どの俺がホントの俺なのか 角田光代「笹の舟で海をわたる」
2015年 05月 24日
花屋の前を通ったら、薄紫のブーゲンビリアの鉢があって欲しくなった。
ぶら下がっているタグを読むと、手入れをすればなんども咲いて色が変わっていくという。
ますますイイナ、と思ったけど、不意に「失敗」の二字が頭に浮かんだ。
水やりを忘れたり、枯れた花をつままなかったり、肥料をやらなかったり、、楽しむための鉢がストレスになってはたまらない。
今の毎日の水やりでも面倒に思う日もあるのだ。
それに、ご近所様が競うようにしてきれいなガーデニングを見せてくれるし花屋も多いし、なにも俺が自分でやることはないね。
さ、サンチ行こう。
こうして、だんだん消極的に生きていくようになる。
まあ、「犬と歩けば・一人で歩いても棒に当たる」精神でアチタリコチタリでいる間は大丈夫だろう。
だいぶ前に読んだ本。
『本の雑誌』はときどき変なベスト10を選ぶなあ。
「文学史的傑作」って、いったいどこをどう押したらそんな言葉が出てくるのか。
この10年ほどの貧困な日本文学のことを考えれば傑作の部類に入るとでも言うのか、チト寂しい。
(桧原湖の朝)
そうは言っても最後まで読ませる程度には面白かった。
俺よりちょっと年上の女、戦時中に疎開経験がある、の半生記。
戦後から平成になるまでの昭和の社会の変化、人びとの生き方の変化、それに戸惑う自信のない女の気持ちはわからないでもないが、ちょっとイライラする。
自分が自分の人生のイニシアチブを取れない(被害妄想?)女。
疎開していた時に、自分が陰惨なイジメに加わっていたのかどうかがはっきりしない。
何年もたってから再会した人たちの、とくにイジメの先頭に立って専横な権力をふるっていたはずの人間がまったくそのことに触れようともしないのが、薄気味悪い。
そういうことは俺にもときどきある。
せんじつの長野行のように、古い友人・知人と久しぶりに会ったときに、彼らの思い出噺を聴いていて、そこに登場する俺が俺の自覚している俺とはまったく違った人格の持ち主のように感じられることがある。
SFのパラレルワールドとも違う。
現実に、過去からずっと続いてきた時の流れの中で俺は自分が思っているのとは違う人生、少なくとも人から見たら、を過ごしてきたのか。
初めて録音機で自分の声を聞いたときに「えっ!これ、俺?」みたいな。
オレオレ詐欺、俺が俺を騙してきたオレオレ詐欺?
(千人塚。善光寺境内にある。松代藩の増税案に反対した百姓一揆で処刑された人の鎮魂碑。)
過去のことだから忘れてしまった、そのせいだ、とばかりは言えないのではないか。
今現在進行中の俺も俺が自覚している俺のようには他人は受け止めていないのではないか。
バイスバーサ、他人も俺がみているように自分のことを考えてはいないのかもしれない。
(善光寺から下ってきたところにあった公衆便所)
なんだかおもしろいような怖いような。
でもどうすることもできないな。
俺自身が考えている俺の日々と他人がみている俺の日々。
二つの、いや、人間の数だけたくさんの俺の人生が現在進行中、やっぱり面白いな。
毎日新聞社
ぶら下がっているタグを読むと、手入れをすればなんども咲いて色が変わっていくという。
ますますイイナ、と思ったけど、不意に「失敗」の二字が頭に浮かんだ。
水やりを忘れたり、枯れた花をつままなかったり、肥料をやらなかったり、、楽しむための鉢がストレスになってはたまらない。
今の毎日の水やりでも面倒に思う日もあるのだ。
それに、ご近所様が競うようにしてきれいなガーデニングを見せてくれるし花屋も多いし、なにも俺が自分でやることはないね。
さ、サンチ行こう。
まあ、「犬と歩けば・一人で歩いても棒に当たる」精神でアチタリコチタリでいる間は大丈夫だろう。
『本の雑誌』はときどき変なベスト10を選ぶなあ。
「文学史的傑作」って、いったいどこをどう押したらそんな言葉が出てくるのか。
この10年ほどの貧困な日本文学のことを考えれば傑作の部類に入るとでも言うのか、チト寂しい。
そうは言っても最後まで読ませる程度には面白かった。
俺よりちょっと年上の女、戦時中に疎開経験がある、の半生記。
戦後から平成になるまでの昭和の社会の変化、人びとの生き方の変化、それに戸惑う自信のない女の気持ちはわからないでもないが、ちょっとイライラする。
自分が自分の人生のイニシアチブを取れない(被害妄想?)女。
疎開していた時に、自分が陰惨なイジメに加わっていたのかどうかがはっきりしない。
何年もたってから再会した人たちの、とくにイジメの先頭に立って専横な権力をふるっていたはずの人間がまったくそのことに触れようともしないのが、薄気味悪い。
そういうことは俺にもときどきある。
せんじつの長野行のように、古い友人・知人と久しぶりに会ったときに、彼らの思い出噺を聴いていて、そこに登場する俺が俺の自覚している俺とはまったく違った人格の持ち主のように感じられることがある。
SFのパラレルワールドとも違う。
現実に、過去からずっと続いてきた時の流れの中で俺は自分が思っているのとは違う人生、少なくとも人から見たら、を過ごしてきたのか。
初めて録音機で自分の声を聞いたときに「えっ!これ、俺?」みたいな。
オレオレ詐欺、俺が俺を騙してきたオレオレ詐欺?
