なにがそんなに面白いの? ピーター・マグロウ&ジョエル・ワーナー「世界”笑いのツボ”探し」

ブログで知り合った人たちと久しぶりに、一杯やりましょう。
俺はちょっと早めに家を出て銀座湯による。
第三金曜日だからと100円(ふつうは460円)、身体も心も温まる。
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有楽町の高架下、大きな居酒屋。
安くてうまい。
ペットの猫(女性三人)や犬(サンチ)のオノロケ、愚痴もオノロケのうち。
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40になったばかりの人は将来の生活を危ぶむ。
「保険なんかもらえっこないし、介護も、、」
せめて今を健やかに!と東京マラソンに出場するときに(来年、籤に当たったらの話)どんな仮装をするかでワイワイ。
どういうつながりからか、枝豆を枝付きで売ろう、と、それから枝豆の党を作ろう、豆ガラで発電しよう、、なんだかすさまじく枝豆トークが弾けた(豆だけに)。
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笑いは人を明るくする。
人と人の垣根を外す。
怖いものを忘れさせる。
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「ユーモアを分析するのは、カエルを解剖するようなものだ。
そんなの誰も見たくないし、カエルだって死んでしまう。-E・B・ホワイト

さあ、カエルの解剖といこう。」


扉に書いた通り、コロラド大学教授・ピートとジャーナリスト・ジョエルのコンビが、ロサンゼルス、ニューヨーク、タンザニア、日本、スカンジナビア、パレスチナ、アマゾン、モントリオールを遍歴して、その地の笑いの現場に突撃、体験することも厭わず、「笑いとは何か」を究めようとする。
仮説を立てて実験もする。
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笑いの本質については、解放説(抑圧からの)、不一致説(予期と実際のズレ)、優越説(他人の不幸を笑う)など諸説があるが、どれもすべての笑いを説明できるものではない。
ピートがもっとも有効な理論だというのが「無害な逸脱」説。
ものごとが「正しくない、不安な、または危険な状態」(逸脱)でありながら、同時に「問題ない、受け入れられる、安全」(無害)と思われた場合にのみ笑いは発生するという理論だ。
人が階段から転げ落ちた(逸脱)。
しかし、無事だった(無害)。
それで笑える。
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スタンダップ、即興、コメデイ、元から「おもしろい人」であるかどうかではなく、自分に正直に、アウトサイダーでありつづけ疑いと分析・反抗精神を忘れないこと、修練が笑芸人に求められる。
「ニューヨーカー」に載る漫画の条件(二つの相容れない記号の衝突+アルファの何かがあること)。

落語の笑いは日本の歴史や社会的背景を知らないと笑えない。
政治や皮肉は日本では笑いの対象にはなりにくい。
日本は国全体が均質で、歴史的文化的に同一な社会だから、「高コンテクスト」、アメリカは低コンテクストだから多種多様な笑いがある。
日本では(アメリカと違って)笑いの許される場所と禁じられる場所が区分されている(職場や学校などではジョークが禁じられる)。
吉本の漫才やお笑い芸人養成学校も探訪して、「尾形インポッシブル」に見られるハチャメチャなバラエティ(裏にあるお笑い界の怖い話)に呆れる。
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タンザニアで1962年に起きた笑いの伝染病の正体・原因、2005年にデンマークで起きた「ムハンマドの顔」事件(去年の、シャルリ・エブド事件に似ている、攻撃的な・人と人を分断させる”笑い”)、、。

ジョークは苦境から目をそらすはけ口ともなれば、恐怖心のバリアを破壊し、抗議行動を楽しくかっこいいと思わせ、鎮圧する権力者を間抜けに見せる効果もある(1999年、セルビアの青年運動「オトポール!(抵抗!)」。

肩の凝らない読み物風で、実はかなりの学術書ともいえる。

柴田さとみ 訳
cccメデイアハウス


Commented by tona at 2016-01-23 16:29 x
世界の国々でレポートすれば、随分いろいろな笑いにあえるでしょうね。
これまで悲しいことも多かったけれども、随分笑いましたね。
誰から笑わされたかは圧倒的に男性です。
前半の職場は殆ど女性でしたが、25年近くの間に面白い人は2人くらいしかいなかった。最後の10年は男性の職場で、これは面白い人が多かったです。
Commented by nao at 2016-01-23 18:16 x
良く食べましたね!!
未来を考えると絶望的な気持ちになるので、せめて今は笑って過ごします(^^;;
また、暖かくなったら集まりましょう☆
Commented by saheizi-inokori at 2016-01-23 22:07
> tonaさん、本書の中で女性と男性のどっちがユーモアを解するか、という考察もあるのです。
結論は同じ、ただ女性の方が男性にユーモアを求めるのにたいして男性は自分からジョークを言う、能動と受動のちがいがあるそうです。
日本はとくに女性が積極的に笑いを提供することをよしとしない風潮が強い(かった)とも。
さいきんはだいぶ変化して女性もどんどん冗談を言ったりするようになってきたのではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2016-01-23 22:08
> naoさん、暖かくなったら、なんて老人みたいなこといわないで^^。
Commented by jarippe at 2016-01-24 06:41
粋な笑いといいましょうか
クスッ っというのか
会話に挟み込むちょっとひねったような
心地よい笑い 落語の笑いは後味がいいですねー
馬鹿笑いもいいですが
人をあざけったり欠点?と思われるようなところを突く
のは好きではありません 
・・・・・そこに愛が伴えばいいのかなー
付き合いの深さで受け入れられる範囲もちがうのでしょうね
 
Commented by j-garden-hirasato at 2016-01-24 08:38
もう梅ですか。
ようやく本格的な雪になったので、
しばらくお預けです。
Commented by saheizi-inokori at 2016-01-24 10:28
> jarippeさん、筆者は日本人は政治に関するジョークとか皮肉をあまりやらないと書いていますが、川柳のことを知らない、彼に教えた日本人が知らなかったのでしょうね。
あからさまな罵詈雑言でなくて五七五で冷やかすなんて粋だと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2016-01-24 10:29
> j-garden-hirasatoさん、駒沢公園の梅ですが、となりの紅梅は早くも散り初めていました。
Commented by ikuohasegawa at 2016-01-25 10:08
本題外のコメントですが、柚子蕎麦が旨そうです。このところ気に入っております。
Commented by saheizi-inokori at 2016-01-25 10:47
> ikuohasegawaさん、かなり厚く切ったものだから全部食ったら舌がひりひりしました。
香りは抜群ですね。
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by saheizi-inokori | 2016-01-23 12:02 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(10)

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