「生長の家」出身者が日本を動かしている? 菅野 完「日本会議の研究」

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伊藤哲夫
日本政策研究センター代表
日本政策研究センターとは、「保守革命」を標榜、それは明治憲法復元を最終目標として、現実には丸ごと改憲ではなく「緊急事態条項の追加」「家族保護条項の追加」「自衛隊国軍化」を実現していく。
当面具体的には「歴史認識」「夫婦別姓反対」「従軍慰安婦」「反ジェンダーフリー」をメインテーマとする(まさに自民党の方針でもある)。
今や、第一次政権以前から安倍首相の筆頭ブレーン。
かつては生長の家青年会中央教育宣伝部長。
「生長の家」が1983年に政治活動を停止した後、日本政策研究センターを設立。

百地章
昨年、安保法制審議の山場で、圧倒的多数の憲法学者が違憲だと言明する中で菅官房長官が「合憲だとする学者もたくさんいる」として、たった三人の学者の名前を出したその一人が日大教授のこの人。
百地は日本会議が別動隊として作っている「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の幹事長であり、「『二十一世紀の日本と憲法』有識者懇談会」の事務局長である(ほかの二人の学者も両団体の役員をしている)。
百地は1969年に生長の家の学生信徒とその周辺に集まる民族派学生の運動を母体として結成された「全日本学生文化会議」(現在は日本会議の運動を取り仕切る「日本青年協議会・会長椛島有三」の傘下)の結成大会実行委員長をしていた。
米・グレンデール市に設置された従軍慰安婦像をめぐってできた「朝日・グレンデール訴訟を支援する会」なる意味不明の団体の代表者でもある。

高橋史朗
政府がユネスコに提出した、中国による南京事件の記憶遺産登録に反対する意見書の作成者。
外務省は高橋を「バランスの取れた研究者だ」と公言するが。
日本会議を支える日本青年協議会の幹部であった。
日本青年協議会は、70年安保の頃椛島有三や衛藤晟一(現・安倍首相補佐官)たちの生長の家学生運動が左翼学生運動に勝利した長崎大学学園正常化運動を起源とする。
高橋は早大時代「生長の家学生会全国総連合」の委員長ののちアメリカに留学、GHQに押収された谷口雅春の著作を見つけ出す(筆者はこの功績により椛島や衛藤とは年齢的にも距離のあった高橋が日青協の幹部になったと見立てる)。
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現内閣閣僚のほとんどが加入している日本会議、その事務総長は椛島有三、事務を効率よく取り仕切る青年協議会の代表も椛島、生長の家出身だ。

さらにもう一つのラインとして、生長の家原理主義者(と筆者は呼ぶ)たちの運動も無視できない。
政治運動から手を引きエコロジー左翼的な団体となった生長の家のあり方に反旗を翻し「谷口雅春先生を学ぶ」誌(上記の百地が創刊号編集人をした)を機関誌とする中島省治たちのラインが稲田朋美(生長の家の経典をぼろぼろになるまで読んだと講演する)や教育勅語を唱和させ愛国行進曲を歌わせる「塚本幼稚園」、在特会、チャンネル桜、西村修平(ヘイトデモの嚆矢)などと密接な人間関係を築き「行動する保守」としてきな臭い日本を醸し出す。
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あの人も、この人も、みんな日本会議。
日本がSF映画のインベーダーに取り込まれてしまったかのようにいつのまにか日本会議が日本の中枢を侵している。
その日本会議を生長の家の学生運動出身者が動かしている。
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地方議会で「改憲を求める請願書」「教育改革、、」「外国人参政権、、」「朝鮮人学校への補助、、」などを頻発し採択を迫る。
その過程で自分たちの主張を丁寧に説明する。
地方議員の候補者にアンケートとして思想調査まがいのことをする。
一万人集めるといったら必ず集めて武道館をいっぱいにして規律正しい「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を開く。
こうした組織力・行動力に小選挙区制下の政治家たちは抗えない・惹かれもする。
個々の構成員は高齢でそのくせ考えが幼稚でかつ多種多様かもしれぬが、これを束ねる事務方は、極めて優秀だ。この事務方の優秀さが、自民党の背中を押し改憲の道へ突き進ませているものの正体なのだろう。
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世論調査をすれば決して右傾化していない日本国民が、いつのまにか、ごくごく一握りの一部の人々が長年草の根的に続けてきた「市民運動」で地方議員や宗教団体を動かすことによって、凄まじい右傾化に巻き込まれる。
筆者は「ごくごく一握りの一部の人々」を陰で束ねる男として、安東巖を見たてる。
谷口雅春の秘蔵の弟子、神の子でもあり、椛島とともに長崎大学運動の輝けるヒーローでもある。
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(九十九里で獲れたという「ぜんなはまぐり」、小さいけれど柔らかくってうまいのなんの!)

