ご出棺の儀は金毘羅フネフネで 第567回落語研究会
2015年 09月 29日
銭湯に入って国立小劇場、落語研究会。
志の八「花色木綿」
落語研究会に出る緊張感は末広亭のときと似ていると、立川流(寄席に出られない)らしい感想。
楽屋に火鉢があるのをみて、ああ、これこれ、と感動したそうだ。
楽屋の火鉢、その正面に誰が座るか、なんてことが落語ファンの好きなゴシップなのだ。
話しぶりに志の輔に似たところがあると思ったら、やはり、彼の二番弟子の由。
小傳次「粗忽の使者」
ちょっと固くなっているのか、それともこれが地なのか。
何でも忘れてしまう地武太治部右衛門(じぶたじぶえもん)、主君の杉平柾目正(まさめのしょう)の命で赤井御門守のところにお使いに出される。
ところが用向きを忘れてしまって青くなる。
昔から物忘れをしたときは尻の肉をつねってもらうと、その痛さで思い出す。
田中三太夫が渾身の力をこめて尻をつねりあげても蚊が刺したとも感じない。
おかしな名前の侍がかしこまって尻をまくって、もう一人の四角四面な侍に尻をつねらせている姿を想像しなくてはこの噺は面白くない。
覗き見していた職人が見かねて釘抜き(エンマと呼んだ=舌を抜くのに使う)でひねりあげると「うう、いたた、思い出した、、用向きを聴いてくるのを忘れた」。
権太楼「猫の災難」
権太楼の出囃子は「金毘羅フネフネ」だ。
これを変えようかと思ってる、と切り出す権ちゃん。
ん?静まり返る満場の客。
噺家の葬儀では出棺のときに出囃子が流れる決まり。
先代小さんの「序の舞」、志ん朝の「老松」、それぞれいいお囃子だ。
小さんの棺をかついで出ると待ち受ける人たちから、「目白!」「五代目!」「国宝!」なんて声がかかる、形がいいのよ。
それが、私の場合は、、(笑)。
大学落研同期の友人だった三遊亭右紋が惜しまれて亡くなった。
葬儀屋が低いしめやかな声で、「ご出棺です」と言い、人びとが頭を下げていると、流れてきたのは「野球拳」。
小三治さんは「二上がり鞨鼓」、いいですねえ。
出囃子が流れて、、でてくるのかなあ、と待ち構えていると、、一向に出てこない、小三治さんだから。
やっと出て来ても、霊きゅう車になかなか入らない。
マクラが長いの!
それなのにすぐに焼き場にいっちゃう、小言念仏。
どっとくるのはご通家が多いから。
俺は金毘羅フネフネで出棺するのもいいと思うがなあ。
追手に帆かけてシュラシュシュシュなんてね。
大きな月が見えます、九時過ぎまではいてね、と言っときました。
月を見ながら呑んでください。
友だちに酒を買わせ、鯛を買わせ、その留守にその酒を飲んでしまう。
酒のみに酒を預けるなんて、猫に魚を預けるようなもんだ。
もう、文句なしにだらしがない熊さん。
俺もあんな風に生きてみようか、老い先を。
残る二席(花緑・市馬)を聴かずに途中退場。
権ちゃんの勧めに従って月を眺めて居酒屋に(ながらじゃなかったが)。
「とれたての鰺の刺身」って、どこで取れたの?などと軽口言って一杯一杯また一杯。
志の八「花色木綿」
落語研究会に出る緊張感は末広亭のときと似ていると、立川流(寄席に出られない)らしい感想。
楽屋に火鉢があるのをみて、ああ、これこれ、と感動したそうだ。
楽屋の火鉢、その正面に誰が座るか、なんてことが落語ファンの好きなゴシップなのだ。
話しぶりに志の輔に似たところがあると思ったら、やはり、彼の二番弟子の由。
ちょっと固くなっているのか、それともこれが地なのか。
何でも忘れてしまう地武太治部右衛門(じぶたじぶえもん)、主君の杉平柾目正(まさめのしょう)の命で赤井御門守のところにお使いに出される。
ところが用向きを忘れてしまって青くなる。
昔から物忘れをしたときは尻の肉をつねってもらうと、その痛さで思い出す。
田中三太夫が渾身の力をこめて尻をつねりあげても蚊が刺したとも感じない。
おかしな名前の侍がかしこまって尻をまくって、もう一人の四角四面な侍に尻をつねらせている姿を想像しなくてはこの噺は面白くない。
覗き見していた職人が見かねて釘抜き(エンマと呼んだ=舌を抜くのに使う)でひねりあげると「うう、いたた、思い出した、、用向きを聴いてくるのを忘れた」。
権太楼の出囃子は「金毘羅フネフネ」だ。
これを変えようかと思ってる、と切り出す権ちゃん。
ん?静まり返る満場の客。
噺家の葬儀では出棺のときに出囃子が流れる決まり。
先代小さんの「序の舞」、志ん朝の「老松」、それぞれいいお囃子だ。
小さんの棺をかついで出ると待ち受ける人たちから、「目白!」「五代目!」「国宝!」なんて声がかかる、形がいいのよ。
それが、私の場合は、、(笑)。
大学落研同期の友人だった三遊亭右紋が惜しまれて亡くなった。
葬儀屋が低いしめやかな声で、「ご出棺です」と言い、人びとが頭を下げていると、流れてきたのは「野球拳」。
小三治さんは「二上がり鞨鼓」、いいですねえ。
出囃子が流れて、、でてくるのかなあ、と待ち構えていると、、一向に出てこない、小三治さんだから。
やっと出て来ても、霊きゅう車になかなか入らない。
マクラが長いの!
