たかが居酒屋というなかれ

「やっとかめ」って知ってますか?
名古屋にいた頃、行きつけの赤提灯にご無沙汰するとこの言葉で迎えられた。
あの頃の常連、新聞屋、名タクの運転士、土建職人、保育士、、みんなどうしてるだろう。
俺が仕事でドツボにはまっているのを知りながらそっと見守ってくれた、やさしい連中。
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いま、ときどきカミさんといく店「しらいし」。
ここは客同士の会話は少ない。
他の客とママやマスターとの話に興を覚えると、直接じゃなくてママ・マスター経由で会話することもある。
せんじつ、「すあま」「すはま」「あましょく」のちがいをめぐって、珍しくみんなで盛り上がったのは楽しかった。
知らない人に食べ物のことを口で教えるってけっこう難しい、それが面白かった。
そういえば、みなさん『やっとかめ』を知らなかったな。
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落語の帰りなどに一人で行くのは「はじめ」だ。
ママが欠かさず日替わりで5~7品の大皿・家庭料理を用意してくれる。
そのほかに注文で作るメニューが黒板にぎっしり。
どれもこれもうまい。

ここも常連が多い。
ひとりで来る女性の多いこと。
みなさん、話が弾んで滞在時間が長い。
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その「はじめ」のママが膝の骨折とかでずっと休み、働き過ぎなのだ。
常連の美容院のママに頭をやってもらいながら、「みんな、さびしがってるでしょ」と訊いたら「そうなのよ、ご飯食べる場所なくなっちゃったっていう人もいるし」。

たかが居酒屋というなかれ、ママに「お帰りなさい」と迎えてもらうのが楽しみで頑張って仕事に行く人だっているんだから。
「こんど出て来たら、みんなで協力して10時半には店を出るようにしたら」といったら「さいしょのうちは守るんだけど、すぐに俺だけはみたいな人が出てくるからねえ」。
そういう店なのだ。
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オーバーストア、店が多すぎるのに、次から次へと新しいビルが建ち、似たような”個性的な”飲食店が出店する。
でも店が休んでも誰も困らないような店ばかり。
そういう店が、ほんとに大事な店をつぶしていく。
つぶしてつぶされてつぶし合いの成長したがる経済。
だから「はじめ」で一日を終えたいのだ。
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銭湯の休業も困る人が多いだろうな。
小さい細々としているけれど、なくなると困ったり寂しくなる人が多い、小商い。
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街の小さな宝石たち。
彼らの輝きが消えないような国、それこそが取り戻したい日本じゃないか。


Commented by unburro at 2016-04-07 14:26
「はじめ」のママさん、膝の骨折でお休みですか…
私も、骨折ではないのですが、膝の軟骨が欠けている!?とか言われて、ちょっとヘコんでいる所です。
何だか、御同類を見つけたようで、うれしい(笑)です。
Commented by jarippe at 2016-04-07 15:40
人の幸せ満足感って
心が通い人間らしいお付き合いが出来ることですよね
勿論 ある程度の経済力は必要なのですが
Commented by wawa38 at 2016-04-07 16:37
やっとかめ、もちろん知ってます(^^
やっとかめだなも、saheiziさん・・・とか?

最近はやさしい名古屋弁が使われなくなってきて寂しいです。
河村名古屋市長さんの言葉はわざとらしくて、好きになれない
のですよ。
Commented by ikuohasegawa at 2016-04-07 16:47
こちらの岡野栄泉は廃業ですか。
どなたかの作品に出ていましたが、江戸時代の和菓子屋の暖簾分けで数十店あるそうですよ。
頑張ってほしいものです。
Commented by at 2016-04-07 18:29
こっちも同じ、どんどんハイカラな店ができて来るけど、
何所の国かわからんようになって来る。
おぉ、嫌だ!
Commented by Vimalakirti at 2016-04-07 18:37
「何々屋さん」と呼べるお店がだんだん少なくなってきましたね。
おなじみさんが通うレストランに「主人なきあと頑張ってきましたが、
この三月をもって、お店を閉じさせていただきます」という内容に
張り紙の空いているところを埋め尽くすように、常連さんの書込みが
あるのを最近目にしました。私も一度入りたいと思いながら、いつも
いっぱいだった小さなイタリアンのお店です。こんなお店いいですね。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 21:51
> unburroさん、うれしがらないでお大事に。
はじめのママ、通っている整骨医やら美容院やら、みんなが心配している、なんだか温かです。
でも寂しい。

Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 21:52
> jarippeさん、まあ、生きていける程度にはね。
それ以上にはあればあるほど邪魔になりそう。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 21:56
> wawa38さん、「なも」、「河文」でしたっけ、割烹の女将さんの尾張弁を思い出しました。

Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 21:58
> ikuohasegawaさん、佐原に行った時の写真です。
休日の店が多かったので、ここもそうであることを祈りつつ撮りました。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 22:00
> 蛸さん、地方都市がひどいようです。
駅前がチエーン店ばかり。
一億総活躍が聞いてあきれます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-07 22:02
> Vimalakirtiさん、一億総活躍って、ほんとうはそういう店が頑張れる社会のはずですよね。

Commented by at 2016-04-08 06:52
おかみの心意気が売りの居酒屋は、船にとっての灯台です。

最近、家庭料理みたいなものが肴によいのです。
こぶとさつま揚げの似たのなんて最高でして。
しかも、こぶが多くて、さつま揚げは細切れでいいなんて。
若いころとは変わってきました。
Commented by k_hankichi at 2016-04-08 07:10
やっとかめ、という言葉ははじめまして知りました。居酒屋や小料理屋の馴染みがあること、良いですよね。僕は神奈川の県央地区に、四、五軒です。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-08 10:11
> 福さん、灯台でもあり港でもあります。
コブとかワカメ、タケノコ、菜花のお浸し、白和え、、注文次第でいろいろ作ってくれるのです。

私はさいきん子供のころ食ったものがうまくなってきました。
Commented by 散歩好き at 2016-04-08 11:46
居酒屋に行く習慣がないので人生を狭く過ごしました。酒は小心者の睡眠薬替わりでした。最近は寝られるので呑むことも少なくなり偶に飲むと変な酔い方をします。二日続けると元に様に呑めます。娘が味見をしてから地酒を送ってくれるので4合瓶が結構持ちます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-08 13:59
> 散歩好きさん、そういう酒がいちばんいいと思いますよ。
私はちとばかり飲みすぎです。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-08 16:01
K-hankichiさん、四五軒あれば充分過ぎませんか?毎日順繰りでも一週間もつ。^^@
Commented by hanamomo08 at 2016-04-09 23:04
どのお店も宝のようですね。
美容師さんもはじめの常連客でしたね。

何冊か読んだことがある、福島出身の作家 石田千さんが行くようなお店ばかりで驚きました。
こんなお店が彼女のエッセイや小説にはたくさん出てきます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-04-10 09:43
> hanamomo08さん、昔は床屋とか銭湯、または女性は井戸端が近所の人のコミュニケーションの場でしたが、いまは居酒屋が、、というほどのこともないか。
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by saheizi-inokori | 2016-04-07 10:57 | 気になる店・ひと皿 | Trackback | Comments(20)

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