今や、田舎がかっこいい! 藻谷浩介・NHK広島取材班「里山資本主義ー日本経済は『安心の原理』で動く」

松山が優勝した、ゴルフの話。
月曜日は海外ニュースが早く終わってアメリカからゴルフのプレーオフの生中継、思わず見てしまった。
見ている方がドキドキする、俺ならしびれて絶対入らない。
若者が頑張った。

年賀状に、ゴルフ三昧の毎日です、と書いてくる友人が何人かいる。
ゴルフ場の映像を見ていると、あの頃を思い出して、ちょっと悔しい。
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前から気になっていた本が図書館の「新着本コーナー」にあった。
スーパーのレジ脇に置いてある本などについ手を出す客の心理をマーケテイングの本で読んだことがあるな。

面白かった。
「デフレの正体」を書いた藻谷浩介とNHK広島取材班の共著。
今も世界を食いつくしつつある金融資本(原油安は彼らが原油を金融商品にして巨利を追い求める、いわばサブプライムローンの第二幕なのだ)に対する、その思惑に乗って日本を危ないがけっぷちに追いやろうとする現政権や似非学者に対する批判的精神が底流にある。
この本が出たころはまだ、NHKにも骨のある記者がいたのだと思う。
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われわれが生きていくのに必要なのは、お金だろうか。それとも水と食料と燃料だろうか?

 「里山資本主義」とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方だ。お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを、予め用意しておこうという実践のこと。

昔の日本の農村のようにすべて自給自足に戻せというのではなく、森や里山や耕作放棄地や人間関係といったお金では買えない資産に、最新のテクノロジーを加えて活用することで、マネーだけが頼りの暮らしよりも、はるかに安心で安全で底堅い未来が出現する、というのだ。

それは地方の活性化にもつながるし、少子化を食い止め高齢化社会への福音ともなり得る、と。
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たとえば戦後植林された人工林のほとんどが伐採の適期を迎えているのにいたずらに放置されている。
「集成材・CLT」というものがある。
細く切った木の板を格子状に張り合わせ大きな材木のようにする。
すると鋼材に比べても、曲げる力に強く、何百年たっても腐食しない。
鋼材よりも軽く、防火性も高い。
実験した結果、これを使った建物の耐震力も問題ない。
木造高層建築物も法規制さえ整備されれば可能なのだ。

適正な森林管理をしながら木を伐ることは林の命を保つ。
伐った木を使う当てがなかったから放置されていたが、集成材にして売れば競争力はある。
製造過程で発生する木くずは家庭の煮炊きに使つたり、ペレットにしてバイオマス発電、効率もいい。そういう取り組みがその地の雇用を増やし、お金の域外流出を減らす(その分で地域のためになることができる=いい循環)。
もうだめだ、と思っていたわが故郷に驚くような力が埋もれていたことに気づき人びとの目の色が変わる。
儲けることではなく、誇りや生きがいを取り戻す。
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日本と同じような森林の国、オーストリアは、石油や天然ガスを他国からの輸入に頼っていたから、国民の暮らしが大国の利害に左右されてきた。
彼らはいまペレット・バイオマス発電をエネルギーの中心にしようとしている。
すでに完成した原発の使用禁止も含め、あらゆる核の利用を追放した国がオーストリアだ。
適正な森林管理のために教育をうけた「森林官」が森を守る。
そうするとオーストリアは「森の利子」で暮らすのだ。

本書にはほかにも広島、岡山、瀬戸内などの過疎地で、逆転の発想・ゼロからの発想で”奇蹟”を起こした(起こしつつある)事例がいくつか紹介されている(中国地方ではテレビ放映された)。
どれもカッコよく、そういう生き方が羨ましい。
彼らの輪の中に入っていきたくなる(若ければ!)。
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ブランド品や高級品を求めるのではなく、人や地域とのつながりを確認できるものを求める。
新しいものを手に入れるという所有価値ではなく今あるものをどう使うかという使用価値を求める。

グローバリズムとは強いものだけが生き残るのではない。
グローバリズムとはジャングル、ライオンも棲むがネズミも草木もバクテリアもいる。
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隠居したときに長野とか秋田とかで暮らす選択肢もあったが、それは観念的なものでしかなかった。
3・11で日本の、世界のシステムは根本から見直さなければならないと思った。
が、それも観念でしかなかった。
骨の髄までマネー資本主義のもたらす都会志向、受け身の享楽主義に侵されていた。
貧しかった田舎の子供時代を懐かしみながらも。
猫の額にトマトやキューリ、ナス、トウモロコシ、、出勤前に肥桶を担いでがんばった母。
俺も少しは手伝ったのに。炭の火おこしもできた。
だから、かえって今の暮らしから逃れられないのかも。
古本屋、寄席、図書館、、田舎にはない、、なければ作ればいいのだけれど。

せめても有機野菜を食おう。
買うものの出自を確かめて買うことにしよう。

角川ONEテーマ21


Commented by antsuan at 2016-02-08 13:05
里山資本主義=生き物資本主義ですね。
八百万の神々。衆生即ち仏なり。
米本位制の日本に戻るべきなのかも知れません。
Commented by 散歩好き at 2016-02-08 19:37 x
読みたい本は山ほどありますが精々一日10頁です。次の日は続きが解らなくなります。子供の頃より知能の差を感じます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-08 20:46
> antsuanさん、そうかもしれないですね。
生き物を大事にすることが基本になくちゃダメなんでしょう。
共生。
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-08 20:50
> 散歩好きさん、何をおっしゃいますか。
毎日少しづつでも漢方の原典を読み続けることができる才能こそ羨ましく感じます。
いくら早く読んでも右から左へ忘れてしまい頭になにも残らない、だからブログに書いているのです。
昔読んだ本の記事を人の文章のように読み直すことがしょっちゅうです。
Commented by tona at 2016-02-08 21:02 x
おっしゃるように、有機野菜をできるだけ食べていきたいですね。残り少ない日々、私もしっかりしたものを求めていきたいと考えていたところでした。ご紹介有難うございます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-08 21:25
> tonaさん、東京で有機野菜を食べるのは経済的に大変です。
でもそれが自分やカミさんの身体のためになるだけでなく、作る人売る人に対する支援になるのですから。
本書に登場する人は「志援」と書いています、そうすればやった方も大物になった気持ちがするだろう、って^^。
Commented by ikuohasegawa at 2016-02-09 12:35
即、読みます。
Commented by saheizi-inokori at 2016-02-09 20:32
> ikuohasegawaさんは、いろんなことができるから、里山資本主義者になれそうです^^。
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by saheizi-inokori | 2016-02-08 10:43 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori