裏磐梯・桧原で幻の水蕎麦を食った
2015年 05月 21日
蕎麦通をからかった小噺、「蕎麦に汁をたっぷりつけるなんざ野暮」と言い続けた蕎麦通が死ぬ直前に「一度たっぷり汁をつけて食いたかった」。
喜多方の北、山都というところで出される、汁をつけずに水で食う「水蕎麦」の話はずいぶん前から聞いていたが未体験ゾーン。
ただ、うまい蕎麦を味わうときは、まず少し何もつけずに食ってみると蕎麦の出来が解るということは知っていたし実行していた。
だが、せんじつ裏磐梯・桧原の友人岩佐さんが、「まず水でくってみて」と出してくれた蕎麦は、すべてを水で食いたくなった蕎麦だった。
さいごに少しだけ、お義理で汁をつけてもみたが。
蕎麦本来の甘味と風味が、ここの水で食うと口の中にいつまでも生きている。
いっしょに行った友人は「蕎麦が甘いということを初めて知った」と。
孤絶に近い集落に一人住んで「蕎麦古家」を繁盛店に仕上げた岩佐さんもイジンの一人だ。
廊下にあった額に彼の人生観が覗ける。
彼の「ご馳走を期待しないでくれ」と言いながら出してくれたご馳走。
岩魚の塩焼きもさることながら手をかけた天ぷらもイケる。
こんなものを呑みこむほどの岩魚、それを頭から食うのだからヒトは獰猛だ。
天ぷらはいろいろ出た。
店を始めた頃に食った俺は生意気にも「天ぷらをもっと軽く揚げて欲しい」と言ったのだが、もはや言うことはない。
食事前の山道散策で見つけた自生のワサビのうまいこと。
採ってすぐ花先を食ってみて「これは料理しない、そのまま生で食おう」と意見が一致した。
「鹽を振って食いたい」と形容される新緑のやわやわした山の木々。
その新緑の精がワサビになってここにある。
鹽すらも不要、あくまでも柔らかく、幽かな辛みが心地よい風のように身体じゅうを通り抜けていく。
俺があまりにもワサビを褒めるものだから、岩佐さん、「人がせっかくいろいろ苦労して出してるのに、何もしないワサビばっかり褒めるんだから」と拗ねてみせた。
なあに、苦労して出してくれたいろいろがあるから、ワサビのウマさが際立つのです。
もちろん、G君が持ち込んだ「獺祭」も強力な味方。
とはいえ、なんといってもこの夜の主役は、岩佐さんの語る人生観、日々の暮しのありよう、70を過ぎてからの夢だった。
ここに蕎麦が実るのだ。
そして岩佐さんの夢も実るのだ。
喜多方の北、山都というところで出される、汁をつけずに水で食う「水蕎麦」の話はずいぶん前から聞いていたが未体験ゾーン。
ただ、うまい蕎麦を味わうときは、まず少し何もつけずに食ってみると蕎麦の出来が解るということは知っていたし実行していた。
さいごに少しだけ、お義理で汁をつけてもみたが。
いっしょに行った友人は「蕎麦が甘いということを初めて知った」と。
孤絶に近い集落に一人住んで「蕎麦古家」を繁盛店に仕上げた岩佐さんもイジンの一人だ。
廊下にあった額に彼の人生観が覗ける。
店を始めた頃に食った俺は生意気にも「天ぷらをもっと軽く揚げて欲しい」と言ったのだが、もはや言うことはない。
食事前の山道散策で見つけた自生のワサビのうまいこと。
採ってすぐ花先を食ってみて「これは料理しない、そのまま生で食おう」と意見が一致した。
その新緑の精がワサビになってここにある。
鹽すらも不要、あくまでも柔らかく、幽かな辛みが心地よい風のように身体じゅうを通り抜けていく。
俺があまりにもワサビを褒めるものだから、岩佐さん、「人がせっかくいろいろ苦労して出してるのに、何もしないワサビばっかり褒めるんだから」と拗ねてみせた。
なあに、苦労して出してくれたいろいろがあるから、ワサビのウマさが際立つのです。
もちろん、G君が持ち込んだ「獺祭」も強力な味方。
そして岩佐さんの夢も実るのだ。
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ikuohasegawa at 2015-05-21 12:13
裏磐梯、十谷温泉、横浜小満、こんがらがってきそうだが、どれも羨ましき限り。
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pallet-sorairo at 2015-05-21 15:21
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unburro at 2015-05-21 20:15
十谷温泉、裏磐梯、それぞれ早速(笑)ネット検索して、
我が家からのアクセスを、シュミレーション‼︎しました。
裏磐梯は、遠かった…ですが、
意外に十谷温泉への道が遠くないことを発見しました。
身延山にも、昔から興味があったので、
心の中の「行きたい所リスト」にアップしました^ ^
我が家からのアクセスを、シュミレーション‼︎しました。
裏磐梯は、遠かった…ですが、
意外に十谷温泉への道が遠くないことを発見しました。
身延山にも、昔から興味があったので、
心の中の「行きたい所リスト」にアップしました^ ^
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saheizi-inokori at 2015-05-21 22:32
ikuohasegawaさん、私の頭もこんがらがってきました
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saheizi-inokori at 2015-05-21 22:33
pallet-sorairo さん、山都の「宮古」という集落のようです。行ってみたいですね。
