安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」

1968年3月、大統領選に向けたカンザス州での、ロバート・ケネディ上院議員の演説から。

わが国のGNPはすでに8000億ドルを超えています。しかしこのGNPには―アメリカ合衆国をこのGNPで評価すると言うのならーこのGNPには、空気汚染や、たばこの広告や、高速道路で多発する事故の犠牲者を搬送する救急車といったものも含まれているわけです。
治安悪化で必要になった特殊な鍵や、それをこじ開けようとする犯罪者を収監する刑務所の費用も含まれています。
無計画な都市開発で伐採されたアメリカスギや失われた自然も含まれています。
ナパーム弾も、核弾頭も、暴動鎮圧用の装甲車も含まれています。
子供たちにおもちゃの銃を売るための、暴力シーンだらけのテレビ番組も含まれています。
ところがそのGNPは、子供たちの健全な発育を促したり、教育の質を高めたり、遊びの楽しさを教えたりすることには役立っていません。GNPには詩の美しさも、結婚の絆の深さも、討論会で披露される知性も、公務員の誠実さも含まれていません。
わたしたちの機知も、勇気も、知恵も、学識も、思いやりも、国への忠誠心も勘定には入っていません。
要するに、GNPという数字にはすべてが含まれているようでありながら、実は人生の価値を高めるものは含まれてないのです。
この数字はアメリカのすべてを教えてくれるようでありながら、わたしたちがなぜアメリカを誇りに思うかについては何も教えてくれません。


「経済政策で人は死ぬ!」ことを実証的に書いた本から教えられた言葉だ。
安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」_e0016828_12121249.jpg
1930年代の大不況、ソ連崩壊、アジア通貨危機、リーマンショック後のアイスランドの危機、ギリシャの危機、、歴史上の経済危機に際して、為政者がどういう政策を採るかによって、国民の死亡率・うつ病・伝染病り患率が正反対の結果をもたらす。
緊縮財政によって医療費削減、失業対策費のカット、住宅政策などで社会保護政策を削減した国と、不況下にあっても社会保護政策を充実させた国について、データを駆使して比較している。

ソ連とベラルーシ、イギリスとフィンランド、タイとマレーシア、ギリシャとアイスランド、オバマ政権と共和党政権、、時の為政者がどういう政策を採るかは国民にとって死活問題だ。
安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」_e0016828_12131331.jpg
不況だから緊縮財政を採り、社会保護政策を切り詰めた国は国民の健康を悪化させたばかりか、その後の経済の立ち直りも遅れている。
国民の健康よりも銀行の救済を優先させた国は経済の立ち直りもうまくいかない。
それは、投入した金が富裕層やオフショワ銀行を潤す効果しかないからだ。
一方で、政府支出の乗数効果は1.7であり、そのうちもっとも効果的なのは保健医療と教育でどちらも3を超えていた。
安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」_e0016828_11072333.jpg
(由比で)

今ではIMFもその誤りを認めつつあるようだが、かつてアイスランド(国民投票によりIMFの勧告を拒絶して自国の社会保護政策を維持し経済回復をなしとげた)の保健局長官候補だった男のジョーク。

IMFと吸血鬼の違いは何だと思う?相手が死んだら血を吸うのをやめるかどうかってところだよ。
安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」_e0016828_12135632.jpg
せっかく軌道に乗りかかっていたエイズ対策が血も涙もない一律の予算カットにより再び病気の蔓延を招いた事例、
住宅を失くしたことがすべての悪化の原因になっている事例、
多くの生々しい事例を読むと、ほんとにIMF=アメリカ流新自由主義は吸血鬼に思えてくる。
安倍に読ませたいR・ケネディの言葉 デヴィッド・スタックラー&サンジェィ・バス「経済政策で人は死ぬか?公衆衛生学から見た不況対策」_e0016828_11042962.jpg
(豊橋駅前)

キャメロン政権が、セーフティネット予算を削減し始めたときの政策パンフレットには、

(この政策の)基本にある公共サービスの抜本的改革は、中央政府から地方に権限を委譲するとともに、税金をできるだけ有効に活用することによって、すべての人がそれぞれの役割を果たす”大きな社会”を構築するためのものです。

つまり住宅手当の削減などの負担増・生活苦に耐え忍ぶことが、富裕階層を除く、すべての人のそれぞれの役割だというわけだ。
本書では日本はまだ優等生の位置づけになっているが、時代遅れの新自由主義を盲信する安倍政権の今後は予断を許さない。
「一億総活躍」なるものが、貧しい国民(たとえば大学に進学できそうもない子供が多い)に期待する”活躍”とは、歯を食いしばって生活レベルの切り下げに耐えることなのかもしれない。
ロバート・ケネディの言葉をGNP600兆を唱える安倍に読ませたい。

橘 明美・臼井美子 訳
草思社

Commented by antsuan at 2015-10-15 12:52
キャロライン・ケネディが靖国神社を参拝し、大統領選挙に立候補することを期待しているのですが、そうなれば、間違いなく暗殺されるでしょうね。
Commented by jarippe at 2015-10-15 16:57
先日日銀長野支所の方からお話をお聞きしました
キャリアの方でしょうか
まあ お上手なお話しぶり 隙間なく決められた時間きっかりに
世界の日本の経済状況をこの婆さんにもわかるように?話されました
結果 日本は消えちゃいそう・・・って思いました
人口がどんどん減っていろいろがまにあいそうもありませんね
しっかりしてよ総理大臣殿ー
Commented by takoome at 2015-10-15 19:22
サワディ〜カ〜
帰って来て4日目、頭の中が未だ、戻れない。

日本は奇麗や・・・・
Commented by sheri-sheri at 2015-10-15 20:35
つくづく時代を牛耳る与党政権、権力者の資質が問われることだと思いました。その責任の深さ、沢山の国民を操る政策・・いっぽ間違うと大変な事に。
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-15 21:03
> antsuan、キャロラインと言う大使の人間を知らないのでなんともいいようがないのです。
基本的にはアメリカ貴族なんでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-15 21:05
> jarippeさん、日本だけでなく世界中が消えちゃいそうです。
今までの価値観でGNPを増やそうなんて考えていたら落第じゃないかな。
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-15 21:06
> takoomeさん、そうですね、世界のことをみるとまだまだ日本はいい方ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-15 21:06
> sheri-sheriさん、一歩どころかかなり間違えているのではないでしょうか。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2015-10-15 12:20 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(8)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori