能・狂言は平和志向だ 「文山立」・「巴」@国立能楽堂

ラッキー!能のキップをいただいた。
「働く貴方に贈る」という企画で7時開始。働いていない隠居は「鶴の湯」、あつ~い。
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女性たちの大きな声が聞こえる脱衣所。
「これから帰ってやることがたくさんあるのよ、○○会の経理とかなんとか。
補助金を貰ってるのは面倒なの、ほら、今大臣が問題になってるでしょ」、喋りながら(か、聞いている人か)大きな音で、ぶぶぶ!おならをする、ひるというより落とすという感じの重量感を伴ったおなら。

外に出て写真を撮ってたら肥った女性が出てきた、この人かと思ったのはおかしかった。
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まだ時間があるし、終演が9時半だと腹に何か入れとかなきゃ、途中で、ぐぐぐ、腹がなると困るのだ。

寿司屋、前には出ていなかった看板が外に出ている。
特上3240円、上2160円、中1620円、中身もちゃんと書いてある。
いったん通り過ぎたけれど、どうも入りたい店がない。
パスタ1600円という看板が目に入る。
そうか、寿司だってパスタの値段で食えるのだ。
しかも今日はチケット代がロハ。
えいっ!

感じのイイ親父、途中から入ってきた感じのイイ若い女性、美人で一人。
日本語ができないらしく英語、親父困った顔。
俺のわかる範囲でなかだち、「おいしい酒、日本酒のことじゃないかな」とか。
もっと、ゆっくりしたかったけれど、「バイ!」、店を出た。
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「能に見る道具の扱い」

観世喜正がしゃべって、味方玄が実演する。
歩き方、男と女。床几を馬と見立てて乗ってタズナをつかみ、足踏みをし、鞭を入れる。
長刀のつかい方。扇はいろいろな見立てと月の観方や形見の小袖など。
シオリ(泣く所作)。いずれも今日の演目「巴」に出てくる場面から。

観世がしゃべる役なのに、味方もよくしゃべり、観世が「私はいらなかった」、京都からわざわざ出てきた人気者・味方のしゃべりを聞きたい人もいるでしょう。
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狂言「文山立(ふみやまだち)」

つまらないことから決闘を始めた山賊二人、シテ・大蔵基誠アド・善竹富太郎
オイ、これ以上押すと崖だ、二人とも死んじゃうから真ん中に戻ってやろう、それがいい。
オイ、このまま死んだら遺された連中は何で死んだかわからないから、書置きをしよう、それがいい。
一人が書いた書置きを読んで、「これを読んだら女房や子供たちが吼える(泣く?)だろうなあ」。
思わず二人そろって泣き出して、「さてもさても、死ぬのを延そうじゃないか」「一日二日?」「いやそれは短かすぎる」「一年二年?」「それだってあっという間だ」
誰がみているわけでもない、いっそ死ぬのをやめようじゃないか。
二人ニコニコ手を取り合って
犬死せでぞ帰りける
いいねえ、これ、世界に発信できないか。
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(赤羽で、向かい側のパパに飛びあがって喜ぶ子)

能・「巴」
巴御前は木曽義仲が近江・粟津で、戦い敗れて、もはやこれまでと自害するときに「お前は女だから逃げ延びよ。最後まで女を連れ歩いたと言われたら俺の名が廃るし、、」と共に死ぬのを許されなかった。

女(シテ・片山九郎右衛門)が義仲の祀られている近江・粟津の社の前で泣いている。
木曽の山家から都をみんとてやってきた旅の僧(ワキ・高井松男)に涙のわけを尋ねられ、行教和尚が宇佐八幡神社で
なにごとのおはしますとは知らねども忝さに涙こぼるる
と詠んだではないですか。
貴方も木曽の出身ならばここに祀られている義仲の霊を慰めてくれと言って、名も名乗らず消え去る。
深井の面、ひざまずいて下を見たときの美しさ!

里人(アイ・茂山良暢)が、巴御前と義仲の別れの始終を語ってみせて、さっきの女は巴御前の幽霊だろうという。

後半、後シテは鎧甲冑に長刀をもった巴御前の幽霊が現れ、義仲との最後の場面を語り舞う。
旅の僧が幽霊に「義仲の最後の場面を語ってくれ」と頼むというのが何だかおかしかった。

クルドの女性兵士たちが獅子奮迅の活躍でイスラム国を苦しめている、テレビで勇ましく語っている姿を想ってしまうのだ。

笛・藤田次郎 小鼓・古賀祐己 大鼓・高野彰
地謡・観世喜正ほか
謡のことのほか緩急強弱をつけて、ドラマティックな別れ・戦闘・愁嘆を強調していた。

舞い終って鎧甲冑(じっさいは唐織壺折・梨打ち烏帽子)を脱ぎ武具を置き、真っ白な姿で黒い信楽笠をかぶる。
俺の目の前でやってみせてくれた、ワクワク、きれいな所作だった。
Commented by 旭のキューです。 at 2015-02-28 15:12 x
ぶぶぶって、女性の方ですか?銭湯って、情緒がありますね~
Commented by sweetmitsuki at 2015-02-28 19:08
吉田兼好のいう、宿河原の闘いとは、真逆の世界ですね。
能の舞台や発信地のことはよくわかりませんけど、宿河原はバイクで生ける距離なので、さっそく次の休みにでも、取材に出かけようと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2015-02-28 22:26
旭のキューです。さん、情緒ね、ちょっと臭いけど^^。
Commented by saheizi-inokori at 2015-02-28 22:30
sweetmitsuki さん、ぼろぼろですか。
生死は紙一重なのかもしれない。
死ぬのもよし、生き延びるのもよし。
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by saheizi-inokori | 2015-02-28 12:04 | 能・芝居 | Trackback | Comments(4)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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