長年連れ添った舌だもの たまにはうまい物を 尾山台『田園』

一年ぶりかな尾山台の「田園」。
あまりめでたいとは思わないが誕生日ということで、カミさんが云いだしてくれた。
まずは「蟹の出汁巻玉子」。
「海老しんじょう、タケノコ、カブ入りのすまし汁」、湯気の幸せ。
「カブ、アンコウの肝和え」、奥は「ごま豆腐、黄身ソース」。
もうこのあたりで一本空けてしまう。
奥の小上がりに一組、テーブルに二人づつ二組、カウンターに御爺さん４人、平均年齢の高い、口うるさい夜、安斎さんは「うるさいなあ！ったまきちゃう」なんていいながら小気味よくさばいていく。
「あのさあ、手がすいたら、フグを少しでイイから」というと「わかってますって、計算に入ってますよ、誕生日なんでしょう」。
フグ刺しを食うなんザ、前世紀いらいかも。
カウンターのオッサンが「刺身も食べたいなあ」と言って「わかってるって」と怒られた刺身、「マグロ赤身、トロ、カツオ、寒ブリ」、いつもながら豪快な切り方。
「ナメタガレイ（子持ち）と豆腐一丁」、どのメニューも二人で一皿ではあるが、大きいよね。
俺はエンガワのところが一番好き、骨もちゅーちゅー。
卵、豆腐の一部。
カミさんの特注（他はお任せ）の「ソラマメのかきあげ」、春がきたぞ～！
「菜花とシラウオ、肝沿え」
春だらけ。
脂たっぷりの「キンキの刺身」、厚切りなのよ。
このあたりで三合呑み終えたのでビールに切り替え、なんせ健康第一じゃけの。
なに？大瓶しかない？しょうがないなあ、呑んでやるか（にんまり）。
「フグの白子」、何たるゼイタク！癖のない芳醇、奥深い滋味、幽かな甘味、白子はフグに限るのう。
となりに女性が一人座ったと思ったらお爺さんたちとワインを乾杯。
大きなチューリップグラスになみなみ。
思わず、「わ、うまそ！」とはしたなくも漏らすと、「誕生日なんでしょ！」、安斎さんが俺にもなみなみ。
健康第一じゃけ、ポリフェノールは大事ですもん。
フグとワインも相性がいい。
「はい、これも」、「ザーサイ」
ワインとザーサイの相性もいい。さあ、来年も来れるか。よろよろと立ちあがる隠居であった。