投票の前に! 伊東光晴[アベノミクス批判 四本の矢を折る」
2014年 12月 13日
図書館に予約したのがやっと届いたので即日読みました。
アベノミクスを選挙の争点にしたいという安倍。
メデイアも異次元の金融緩和が株価を押し上げたと評価している。
それは全くの虚妄であり、アベノミクスでいうところの三本の矢はいずれも達成不可能であることを明快に説いている。
これから投票する方に参考になることを願って本書のさわりを引用します。
第一の矢その動きが始まったのは2012年10月からであり安倍・黒田登場(2012年12月、3月)以前である。
金融の量的・質的緩和は、株価の上昇にも為替の変化にも何の関係もない。株価が大きく上昇したのは外国ファンドの買のためであり、リーマン・ショック以後落ちた欧米の株価が低金利政策もあって上昇し、元に復し、残る市場である日本に向かったのである。
安倍・黒田氏はこの件に関してなにもしていない。
日本の株式市場は25パーセントが売買で利益を得ようとする海外投資家によって株価が上下する(会場を貸すけれどイギリス人プレーヤー不在のウインブルドン現象だという)。
2012年10月から海外投資家の買い越しが始まっているのだ(個人・生損保・信託銀行・投資信託はいずれも売り越し)。
なぜ日銀は異次元の金融緩和、通貨増発を行ったか?
それは財務省が大量の国債発行による予算編成を続けるため。
国債を野放図に発行し続けると市場で消化できず、国債の価格が下がり、その結果国債の金利も上がる。
1パーセント金利が上がると利子支払額は8兆円増え、法人税10兆円の大部分が相殺されてしまう。
それは何としても回避したいので日銀に国債を引き受けさせて市場に出回らないようにする、すなわち「通貨増発による財源調達」が黒田総裁に対する至上命令となった。
不公平税制、脱税し放題の消費税の仕組みなどを抜本的に改革しないまま、巨額の赤字国債発行による予算編成が続く限り異常な日銀の国債引き受けは続けざるを得ず問題は将来に先送りされる。
円高是正、円安への誘導は財務省による為替介入によってなされたと筆者は推測する。
円を売ってドルを買う(アメリカ国債購入)ことがアメリカの累積した国債を減らしたいという思いに合致しアメリカも日本の為替介入を黙認した。
第二の矢強靭化のために10年間で200兆円を投入するという(一年平均20兆円)が、現在の公共事業関係予算は地方分も含めて約8兆円の水準。
国土強靭化政策は予算化されていない。
それを20兆にするというのは上に書いたような国債累積、破たん間際の財政状態から見ても不可能である。
さらに南海巨大地震対策で言われているような巨大な堤防を途切れ途切れに建設しても防災効果はない。
東北の高台住宅も住民の事情をみると現実には進捗しないのではないか。
第三の矢財政赤字に対する抜本対策を講じないまま問題先送りを続け、肝心の労働者に対しては「従業員を必要とあらばいつでも解雇でき、安い賃金の従業員を派遣社員として雇うことができ、労働時間が長くなっても残業手当を支払わなくてもよい労働市場」を目指すのが、第三の矢の「日本産業再興プラン」における明確な内容を持つ唯一の項目だ。
経済成長政策は、具体化の姿が見えない。
何よりも、人口減少下という実態が見据えられていない。
いま、日本経済にとって大切なことは、財政問題と労働市場の改革である。
これほど反従業員政策を推進しようとした内閣は戦後ない。
労働条件の悪化は所得の不平等を生み、消費需要が減少、貯蓄性向が高まり、適正な経済成長率を高め、好景気へのハードルを高くする。
「科学技術イノベーションの推進」・「人材力の強化」なども、国立大学の独立行政法人化されて以後の国の機械的支出削減によってどの国立大学も日常の運営費にも事欠く現状をどう変えようとしているのか。
地域的にも拡散し、産業特性も異なり、制度も、伝統も、発展の程度も、所得水準も相違する10か国が、24項目という貿易以外の多くの項目で、あらゆる規制をともにすることなど、できるはずがないのである。
日本にとって、国際経済政策上の当面の急務は、国際的に見てあまりにも高い天然ガス、石油の価格を正常値に引き下げさせることだ。
それは経済政策ではなく政治政策だ。
「日本を取り戻す」「戦後レジームからの脱却」。このほか、原発の輸出と再稼働も安倍政権のはらむ危険としてその非を告発している。
彼の言う戦後レジームとは平和憲法が意図した平和国家であり、憲法九条を改正し、軍隊を認め、交戦権を認めることにする―そこに至るために、まず憲法解釈を変えて集団的自衛権を認め、同盟国が攻撃された時これを支援するために自衛隊が武力を行使することができるようにする―その後、憲法九十六条、つまり改憲手続きー衆参総議員の三分の二以上の発議が必要―を改正し過半数にする。次いで憲法改正に至るというもの。
すなわち安倍首相の目指すものは戦後の理想主義を否定するものだ。
できたら直接お読みになることを薦めます。
岩波書店
お仲間も多勢おられそうで
お天気まで読まれてしまったのでしょうか
各地大荒れ模様です
かすかな望みをかけて・・・・・・・
15年続いたデフレ、などと言う嘘っぱち(じっさいは10年)を言いふらすあの顔を見てると寒気がしてきます。
舐めきりだけでなくペテン、詐欺解散です。
テロ容疑者に対する拷問を命じたブッシュと重なります。
スケートが特に好きなようです。