義理と褌は欠かしたことがねえ、江戸っ子は絶滅したな 第568回「落語研究会」
2015年 10月 29日
早くも10月の落語研究会、湯上りの頬に秋風が心地よい。
志ん吉「締め込み」
張りのある好い声、タレ目のせいか泣いても怒っても笑っているように見える。
一之輔「ふだんの袴」
下着泥棒でも大臣になれるんですねえ、でも「もうやらないと」いってるから許してやりましょう。
こうせい大臣のほうが良かったか。
亡くなった圓蔵の裏話、好きだったんだろうな一之輔も。
圓蔵は前座の淹れたお茶を「唾とかフケをいれてるかもしれないから、だって俺もいれたもん」と言って飲まず自分で淹れた。
昔、職場で差別されていた男が上司のお茶に唾をいれた、と言ったのを思い出した。
いつもの畳みかけるような、ドカンドカンと爆笑させるやり方ではなくて、大家や道具屋の呆れ顔を、うまい間と表情で現して、味のある滑稽噺になった。
侍のマネをしようと、大家に借りた袴の片っ方に両足突っ込んで、羽織の代わりに印半纏を着て、軍扇の代わりに渋団扇をもって、イカみたいな恰好をして、道具屋の店先で「許せ」「許せ」、(ちっとも出てこない)、「許してくれえ!」「勘弁してくれえ」、店主が「許してやりなさい」、定吉「許すそうです」。
おかしかったなあ。
雲助「文違い」
客を二人、その気にさせて手玉に取る花魁おすぎ、金を貸せと嘘をつく。
甘えたり拗ねたり脅したり開き直ったり、、つまりは男、「頼むから、謝るからこの金を使ってくれ」。
女は強いなあ、と思いきやそのおすぎもイイ男に騙されていた。
ホレたが弱みか。
イイ男が眼病を治す(と称して)金を無心している(ほんとは別の女にやるのだが)のを聞いて、学生時代にデートをすっぽかされた苦い思い出。
お茶の水のジローでずっと待っていたら(友人に軍資金や上着を借りて)、店に電話がかかってきて「朝の内片っ方だけ眼帯をしてたのが今になったら両方悪くなった」と。
借りた軍資金で、明るい内から近所のバーで呑んだビールが一ダース(大瓶だよ)、さすがに寮に帰ったらバタンキュだった。
生志「猫の皿」
昨日までパリにいた、と言って機内寄席に自分が出たときにCAに機内誌の写真を見せて、これは俺と言ったときのリアクションなどをくどくどしゃべる。
ネタおろしだそうで、短い噺をどう長くするかをヨーロッパで考えると語ったとパンフレットに長井好弘が書いている。
無理に長くする必要はなかったように思われた。
ネタのギャグも、熱いお茶を出して「熱い思いです」などと、つまらなかった。
一朝「大工調べ」
もうこの噺の江戸っ子のタンカを聴いていればすべて世はことも無し。
棟梁が与太郎に家賃を用立てるのに、一両八百の内の一両、一分銀を四枚、ドンブリから一枚づつ探すようにして出す。
はなから八百を値切ろうとしたんじゃないという演出?
「それじゃあ、俺の顔がたたねえ」
「たたねえ顔なら袋かぶせて横にしときな」
「キンカクシやろう、四角くてきたねえ野郎だ」
こんなのがおもしれえって、絶滅危惧かもね。
張りのある好い声、タレ目のせいか泣いても怒っても笑っているように見える。
一之輔「ふだんの袴」
下着泥棒でも大臣になれるんですねえ、でも「もうやらないと」いってるから許してやりましょう。
こうせい大臣のほうが良かったか。
亡くなった圓蔵の裏話、好きだったんだろうな一之輔も。
圓蔵は前座の淹れたお茶を「唾とかフケをいれてるかもしれないから、だって俺もいれたもん」と言って飲まず自分で淹れた。
昔、職場で差別されていた男が上司のお茶に唾をいれた、と言ったのを思い出した。
いつもの畳みかけるような、ドカンドカンと爆笑させるやり方ではなくて、大家や道具屋の呆れ顔を、うまい間と表情で現して、味のある滑稽噺になった。
侍のマネをしようと、大家に借りた袴の片っ方に両足突っ込んで、羽織の代わりに印半纏を着て、軍扇の代わりに渋団扇をもって、イカみたいな恰好をして、道具屋の店先で「許せ」「許せ」、(ちっとも出てこない)、「許してくれえ!」「勘弁してくれえ」、店主が「許してやりなさい」、定吉「許すそうです」。
おかしかったなあ。
客を二人、その気にさせて手玉に取る花魁おすぎ、金を貸せと嘘をつく。
甘えたり拗ねたり脅したり開き直ったり、、つまりは男、「頼むから、謝るからこの金を使ってくれ」。
女は強いなあ、と思いきやそのおすぎもイイ男に騙されていた。
ホレたが弱みか。
イイ男が眼病を治す(と称して)金を無心している(ほんとは別の女にやるのだが)のを聞いて、学生時代にデートをすっぽかされた苦い思い出。
お茶の水のジローでずっと待っていたら(友人に軍資金や上着を借りて)、店に電話がかかってきて「朝の内片っ方だけ眼帯をしてたのが今になったら両方悪くなった」と。
借りた軍資金で、明るい内から近所のバーで呑んだビールが一ダース(大瓶だよ)、さすがに寮に帰ったらバタンキュだった。
昨日までパリにいた、と言って機内寄席に自分が出たときにCAに機内誌の写真を見せて、これは俺と言ったときのリアクションなどをくどくどしゃべる。
ネタおろしだそうで、短い噺をどう長くするかをヨーロッパで考えると語ったとパンフレットに長井好弘が書いている。
無理に長くする必要はなかったように思われた。
ネタのギャグも、熱いお茶を出して「熱い思いです」などと、つまらなかった。
もうこの噺の江戸っ子のタンカを聴いていればすべて世はことも無し。
棟梁が与太郎に家賃を用立てるのに、一両八百の内の一両、一分銀を四枚、ドンブリから一枚づつ探すようにして出す。
はなから八百を値切ろうとしたんじゃないという演出?
「それじゃあ、俺の顔がたたねえ」
「たたねえ顔なら袋かぶせて横にしときな」
「キンカクシやろう、四角くてきたねえ野郎だ」
こんなのがおもしれえって、絶滅危惧かもね。
Commented
by
j-garden-hirasato at 2015-10-30 06:53
「湯上りの頬に秋風が心地よい。」
長野では、
もう寒いです。
今朝もストーブを付けようかどうしようか、
迷いました。
結局、付けませんでしたが。
長野では、
もう寒いです。
今朝もストーブを付けようかどうしようか、
迷いました。
結局、付けませんでしたが。
0
Commented
by
福
at 2015-10-30 07:01
x
Commented
by
saheizi-inokori at 2015-10-30 10:14
Commented
by
saheizi-inokori at 2015-10-30 10:18
by saheizi-inokori
| 2015-10-29 11:29
| 落語・寄席
|
Trackback
|
Comments(4)