ちょっと前のことだが、松下政経塾出身の議員が与野党に多く、彼らの政治的影響力を云々する報道もあった。
あの連中と日本青年協議会の連中はどういう関係にあるのだろう。
宗教と学生運動・政治を結びつけると強い力を発揮する、そこが権力志向がめだつ松下政経塾とは違うのかもしれない。

日本会議=日本青年協議会は、消費税増税見送りなどのテーマとはどうかかわっているのだろう。
そしてなんといってもアメリカとの関係をどう考えているのか。
いろいろもっと知りたいことも出てくる。
いずれにしても神がかり的インベーダーなんていやだな。
撃退しなければヤバイぞ。
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(横瀬の棚田、車の中から)

扶桑社新書
Commented by jarippe at 2016-05-31 20:23
いろんな考え方の人がいてもいいけれど
一つの考え方だけで世の中を作ってしまうのは困ります
いろんな人がいていろんな考え方が有って
大きい人と小さい人強い人弱い人優しい人意地悪な人
皆が生きて行く世の中です
皆でワイワイガヤガヤ言い合って皆で住みやすくしていきたいです
Commented by saheizi-inokori at 2016-05-31 22:00
> jarippeさん、まったくその通り、同感です。
寛容も宗教の教えのはずなんですがね。
Commented by tocotoco-o3po at 2016-06-01 00:04
こんばんはです~(^-^)
とても興味深い本ですね。
結局、日本は一握りのほんの少数の事務方によって動かされているということでしょうか…。
申し訳ないのですが、事務方によい印象がありません。
想像はしていたものの私たちの一票なんて意味のないものなんじゃないか、節電だって意味のないものだな…と虚しくなります。

明日は仕事の勉強会で街中に出掛けるので借りて読んでみようと思いました。
Commented by sweetmitsuki at 2016-06-01 04:46
「日本会議」と「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は憲法改正に向けて1000万人の署名を集めるといってますが、実際にはまだ800万人ぐらいしか賛同者は得られてないようで、仮に1000万人の署名が集まったとしても、憲法改正に必要な国民投票の過半数には到底及びません。
この本に書いてある通り、絶望するにはまだ早すぎます。
Commented by ほめ・く at 2016-06-01 09:54 x
近々記事にしようと考えていたら、佐平治さんに先を越されてしまいました。それでも性懲りもなく書評を書くつもりですが。
彼らの手口からバックにカルトがいると予想はしていましたが、果せるかな「生長の家原理派」が源流でした。最終目標は「明治憲法の復元」に置いている極右集団で、これが今の日本の実権を握りつつあるという恐ろしさは十分に伝わりました。彼らのとの戦いが、我が国の民主主義が守れるかどうかの分水嶺になるでしょう。
Commented by saheizi-inokori at 2016-06-01 10:35
> tocotoco-o3poさん、虚しくなる、でも向こうも一票づつの積み重ねです。
負けずに頑張りましょう。
Commented by saheizi-inokori at 2016-06-01 10:36
> sweetmitsukiさん、おっしゃる通りですね。
カルト学生運動あがりなどに好き勝手なことをさせるわけにはいきません。
Commented by saheizi-inokori at 2016-06-01 10:40
> ほめ・くさん、「神癒」などという言葉が頻出する世界の連中が学生運動で培った組織力で権力を握ろうとする。
言っていることが単純でばかばかしいだけに一般受けする反知性主義でもあり恐ろしいものがあると思います。
Commented by ikuohasegawa at 2016-06-02 09:41
生長の家。気になって調べてしまいました。
三代目が方向転換して分裂状態のようですね。三代目の孫、成長の家かな。
Commented by saheizi-inokori at 2016-06-02 11:26
> ikuohasegawaさん、いろんな宗教を包容するとか、天照大神=天皇を信じるとか、ちょっと調べたくらいじゃわからないです。
もう少し勉強して、、ミイラにならないように。
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by saheizi-inokori | 2016-05-31 14:57 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori