返したくないなこの本 麻生芳伸「噺の運び」
2014年 12月 29日
箱入り、袋とじ、献呈署名入り、限定300部の私家本。
お借りできたのがラッキー。
落語評論家の麻生芳伸が書いて先代金原馬生が挿絵。
さっと読んだら1時間もかからない。
でもそんな風に読んだらもったいない。
林家正蔵(先代)、小さん、円生、円遊、松鶴、米朝、小文枝、馬生、小南、志ん朝、柳朝、談志、柳橋(先代)、金語楼、猫八(先代)、文楽(先代)、文治(先先代)、小円朝、志ん生。
懐かしい噺家の高座や人物について歯に衣着せない批評を毎日新聞などに書いたものを集めた物。
だからその文章もしっかり味わうべきものだ。
さいきんの新聞の落語評は大海人皇子、取り上げたらみんな名演になっている。
それも通り一遍の褒め言葉、食い物番組の「美味しい!」とあまり変わらない。
その点、本書の批評は褒めるものもあるが手厳しいものはズバリ急所をえぐる。
たとえば、三越劇場の落語競演会における談志について。
一方で、先代林家正蔵や志ん生、小円朝などのについては惚れ惚れしている感じが伝わって、俺も彼らとのんびり世の中を楽しんでいるような気がしてくる。
ああ、返したくないな、この本。よ
お借りできたのがラッキー。
さっと読んだら1時間もかからない。
林家正蔵(先代)、小さん、円生、円遊、松鶴、米朝、小文枝、馬生、小南、志ん朝、柳朝、談志、柳橋(先代)、金語楼、猫八(先代)、文楽(先代)、文治(先先代)、小円朝、志ん生。
懐かしい噺家の高座や人物について歯に衣着せない批評を毎日新聞などに書いたものを集めた物。
わたしは、落語を聴くことは、生きていることの、生身のふれあいにあるような気がする。そして、その、生身のふれあいを書きたい、とおもったが、、、、結論をいえば、これほどむつかしいものはない。舌代にそう書いている。
だいいち、いい落語が聴きたい、とおもっても、その日その時、こちらのおもうような高座に出合うことだけでも、むつかしい。ほんとうに、高座と聴衆が一致して、藝の醍醐味を味わえるのは、一年のうち何度かで、数えるほどしかない。生身の藝のむつかしさだ。
だからその文章もしっかり味わうべきものだ。
落語は、頭で理解するものではなく、皮膚で感じるものらしい。噺家が身ぶり手ぶりで高座でやっていることは、単なる”世間ばなし”にすぎなくて、いつも聴いているほうのこころのなかにある映像となって写し出されているものなのだ。冒頭の文章、掬すべきものありだな。
そうした”世間ばなし”のなかに、ひとの生きてゆくすがたや自分の身のまわりや世の中とのつながりに誰もが気づいて、いつの間にか耳をかたむけ、うなづいているのではないか。
落語を聴いていて、おかしくて、つい笑ってしまうのは、そこに演じられている人物や事柄に、現在の自分を置きかえてみるからではないのだろうか。
明るい”笑い”がけわしい人生の曲がり角をうまく回転させて、理屈では解決できないものを満たしてくれる。
それも通り一遍の褒め言葉、食い物番組の「美味しい!」とあまり変わらない。
その点、本書の批評は褒めるものもあるが手厳しいものはズバリ急所をえぐる。
たとえば、三越劇場の落語競演会における談志について。
それにしても、談志の高座の”構え”は見苦しい。彼があのようにシャッチョコ張るのは、はなし家としてのポーズを無理につくろうとしているからだろう。(略)彼が地(じ)になると、とたんに生き生きとしてくるのは奇妙だが、それもマスコミを意識したからのポーズでしかない。(昭和44年7月1日、毎日新聞)俺の談志に対する違和感はここにあるのかも。
ああ、返したくないな、この本。よ
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喜洛庵上々
at 2014-12-29 10:56
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大昔一番最初に買った落語関係の書籍が、いま読んでいらっしゃる本の著者麻生芳伸氏のものでした。
しかし挿絵が馬生師匠だなんて、贅沢かつ素敵ですね!
しかし挿絵が馬生師匠だなんて、贅沢かつ素敵ですね!
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otebox at 2014-12-29 11:33
分かります、その心。私は書物から遠い暮らしをしておりますが、それでもそんな本の何冊かには出会います。そのほとんどが手元にございません。誰ぞに読ませたくてならなくて…
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saheizi-inokori at 2014-12-29 12:04
喜洛庵上々さん、麻生氏の文章はややつながりが分かりにくいところがありますが、落語感はさすがですね。
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saheizi-inokori at 2014-12-29 12:05
otebox さん、好い本は人に読ませたい、その通りですね。
とくに若い人たちに読んでほしいなあ。
とくに若い人たちに読んでほしいなあ。
麻生さんの落語本、文庫は春・夏・秋・冬、そして上・下、六冊全部持っていますが、さすがにこの限定本はありません。
文庫にして欲しいという思いと、こういう本は作者に大事な人だけが持つべきだ、という思いがないまぜになります。
お餅を本にくっつけないよう、お読みのほどを^^
文庫にして欲しいという思いと、こういう本は作者に大事な人だけが持つべきだ、という思いがないまぜになります。
お餅を本にくっつけないよう、お読みのほどを^^
落語の『寝床』のセリフじゃないけれど、演じ手が聴かせたい、客が聴きたいという思いが一致しないと良い芸というのは生まれないということなのでしょう。そういう機会は年に数回というのも良く分かります。
先代馬生は画家を目指していただけあって、さすが絵が上手いですね。
先代馬生は画家を目指していただけあって、さすが絵が上手いですね。
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m-rica at 2014-12-29 16:49
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saheizi-inokori at 2014-12-29 23:57
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saheizi-inokori at 2014-12-29 23:59
ほめ・くさん、最近ひところより落語会に行く回数が減りましたが、その方が楽しめるような気がします。
年に二三回しか寄席に行かなかった頃はいつも楽しかったような気がするのです。
年に二三回しか寄席に行かなかった頃はいつも楽しかったような気がするのです。
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saheizi-inokori at 2014-12-29 23:59
m-rica さんもね^^。
今日は落語の聴き納めでした。
今日は落語の聴き納めでした。
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j-garden-hirasato at 2014-12-30 06:52
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saheizi-inokori at 2014-12-30 11:02
j-garden-hirasato さん、おっしゃる通りです。
落語はテレビがいちばんつまらなくてラジオは想像力を刺激されるからまだまし、やっぱりライブでなくては値打は半分ですね。
聴く側にも責任があります。
落語はテレビがいちばんつまらなくてラジオは想像力を刺激されるからまだまし、やっぱりライブでなくては値打は半分ですね。
聴く側にも責任があります。
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c-khan7 at 2014-12-30 19:47
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saheizi-inokori at 2014-12-30 20:04
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創塁パパ
at 2014-12-31 08:37
x
いいなあ。この本。談志が嫌いな点、納得できますね((笑)
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saheizi-inokori at 2014-12-31 09:49
創塁パパ さん、談志も苦笑してるかな。
by saheizi-inokori
| 2014-12-29 06:49
| 今週の1冊、又は2・3冊
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