過去のことだから忘れてしまった、そのせいだ、とばかりは言えないのではないか。
今現在進行中の俺も俺が自覚している俺のようには他人は受け止めていないのではないか。
バイスバーサ、他人も俺がみているように自分のことを考えてはいないのかもしれない。
なんだかおもしろいような怖いような。
でもどうすることもできないな。
俺自身が考えている俺の日々と他人がみている俺の日々。
二つの、いや、人間の数だけたくさんの俺の人生が現在進行中、やっぱり面白いな。
毎日新聞社
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蛸
at 2015-05-24 21:25
x
「俺」の顔は百面相やで、
数えられるほどしかなかったら 気持ち悪いと思うわ、
数えられるほどしかなかったら 気持ち悪いと思うわ、
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saheizi-inokori at 2015-05-24 21:40
蛸さんは千面相かもね^^。
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tona
at 2015-05-24 22:11
x
他人が自分のことをこのように感じていたのかと、もしわかったなら愕然として、生きていくのが辛くなるのかもしれません。
知りたくない、見ない、聞かないふりして愉快に過ごしている感じです。
知りたくない、見ない、聞かないふりして愉快に過ごしている感じです。
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fusk
at 2015-05-25 00:52
x
学生時代の同級生は「家事」をする私が考えられないと言い。
結婚してからの知人たちは私のことを「家事プロ」と呼ぶ。と言って私はおとなしい主婦ではない。
さて私はどれなんでしょう?ミステリアスな部分がいいんじゃないとうそぶくことにはしています。笑。
結婚してからの知人たちは私のことを「家事プロ」と呼ぶ。と言って私はおとなしい主婦ではない。
さて私はどれなんでしょう?ミステリアスな部分がいいんじゃないとうそぶくことにはしています。笑。
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wawa38 at 2015-05-25 00:58
自分が見る自分と他人が見る自分は異なっていて当たり前と思います。人は、その人が持っている経験や知識や感性でものを見ていますから。
それに、人は多面体。どの自分も本当の自分なのです。過去の自分も現在の自分も、すべて。
・・・というのが私の考え方です^^;
それに、人は多面体。どの自分も本当の自分なのです。過去の自分も現在の自分も、すべて。
・・・というのが私の考え方です^^;
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sweetmitsuki at 2015-05-25 05:12
防犯カメラなどに偶然写っていた自分の姿を見るとギョッとするときがあります。
地獄の閻魔さまの浄玻璃の鏡も、そのようなものでしょうか。
地獄の閻魔さまの浄玻璃の鏡も、そのようなものでしょうか。
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ikuohasegawa at 2015-05-25 05:20
(桧原湖の朝)って写真ですよね。まるで絵画。
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saheizi-inokori at 2015-05-25 07:17
tona さん、たしかに”新発見”の半分以上はマイナス評価ですね。私の場合、それだけ自分に甘いのでしょう。
もっとも誤解されていることも多いですね。反対に取られていたり。
もっとも誤解されていることも多いですね。反対に取られていたり。
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saheizi-inokori at 2015-05-25 07:19
fusk さん、私は自分がきれい好きだと思っていますが、部屋のなかは乱雑です。これは単に怠け者ってだけか^^。
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saheizi-inokori at 2015-05-25 07:20
wawa38 さん、残念ながら、というか、ありがたいことにというか、そういうことなんでしょうね。
自分探しなんてナンセンスだと思います。
自分探しなんてナンセンスだと思います。
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saheizi-inokori at 2015-05-25 07:22
sweetmitsuki さん、そうそう「これは俺じゃない!」って言いたくなる写真とかウインドウに映る変なおじさん。
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saheizi-inokori at 2015-05-25 07:23
ikuohasegawa さん、まぶしいので適当にシャッターを押したらこんな写真になりました。
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nao
at 2015-05-29 13:05
x
ご無沙汰しています☆
桧原湖の朝 とても良い写真ですね‼︎
思わず携帯に保存しちゃいました)^o^(
会社の経営改革とかで、只今リストラの危機に…(^^;;
そんな訳で、
履歴書をひっくり返していたら、昔の自分が書いた職務経歴書が出て来ました。
自分の文章とは思えなかったです。
これも、別人ですね( ^ω^ )
桧原湖の朝 とても良い写真ですね‼︎
思わず携帯に保存しちゃいました)^o^(
会社の経営改革とかで、只今リストラの危機に…(^^;;
そんな訳で、
履歴書をひっくり返していたら、昔の自分が書いた職務経歴書が出て来ました。
自分の文章とは思えなかったです。
これも、別人ですね( ^ω^ )
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saheizi-inokori at 2015-05-29 13:20
> naoさん、え!心配だね。
by saheizi-inokori
| 2015-05-24 12:34
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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Comments(14)