一朝「短命」のほどの良い色気、オオカミのように吠える白酒の「お見立て」 第42回三田落語会・昼席
2016年 02月 21日
朝の内は晴れてサンチと歩いてきたが昼頃から雨。
おにぎりをそそくさと食って三田落語会へ。
前座は一花(いちはな)、「初天神」。
中学生くらいに見えるカアイイ少女、女性の噺家はいったん男の噺家になったつもりで、そのうえでオカミサンをやるのかな、と変なことを考えたのはなぜかわからない。
おとっつあんが飴を選びながら指先をすっとネブルところとか、金坊に「飴をかんじゃだめだ、舌の先でレロレロってやれ」というとか、いかにも女性らしい?表現を工夫していた。
一朝「短命」
弟子の一花のこと、彼女がいるために楽屋や一門が華やいでみんながはしゃいでいるところなどを温かい口調でマクラにする。
勘の鈍い八、あの手この手で若夫婦の痴態前段階を説明する大家に、「わかりやすいように絵に描いてください」。
「こんなものが絵に描けるか!」
やっと短命の訳が分かった八はおかしくてたまらない、あっはっは。
「あんまり嬉しそうに(亭主の弔いに)行っちゃだめだよ」、俺も笑っちゃうかもしれない。
八がカミさんに「亭主の俺の頼みなんだよ」、かみさん、すかさず「だからいやなんだよ」。
かなりきわどいけれど、おかしい。
でも嫌らしくない、程の良さ。
白酒「お見立て」
花魁の喜瀬川、「なんで私が(いやな杢兵衛のところに)行かなきゃならないの!」、喜助が「仕事だから」。
そうだよ、仕事をちゃんとやれっての政治家は、あ、違った。
あんまりワルイ花魁だから国会の話だと勘違い。
喜瀬川は死んだと聞いた杢兵衛旦那、「アウ~ウ~ウ~」オオカミの遠吠えのように泣く、いいやつじゃないか。
中入り後、白酒「花色木綿」
長屋に空き巣が入ったけれど、何もない。
干してあるフンドシ一本を盗む。
高木大臣よりはましか。
盗られた男がそれを奇貨として、店賃も盗られた、夜具一式も、羽二重の紋付も、蚊帳も、眼鏡も、、。
大家の調べに調子に乗って答えるうちに幻想の世界(ほんとに物持ちだった)に入っていく。
そういう気味の悪さがあればもっと面白かった。
おにぎりをそそくさと食って三田落語会へ。
前座は一花(いちはな)、「初天神」。
中学生くらいに見えるカアイイ少女、女性の噺家はいったん男の噺家になったつもりで、そのうえでオカミサンをやるのかな、と変なことを考えたのはなぜかわからない。
おとっつあんが飴を選びながら指先をすっとネブルところとか、金坊に「飴をかんじゃだめだ、舌の先でレロレロってやれ」というとか、いかにも女性らしい?表現を工夫していた。
弟子の一花のこと、彼女がいるために楽屋や一門が華やいでみんながはしゃいでいるところなどを温かい口調でマクラにする。
勘の鈍い八、あの手この手で若夫婦の痴態前段階を説明する大家に、「わかりやすいように絵に描いてください」。
「こんなものが絵に描けるか!」
やっと短命の訳が分かった八はおかしくてたまらない、あっはっは。
「あんまり嬉しそうに(亭主の弔いに)行っちゃだめだよ」、俺も笑っちゃうかもしれない。
八がカミさんに「亭主の俺の頼みなんだよ」、かみさん、すかさず「だからいやなんだよ」。
かなりきわどいけれど、おかしい。
でも嫌らしくない、程の良さ。
白酒「お見立て」
花魁の喜瀬川、「なんで私が(いやな杢兵衛のところに)行かなきゃならないの!」、喜助が「仕事だから」。
そうだよ、仕事をちゃんとやれっての政治家は、あ、違った。
あんまりワルイ花魁だから国会の話だと勘違い。
喜瀬川は死んだと聞いた杢兵衛旦那、「アウ~ウ~ウ~」オオカミの遠吠えのように泣く、いいやつじゃないか。
長屋に空き巣が入ったけれど、何もない。
干してあるフンドシ一本を盗む。
高木大臣よりはましか。
盗られた男がそれを奇貨として、店賃も盗られた、夜具一式も、羽二重の紋付も、蚊帳も、眼鏡も、、。
大家の調べに調子に乗って答えるうちに幻想の世界(ほんとに物持ちだった)に入っていく。
そういう気味の悪さがあればもっと面白かった。
株安で慌てふためいて、気がついたら株なんて持ってなかったってのとはちょっと違う。
一朝「夢金」
雪の夜に船宿を訪ねてきた浪人の三白眼、頬骨の張ったところ、、人相から身なり、、足袋の親指の先から爪が覗いているところまで、頭の先から爪先まで丁寧に人体を描写する。
舟に娘を乗せる場面も手を取ろうとして拒まれるところから、くどいくらい足元に注意して、着物の裾をポンと割って膝に挟んで尻から入れ、提灯をそんなに高く上げちゃダメだ、まぶしくて下が見えねえ、、。
