天皇もノーベル賞もタブーではない 帚木蓬生「賞の柩」
2015年 10月 22日
俺の記事がつまらないせいだとは思うけれど、もし、天皇問題は避けたいというような配慮があるなら、そういうことは今上天皇も美智子皇后も望んではいないと思うけどなあ。
天皇がふたたびタブーになったのは、昭和天皇の亡くなるときの、あの異常な自粛ぶりが分岐点だったのか。
「崩御」って、もともとは「天子」の死を言う言葉で人間宣言をした人に使うのはおかしいという人だっている。
その対象が、好ましいか嫌いかを問わず、言及・批判を許さないタブーを作り上げるのは民主主義・言論・表現の自由に反する。
なにも上の者に対することとは限らない。
私はそういう細かい(下世話な)ことには関わっていなかったから責任は負えないという言葉も、また現実に触れることをタブー視している、アンタッチャブル!
下の者に任せて自分はタッチしなかった、というそのこと自体に責任があるはずなのに、責任回避として使われてしまう言葉。
ノーベル賞受賞者も批判を許さないタブーになるのかもしれない。
タッチの差で受賞できなかった人は容赦ない批判にさらされても、栄光の座を射止めた途端、神の存在となるのではないか。
日本人がノーベル賞を受賞したというニュースで湧いているころ、東海道在来線ぶらり旅に出かけるにあたり、ブックオフで求めた推理小説。
旅の途中では開くこともなかったが。
単独受賞した彼の研究テーマにはライバルが何人かいて、そのいずれもが早世している。
そのなかに主人公の日本人の恩師もいる。
その恩師が論文集に書いたエッセイに誰よりも早くそのテーマに気がついて学術誌に投稿したが没にされた男のことが回想されている。
その雑誌の査読には件のノーベル賞受賞者が関わっていた。
筋書きは単純だが、早世した学者のあとを追いかける主人公が学者の忘れ形見の女性(画学生)との南仏からカタルーニヤへの探索旅行が、スペインレストランをつくるために行ったときのことを思い出させて楽しかった。
ブダペストへの探索旅行で知るもう一人の亡き天才の姿もうまく描けている。
栄光を取り逃がした男のアル中への転落と家族の悲哀もありがちなテーマだが、読ませる。
それぞれの登場人物たちが存在感があった。
画学生の娘が、”技術も強い主張も野心もない、ただ眼と心に映った愛する土地のたたずまいを、喜びを込めてカンバスの上に謳い上げる単純で率直な営み”に魅せられたという、スゴンザックの絵を見たくなった。
集英社文庫
色々考えさせられました。昭和天皇とワシントンとのホットラインの話にはびっくり、昭和天皇に対する見方が変わりつつあります。
今上天皇・皇后には敬愛の気持ちを持っていますし、その真摯な祈りの姿勢には痛ましささえ感じます。昨日の皇后の御言葉も平和と現在の日本の政治状況に対する、お立場上ギリギリのものであると感じました。最近は天皇・皇后のご発言さえきちんと報道がされないこともあるとも聞きます。
天皇制さえ自分の都合の良いように利用しようとし、都合が悪いと臨時国会さえ開かない現政権は独裁者です。
それにしてもsaheiziさん、読書家かつ速読ですね。教えて頂けるこちらには有り難い限りですが。
昭和天皇は生涯にわたって天皇制維持を目的に動いていたのだと思います。確か「独白録」だったと思いますが、なぜ開戦に反対しなかったのかという点について、もし反対していたら自分はどうなっていたか分からないと語っています。言い訳にも聞こえますが、天皇制を守るためには政治利用を黙認したとも読めます。戦後の政治空白期間では自らが積極的に動いて天皇制の維持を図り、将来に亘る保障を得るために米軍の常駐という安保体制を推し進めたのだと推測しています。本当は終戦直後に共和制に移行するかどうかを国民が選べれば良かったんですが。
逆に1931年の柳条湖事件のときは全閣僚が一致して「不拡大」方針を決めていたのにもかかわらず、天皇は軍隊の撤収を命じないのですね。
これまた皇統の維持が危殆に瀕しているかの判断で行動を変えているといえそうです。
待ちきれないけれど、アマゾン古本でも2200円はチョット・・・。待つよりしょうがないです。
そう思いますよ。
書けば悪口になるから書かない、私はどっちかというとそっち。
逆に理屈ぬきに天皇の悪口なんて考えもしない・畏れ多いという人も。
そして書きたいことはあるけれど炎上とかネトウヨみたいなのとかかり合いになりたくない。
、、、いろいろさまざま。
それでも安倍の批判に比べると天皇制批判は圧倒的に無言です。
あの戦争でどれだけの国民が地獄を味わされたことか。言葉もありません。