旅で出会った人&ヘレン・ギルトロウ「謀略監獄」

サンチが片足上げている間に肩のストレッチをしたら、熱海の街をあてもなく歩いていたときに工事現場のオジサンたちが揃って同じことをしていたのを思い出した。
いちっ、にっ、さん、しっ、ごっ、ろくっ、、10までやって反対の手を前に出す。
5、6人だったがみんな真面目にやっていた。
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その日の熱海では道に迷って、別の工事現場の交通整理をしているオバサンに教えてもらった。
大きな明るい声で身振り手振りも交えて親切に教えてもらった。

東海道在来線ぶらり旅の時は用宗で、用宗城山への曲がり角を、やはり交通整理をしているオジイサンに尋ねた。
真っ黒に日焼けしたオジイサンが子供のころ城山で遊んだことを、訊きもしないのに楽しそうに話してくれた。

そういう人たちのことがふっと思い出されると、あのひとは今どうしているかな、などともう一度あそこに行ってみたくなる。
教えてもらった城山よりもあのオジイサンを見たく(会うというよりも)なる。
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直江津で道端の稲荷堂に子どもと二人で参って、そのまま海が暮れていくのを眺めていたオバアサンの後ろ姿ももういちどみたい。
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チェルトナム生まれの女性作家の処女作。
462頁二段組み、長い長すぎる。
それでも一日半で読み通したのだ、いつか面白くなるかと思って、ここまで読んで投げ出すのは悔しいとも思って。
表の顔は美人で社交界の名士、裏の顔はデータの不正取得や身分の偽造を得意とする闇社会のフイクサー、いろんな得意技をもつメンバーを駆使する。
ちょっと、アンドリュー・ヴァクスのバークシリーズに似ている。
特殊部隊あがりのストイックな殺し屋を<プログラム>ー刑務所不足対策で設けられた郊外の荒廃した住宅地を活用した収容施設、表向きのうたい文句とはまるで違う元ギャングの親玉が支配する無法地帯―に送り込み、殺しをやらせる。
対象は女、写真しか見せられず名前も素性も不明。
ターゲットの正体を明らかにするのが本作のメインストーリー。

込み入っていて、その込み入り方に意味がないような気がする。
だけど、それがないとミステリにならない、ただの暴力小説。
バークのような児童虐待に対する怒りとかナチス嫌いの男ととかすげえ犬などが出てこない分つまらない。
骨を折る、という拷問・暴力が再三登場して、読むのに骨を折った、イタイ小説なりき。
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田村義進 訳
文藝春秋

Commented by kogotokoubei at 2016-08-27 12:07
チェルトナムという懐かしい町の名前を目にしたので、ついこちらにコメント^^
イギリスの古い街並みが残るコッツウォツズという一帯の端っこにある町ですが、二十年ほど前に何度か仕事の関係で行ったことがります。
結構好きな街です。
障害競走の競馬場があって、ディック・フランシスのシリーズでも、よく名前が出ますね。

一つ前の記事にコメントしようとしたいたのですが、こちらになってしまいました。
夏休み、ついテレビをつけていて、「一億総白痴化」という言葉を思い出しました。
馬鹿な息子の失態に関する母親のコメントなんて、まったく興味がありません。
しかし、それを一斉に攻撃するコメンテーターなる一山いくらのタレントたち・・・・・・。

今、テレビを消してジャズを聴きながら、「POPEYE」の特集「ジャズと落語」を読んでいました。
白酒が私が好きなクリフォード・ブラウンの名を挙げていて、嬉しくなりました。
「すばる」と比べちゃいけないんでしょうが、“純文学”は、やはり苦手です。
Commented by kogotokoubei at 2016-08-27 12:31
「コッツウォルズ」の誤りです。失礼しました。

 せっかくなので(?)Wikipediaより。
----------------------------------------
コッツウォルズ (Cotswolds) は、イングランド中央部に広がる標高300m以上に達する丘陵地帯であり、時としてイングランドの中心と呼ばれる。 特別自然景観地域(英語: Area of Outstanding Natural Beauty)に指定され、クリーブヒルがこの丘陵地帯の最も高く330mである。
コッツウォルズはグロスターシャーで最も面積が広いほか、サマセット州、オックスフォードシャー、ウィルトシャー、ウォリックシャー、ウスターシャーの各州にまたがる。コッツウォルズとは「羊の丘」という意味。
-----------------------------------------
 ローマ風呂の跡などもある一帯。
 北海道を思い出させるイングランドの一帯でした。

 仲が良くなった現地の社員が休日に案内してくれた後、チェルトナムの昔ながらの店で飲んだビールが美味かった!
Commented by sora at 2016-08-27 16:34 x
旅で出会った人のお話は とても印象が強かったです
自分の心にある、大切なものを引っぱりだしてくれます

宿泊したKloster Schöntalの朝食で相席になった69才の
サイクリングの女性が忘れられないです。
暑かったから,途中川で泳いだのと家から60Kmを話す。
こういう方はドイツで珍しくないですが 日焼けした顔と
目の清々しさと話に、又、どこかを走っているかなと... 
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-27 21:18
> kogotokoubeiさん、そうです、デイックフランシスでしたね、なにか記憶があって地名を書いたのです。
いい思い出があるのですね、わたしはロンドンしか知らないのですよ。
それも観光ツアーみたいなもので二泊と一泊、二回だけ。
久しぶりの「はじめ」でバカママの話がでました。
あれはどうみてもお芝居そのもの(会見)というのです。
見てない私には何とも言えないけれど、あり得る話だと思いました。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-27 21:23
> soraさん、ほとんど話をしていないのにその佇まいになんとも言えないものを感じて記憶に残ります。
彼らとそうしている自分が懐かしいということもありますね。
Commented by ikuohasegawa at 2016-08-28 06:18
「いつか面白くなると思って読んだ・・・読むのに骨を折ったイタイ小説なりき」と記憶しておきます。
Commented by j-garden-hirasato at 2016-08-28 06:51
一枚目の写真、
鳳凰が飛んでいるようにも見えますね。
「462頁二段組み、長い長すぎる。」
その時点で、
読みません(笑)。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-28 09:13
> ikuohasegawaさん、イタカッタなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-28 09:14
> j-garden-hirasatoさん、紹介した意義がありました^^。
Commented by ume at 2016-08-28 21:33 x
夕暮れの直江津の写真 船見公園の西側かな?
よほど条件が良くないと佐渡ケ島も見えず、あっけらかんとして単調な海岸線ですが、この海岸線をさらに西へ10キロほどの我が家の目の前の景色が、テトラポットのたたずまいを含め、まさにこの景色です。60年前のブロック設置のおかげで、以後家が高波の直撃を受けることがなくなりました。それにしても、60年間この景色はまったくなにも変化していません。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-28 22:40
> umeさん、船見公園、そんな名前を覚えています。
ひとりで巻町を訪ねた翌日歩いたような気がします。
原発を拒否した街を見たかったのでした。
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by saheizi-inokori | 2016-08-27 11:29 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(11)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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