それなのにすぐに焼き場にいっちゃう、小言念仏。
どっとくるのはご通家が多いから。
俺は金毘羅フネフネで出棺するのもいいと思うがなあ。
追手に帆かけてシュラシュシュシュなんてね。
月を見ながら呑んでください。
友だちに酒を買わせ、鯛を買わせ、その留守にその酒を飲んでしまう。
酒のみに酒を預けるなんて、猫に魚を預けるようなもんだ。
もう、文句なしにだらしがない熊さん。
俺もあんな風に生きてみようか、老い先を。
権ちゃんの勧めに従って月を眺めて居酒屋に(ながらじゃなかったが)。
「とれたての鰺の刺身」って、どこで取れたの?などと軽口言って一杯一杯また一杯。
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fusk-en25 at 2015-09-29 18:22
三味線を聴きながらコメントを書いています。
どこらあたりででてくるのか?そういう間合いって大事なんでしょうね。
噺家も聴いてる人にも。。。
出棺の時に流れるのもいいなあ。葬送曲でなくて。。。
どこらあたりででてくるのか?そういう間合いって大事なんでしょうね。
噺家も聴いてる人にも。。。
出棺の時に流れるのもいいなあ。葬送曲でなくて。。。
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福
at 2015-09-29 20:54
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saheizi-inokori at 2015-09-29 22:00
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saheizi-inokori at 2015-09-29 22:02
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福
at 2015-09-30 06:54
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権ちゃんのマクラ、「ザ・権太楼」でも演ってました。
「野球拳」でもいいじゃないですか、「アウト、政府、ヨヨイノヨイ」なんて、私の時もやろうかな。
露の新治の出囃子も「金毘羅」ですが、鈴本に出る時は別の曲を使います。権太楼への遠慮でしょう。
「野球拳」でもいいじゃないですか、「アウト、政府、ヨヨイノヨイ」なんて、私の時もやろうかな。
露の新治の出囃子も「金毘羅」ですが、鈴本に出る時は別の曲を使います。権太楼への遠慮でしょう。
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saheizi-inokori at 2015-09-30 10:01
> ほめ・くさん、そうですよね、お猿の駕籠屋もいましたね。
私は葬式はやらないつもりですが、死んだあとのことですから、子供たちがやるかもしれない。
「青きドナウ」がイイかと思っていたけれど、出囃子も一考の余地がありそうです。
新治の金毘羅はどこかで聴きました。
私は葬式はやらないつもりですが、死んだあとのことですから、子供たちがやるかもしれない。
「青きドナウ」がイイかと思っていたけれど、出囃子も一考の余地がありそうです。
新治の金毘羅はどこかで聴きました。
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喜洛庵上々
at 2015-09-30 11:42
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ikuohasegawa at 2015-09-30 12:47
権太楼師匠、このところ出囃子のマクラが気に入っているようですね。にぎわい座の死神で聞きました。
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saheizi-inokori at 2015-09-30 14:30
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saheizi-inokori at 2015-09-30 14:32
> ikuohasegawaさん、他の落語会でもやったそうですよ。
by saheizi-inokori
| 2015-09-29 12:04
| 落語・寄席
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