100歳87%だって?古来女性は強かったのよ 玉織姫のキャラにびっくり 文楽「一谷嫩軍記」初段・二段目
2016年 09月 14日
慌てて外に出ると、いつもは見られない子供たちの登校風景、自転車の中学生が走りすぎざまに聞こえた歌声の、太い大人の声なのに驚く。
そういえばタイキも野太い声を出すようになったなあ。
昨日見てきた文楽・「一谷嫩(いちのたにふたば)軍記」には面白い女性たちが登場する。
平時忠の娘なのだが幼い頃に平経盛の養子となって、末は息子の敦盛と結婚することが期待されている。
戦のことも色ごとのことも絵ではみているけれど、実際のことは何も知らないおぼこ姫が、どうしていつまでも敦盛と結婚させてくれないかと悩んでいると、周りの女房達は「待ってちゃダメよ、もっと積極的に攻めなきゃ、近づいていってつねったり、さ」と教えてくれる、「でも寝たらなんて言えばいいのかしら」なんて答えて女房連を笑わせる始末。
そこに平時忠の使いがやってきて、「そちらで敦盛と結婚させる気がないのは幸い、こちらに返してくれ」という。
時忠は平家を見限って源氏についていて、義経に長女の郷の君を妻として差し出している。
義母の藤の方(この人がまたなかなか豪傑)が、「帰るか帰らないかは、あなたの気持ち次第なのよ」と(経盛を差し置いて)尋ねても、恥ずかしくて何も言えない玉織姫、「何も返事がないってことは、帰りたいってこと、そう、そうなのね、今まで育ててあげたのに、平家が危なくなってきたら見限るというのね、恩知らず、さっさと帰って親孝行しなさい」と泣きながら突き放す。
使いが、「それじゃ行きましょう、姫様には平山武者所という素晴らしい義経様に並ぶような武士を夫にしようと時忠様が待っている」という、のちの展開で分かるのだが、なんとも嫌らしい男なのだ。
すると玉織姫は、素早く使いの者の肩から袈裟懸け、うっと倒れるところをもう一太刀、さらに倒れた男にのしかかるようにしてとどめまでさすではないか。
というわけで玉織姫はめでたく、すぐに(血染めのまま!)敦盛と祝言となる。
そこで経盛から衝撃の発表があって、「敦盛様は藤の方が後白河法皇に仕えていた頃に寵愛を受けて身ごもった子、周囲の妬みが強いので、私のところへ嫁いできて、その後お産まれになったのだ、いずれ天皇にもなるかもしれないので無官の太夫としてきた。だから敦盛様と玉織姫、藤の方は戦に行かないで北嵯峨で暮らせ」という。
そのあと、いろいろあって結局は敦盛は、安徳天皇を守るために一の谷に向かうのだが、その時、玉織姫は「私も連れていってくれ」と敦盛の乗った馬の鐙を放さない。
ダメだ、という敦盛、藤の方は、「一門のみんなも妻子と一緒に行ってるんだから、かまわない、出陣だ」という。
さらば、と敦盛は馬で行く。
そのあとを玉織姫は長刀をもって徒歩で追うじゃないか。
「さっきは使いの者を殺してしまったそうだが、こんどは俺が連れていく。大人しく姫を出さなければ、、」とすごむ。
すると藤の方と残った女たち(玉織姫に爪って迫れ、なんて教えていた)はてんでに武器をとって、男どもを十文字、袈裟、薙ぎ払い、コテンパン、逃げ出す成田を藤の方が弓で見事やっつけてしまう。
「敦盛さま~、太夫さま~、この暗いのにただお一人では危ないです。お帰り下さい。」
危ないのはお前だって!
ほら、現れたのは、あの平山武者所じゃないか。
「おお、玉織姫、あなたに恋い焦がれておりました、女房になってくれ、敦盛?あいつは俺が殺したよ」と敦盛(実は熊谷小次郎)にやられそうになって逃げてきたのに嘘をほざいて近づいてくる。
玉織姫が短刀で突きかかるとその手をつかんで、「このお手の柔らかいことといったらたまらない!震えているのがまたいいねえ」戦場でセクハラだ。
「汚らわしい、畜生め!誰か強い人が来てこいつを殺してくれないか」姫ごぜのあられもない呪詛に、さすがの平山も頭にきて、グサリ、玉織姫は崩れ落ちるのだった。
第一部が二段目まで、第二部は寿式三番叟を挟んで三段目。
ふつう演じられない場面を通しで見るとお芝居の本来の「それからどうなるの?え、どうしてそうなっちゃうの?それでそれでどうなるのあの人!あ、そういうことだったのね」みたいな面白さが横溢、そのうえ次から次へと15人もの太夫が表情豊かにいろんな声を聴かせてくれる。
俺はフトコロの関係もあって第一部だけを買ったのだが、とちゅうで終わるのに我慢ならなくてそのままチケット売り場に寄って明日(今日)の第二部の一番後ろの席を買ったのだ。
ああ、楽しみだ。
大作ですね。
普段は、続けて講演することは、
あまりないのでしょうか。
107歳、すごいですね。