なかったことにしてくれ~! コリン・デクスター「オックスフォード運河殺人事件」
2016年 03月 05日
どこに行くかと言えば銭湯「ノザワランド」だ。
ちょっとでも身体を動かさないとね、背伸びもやるんだよ。
桜新町から歩いてきたと言ったら、どうりでお腹が出てないっ、と褒められた。
風に向かってでも、たまには入りたくなる銭湯のゆえん。
あらあ!せんじつ臨時休業だったので心配していたママさんは元気そう、腰やら膝やらが痛くて、変な医者に脅かされて絶対安静で何日か休んでみたけれど、つまりは別の医者に掛かり、、いろいろ闘病のゆくたてを聴く。
どこの医者がいいか迷うほど医者が多いってのはありがたいことだね。
次々に常連(女性一人客が二人、男が二人)が入ってきて、本年初登場の俺は人懐かしくてついつい話に加わる。
一枚でも売るから、昔窓口で買ったつもりで買えばいいのよ、私なんかもう顔なじみ。
チケット屋も都心に行くと安くなる。
ネットなんかで調べるよりずっと楽しい情報収集だ。
モースは不摂生がたたり”よくても胃潰瘍”で倒れて緊急入院。
一時は命が危ぶまれるほどなのにルイスが差し入れたウイスキーを隠れて飲む。
呑む方はもちろん差し入れるルイスもけしからん。
入院のときに宗教を聞かれる。
心臓の医者の診察待ちで本書を読んでいたものだから、先生に日本では聞かないんですかと尋ねると、さあ、どうでしたっけ。
同室だった患者・大英帝国勲章と戦功十字章の佩用者である元大佐が亡くなる。
モースも死とまともに向かい合う瞬間だ。
元大佐が19世紀半ばにオックスフォード運河で若い女が殺された事件を調べて上梓した本を未亡人から贈られて、モースはその120年も前の事件にのめり込む。
なかには献身的にモースの調査に協力してくれる娘もいる。
ちょっと退院したくなくなる、わかるな。
たとえば「速読」の能力を欠いているという。
つまり精読、俺にはこれは長所と思える。
彼の欠点の一つは、どんなに大きな犠牲が払われたかに気づかず、また理解もせずに、人の誠実な行為を軽く受け取る傾向がある
これは、モースのような、いわゆる”エリート”=自他ともに認める、人より優れた才能をもち、それゆえ人にできない使命を果たすべき人物にありがちな、むしろ必要な能力なのかもしれないが、やはり欠点としかいいようがないだろう。
まして凡人・俺にもこういう傾向が多分にあるのだから、ドキッとした。
今ごろ思いあたる数々、タノム!なかったことにしてくれ~!
ハヤカワ・ミステリ文庫
きっとエアコンの部屋で育てられたんや、
売られた後はどぉ成っても関係ないってことらしい。
ですから環七沿いという方が正確、私は桜新町から青山通りに出てそこを歩いたのです。
野沢という街があるのです。福田赳夫が住んでいたんじゃなかったかなあ。
ミステリを読むのは楽しみばかりじゃない、でもモースにしてそうなのか、と思えばいくらか気がまぎれます。