本を注文してしまいました^^;
近代になって書かれた『元禄忠臣蔵』を通しで観たことがありますが、退屈しました。史実に忠実ってぇのは面白味に欠けますね。