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saheizi-inokori at 2015-05-21 22:36
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wildrose53 at 2015-05-21 23:21
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reikogogogo at 2015-05-22 07:02
自然豊かな裏磐梯、福島の旅を思い出します。
山椒魚を食べる岩魚とはショックですね。
以前、奥只見湖で船に乗り、ワカサギ釣りをしました。
ワカサギの釣り餌が、ウジ虫、夕食にそれを飲み込んだワカサギのカラアゲと思ったら食べられなくなったの。
吾妻川の岩魚は栄養豊富なのですね。
山椒魚を食べる岩魚とはショックですね。
以前、奥只見湖で船に乗り、ワカサギ釣りをしました。
ワカサギの釣り餌が、ウジ虫、夕食にそれを飲み込んだワカサギのカラアゲと思ったら食べられなくなったの。
吾妻川の岩魚は栄養豊富なのですね。
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tona
at 2015-05-22 08:43
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水で食べるお蕎麦、どんな味なのでしょう。甘そうなことはわかるのですが。
「男人生」いいですね。北斎の言葉も思い出しましたが。人生に悔い無しなんて、なんていい人生を送っていらっしゃるのでしょう。
「獺祭」の佐々木社長は杜氏を雇わないで社員全員で作っていると言っていましたね。
「男人生」いいですね。北斎の言葉も思い出しましたが。人生に悔い無しなんて、なんていい人生を送っていらっしゃるのでしょう。
「獺祭」の佐々木社長は杜氏を雇わないで社員全員で作っていると言っていましたね。
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saheizi-inokori at 2015-05-22 10:41
wildrose53 さん、久しぶりに会津を駆け抜けました。
このところ秋田、岩手、長野、山梨とかけ歩きが続いてますが、会津の懐かしさは独特のものがあります。
長野は故郷ですが、会津は社会人として初めて仕事をしたところだからだと思います。
猪苗代で納豆を買ったときの店の人の言葉・風貌なども一気に時間を遡らせてくれました。
このところ秋田、岩手、長野、山梨とかけ歩きが続いてますが、会津の懐かしさは独特のものがあります。
長野は故郷ですが、会津は社会人として初めて仕事をしたところだからだと思います。
猪苗代で納豆を買ったときの店の人の言葉・風貌なども一気に時間を遡らせてくれました。
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saheizi-inokori at 2015-05-22 10:51
reikogogogo さん、デリケートなんですね^^。
蜂の子もウジではあるけれど好きですよ。
蜂の子もウジではあるけれど好きですよ。
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saheizi-inokori at 2015-05-22 10:55
tona さん、ほんとに。
でも決断すること、実行すること、はたで見るより大変だったと(今も)思います。
それをやるから胸が張れるのでしょう。
獺祭は昔は普通に手に入ったのですが有名になったら3か月前から予約したそうです。うまいことはウマいけれど私は家では「水尾」(飯山)一本やりです。
でも決断すること、実行すること、はたで見るより大変だったと(今も)思います。
それをやるから胸が張れるのでしょう。
獺祭は昔は普通に手に入ったのですが有名になったら3か月前から予約したそうです。うまいことはウマいけれど私は家では「水尾」(飯山)一本やりです。
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j-garden-hirasato at 2015-05-22 11:24
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saheizi-inokori at 2015-05-22 11:30
j-garden-hirasato さん、濃い、というより深いのです。
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sheri-sheri at 2015-05-22 14:46
岩佐さん、パチパチ。凄いなぁ。・・・・
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saheizi-inokori at 2015-05-22 18:13
sheri-sheri さん、気力、体力、そして決断力に実行力、大したやつです。
by saheizi-inokori
| 2015-05-21 10:52
| 気になる店・ひと皿
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Comments(16)