ここも細かい。
舟宿の女将が、なんの力にもならないけれど、ミヨシに手を添えて、「ご機嫌よろしゅうまたどうぞ」の風情で送り出す。
寒い寒いと愚痴を言いながらも、枯れ木に雪のつもった景色に「きれいだ」とつぶやく熊は欲張りというだけの男ではない。
俺の好みとしては浪人と娘のありさまや乗り込むところの描写はもう少し簡単でもいいから、夜の大川の風情をもっと聞かせて欲しかった。
一朝には珍しい噺、ちょっと言い間違いもあったりして、いつものリズムがなかったのは残念。
一朝「夢金」
雪の夜に船宿を訪ねてきた浪人の三白眼、頬骨の張ったところ、、人相から身なり、、足袋の親指の先から爪が覗いているところまで、頭の先から爪先まで丁寧に人体を描写する。
舟に娘を乗せる場面も手を取ろうとして拒まれるところから、くどいくらい足元に注意して、着物の裾をポンと割って膝に挟んで尻から入れ、提灯をそんなに高く上げちゃダメだ、まぶしくて下が見えねえ、、。
ここも細かい。
舟宿の女将が、なんの力にもならないけれど、ミヨシに手を添えて、「ご機嫌よろしゅうまたどうぞ」の風情で送り出す。
寒い寒いと愚痴を言いながらも、枯れ木に雪のつもった景色に「きれいだ」とつぶやく熊は欲張りというだけの男ではない。
俺の好みとしては浪人と娘のありさまや乗り込むところの描写はもう少し簡単でもいいから、夜の大川の風情をもっと聞かせて欲しかった。
一朝には珍しい噺、ちょっと言い間違いもあったりして、いつものリズムがなかったのは残念。
このあと、夜席も聴いて大満足だったが、それはまた明日。
今日はこれから国会デモに行く。
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jarippe at 2016-02-21 12:21
今落語ブームだとか
カフエなど思いがけないスペースでやっているみたいですね
あまり広くなく落ち着いたところがいいです
こちらではお寺でやったりしているのですが・・・・・
カフエなど思いがけないスペースでやっているみたいですね
あまり広くなく落ち着いたところがいいです
こちらではお寺でやったりしているのですが・・・・・
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sora
at 2016-02-21 17:23
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saheizi-inokori at 2016-02-21 17:50
> jarippeさん、ここも仏教伝道センターというところです。
あまり大きくない、ちょうどいい空間です。
この落語会は会場もいいのですが、出演者の選び方がよくて、聴衆がいいから、噺家もいつも好演で答えます。
それでなおさら客がよくなるのです。
あまり大きくない、ちょうどいい空間です。
この落語会は会場もいいのですが、出演者の選び方がよくて、聴衆がいいから、噺家もいつも好演で答えます。
それでなおさら客がよくなるのです。
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saheizi-inokori at 2016-02-21 17:54
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福
at 2016-02-23 06:49
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誇張したり、解釈過剰だったり、時事問題とからませたり・・・
それも現代落語の楽しさですが、成功する演者はまれ。
「程の良さ」
これは一朝落語の美点でしょうね。粋と言い換えられるかもしれません。
この美点は他に小満ん、小里んにもあると感じます。
それも現代落語の楽しさですが、成功する演者はまれ。
「程の良さ」
これは一朝落語の美点でしょうね。粋と言い換えられるかもしれません。
この美点は他に小満ん、小里んにもあると感じます。
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saheizi-inokori at 2016-02-23 14:02
by saheizi-inokori
| 2016-02-21 12:06
| 落語・寄席
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Comments(6)