過ちと誠実に向き合うこと グードルン・バウゼヴァング「片手の郵便配達人」
2016年 04月 25日
子供のころは花を摘んで密を吸ったけれど、今はバッチイからやらない。
でも目には美しい。

1944年8月から45年5月まで、ナチスドイツが後退に後退を続け敗戦に至る時期、中部チューリンゲンの森近くの村が舞台。
主人公・ヨハンは17歳、勇んで英雄になるつもりで応召するが、間に合わせの訓練を受けただけで前線に送られ、二日目に左手が榴弾の破片で吹き飛ばされ帰郷。

なんといっても命を失わなかったし、帰るべき故郷があり、前から勤めていた郵便配達の仕事がある。
山を越え、谷を歩き、毎日20キロ以上、七つの美しい村をまわって集配する。
ヨハンは郵便配達の仕事が好きだった。
村々の人びともヨハンを愛し、食事や飲み物、お菓子をふるまうからヨハンは飢えることがない。
ヨハンが愛し、ヨハンのみならず近隣の人びとから愛され尊敬された母は助産婦をしていたが、ヨハンが戦争に行っている間に吹雪のなかで遭難して死んだ。

愛情と、ふるさとを思う心をどれぐらい携えて歩んでいけるか、人生はそれにかかっている。愛は力を、故郷は根っこを与えてくれるから
かつてヨハンは母の口癖を素直に受け入れられなかったが、今は胸を張って「母さんは、僕が生きていくためにしっかり備えをしてくれたね」といえる。

若いヨハンには荷が重すぎる仕事だが、ヨハンは機械的に手紙を置いて立去ることはできない。
すがりつく人もいるし、動転して怪我をし血しぶきを浴びせる人もいるが、一応の落ち着きを見るまで立ち会う。
その人・家族にとっての人生最悪の瞬間に立ち会うのだ。
16歳から60歳まで、障害のない男が召集され、家族と手紙をやりとりし、やがてそれもできなくなる男が増える。
留守宅で死ぬ老人もいる。
父親の顔をみることができない子供が生まれる。
ルールなどから難民が押し寄せる。
そういうドラマが毎日ヨハンを迎える。

母親と助産婦は、命がけで子どもを産み出すのよ。だけど、その子どもたちが大きくなったら、国は彼らをこの世から放り出してしまう。国家にどんな権利があるわけ?国が必要とするのは男だけで女は数に入ってない。女の役目は男たちの戦争のために子どもを作って育てること。そんなことを言わせて、黙っている女もいるんだから!
母はヒトラーの悪口を言ったが、ヒトラーユーゲントでヒトラーは不敗であることを信じている若い女性もいる。
告げ口をして地区責任者になり残っている男もいる。

9か月を章立てしてヨハンの見たドイツの銃後の暮らし・ドラマ、人びとの人生観の交錯が描かれる。
衝撃の結末が待っている。
「日本の皆さんへ」で、作者はヒトラーの独裁政治の誘惑に負け、「抵抗もせず、ただ付き従っていた」ドイツ人が、
戦後、私たちは学びに学びました。子どもたちも学校で、以前とはまったく異なる観点に立つ歴史教育を受けました。慎み深く、控えめに、自らを律し、強権的態度を取ることなく、下位で満足するよう努めました。そうやって少しずつ、暴力的犯罪国と見なされなくなり、他国と対等な友人関係を結ぶことができるようになりました。それには何十年という年月を要したのです。
と書き、日本もドイツと同じように周辺国に非道な行いをした、その事実と(個人も国も)誠実に向き合い、謙虚になるべきであり、
いかなる場合も、過ちを否定したり、事実をもみ消したり、隠そうとしてはなりません。罪を認め、心から詫び、できるかぎりの償いをして、共生していく努力が必要です。そうして初めて、近隣の人々とよい関係を築くことができるように思います。
とも書いている。

高田ゆみ子 訳
みすず書房
ドイツの戦後の在り方、そしてこの本の作家の方のメッセージ,感銘を受けます。なぜ、日本はこうできないのか。・・哀しいですが、共感できる人達で手をつなぎ、そのあり方に賛成です。と表明したいです。そして少しでもそのことを行動することが出来れば・・と思います。

こんなプレゼント一杯のワンちゃん、聞いたことがないです。
この本からいろいろな事を教えられますね。
もみ消したり、隠そうとするのは最低です。こういうことだけは戦争に関係なくやってはいけないことですね。

素敵な絵で心を豊かにして下さる奥様と
お二人のお誕生日なんですね おめでとうございます
本の紹介をありがとうございます
町長だった大叔父(ナチ贔屓に引き摺り降ろされた)から
聞いた、あの頃の人々の話を思い出しました。
大叔父さんの話を聞きたかったです。

その皇室のために戦争をして、負けて、皇室が謝らず責任も取らないから、誰も謙虚に責任を取らないのではないでしょうか。
すべては上御一人の命令だったのだと。