昨日から今日、よく泣く爺さんだった

ホテルのチエックアウトから葬儀までの時間がたっぷりあるから、おら家さ来て、かあちゃんの淹れる珈琲飲んだらいいべ、会場までは送ってっから。
はじめて伺う、いかにも日本の家。
畳の感触（俺の家にはないのだ）、高校までを暮らした家も畳の和室、たったフタマの仮設住宅（水道も風呂もない）だったが、やはり畳はいい。
奥さまも交えて、亡くなった人のことなどを穏やかに話していると気持ちが落ち着いてくる。
珈琲のあとは煎茶をゆっくり丁寧に淹れて下さり、思わず何杯も飲んでしまう（葬儀の間にトイレに行きたくなったらどうしよう）。
お腹が空くといけないからと鮨まで用意して下さったのには恐縮の至りだった。
（これは今朝の散歩で）

会場までの車から見る大曲の田園風景が、なんども見ているはずなのに、違ってみえる。
線路際や家々の玄関前などに、ガーデニングなどという言葉が似合わない花が咲いているのが、やはり夢で見る子供の頃のようだ。

東京と違って、大きな立派な会場で、会葬者は全て室内のイスに座っている。
気管支を広げる薬を吸入しているので声がかすれる。
俺の弔辞は三番目、さいしょの人が読み終える頃、ひそかにのど飴を口にいれる。
大きな遺影を仰ぎみて語りかけるように弔辞を読んだ。
声はかすれなかったが、慟哭がこみ上げて来て、震える声を無理にも励まして読みつづけた。
会場からすすり泣きが聞こえてきて、ますます辛かった。
さようなら、と言って終わって、お坊さんやなんやかや、どうやってお辞儀をして席に戻ったか。
（おとといの「クジラの貝焼き）

おときの席でいろんな人と話し込んでいて、夕方の新幹線に危うく飛び乗った。
少し落ち着いてから、スマホで国会デモの様子を見る。
記事がどんどん更新されて凄く人が出たことを知った。
死んだ友も、平和運動の闘士でもあり差別（とくに組合差別）と闘った男だ。

帰宅して、熱燗で気持ちを緩めようと思ったが、いざとなると面倒で、飯も食わずに寝てしまった。
朝、レイバーネットや新聞で昨日のデモの様子を見ているうちに又泣けてきた。
よく泣く爺さんになっちまった。







一昨日から昨日まで、いろんな場でいろんな方から、○○さんが亡くなっても、いつでも大曲さ来てくれ、花火の宿もするから、というような言葉をかけていただいて、泣きたくなるほど嬉しかった。