素晴らしい人生と云おう フランク・ブレイディー「完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯」

三日連続の飲み会、さすがに身体が拒否反応、焼酎のカテキン緑茶割などと言う代物を二杯だけ。
食べる方もチビチビ。
10時には帰宅、風呂に入って浴槽も洗う、イイ気持で寝た。
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(五反田・鉄板焼き「200℃」)

朝はスッキリ、聞きなれない鳥の声を楽しみつつサンチをおだてつつ(さいきん家に帰りたがる)散歩して、ちょっと手抜き気味になっていたストレッチと筋トレをきっちりやる。
さいごに深呼吸をゆっくりしていると身体の中から温かい熱のような気力が湧いてくる。
さ!朝飯だ。
野菜スープのニンジン、カブ、カボチャ、玉ねぎ、トマト、、それぞれが何とも言えない甘さ、食うそばからみんなエネルギーになっていくような気持ちがする。
天の恵みに感謝だ。
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せんじつ紹介したフレッド・ウェイツキン「ボビー・フィッシャーを探して」の解説で知った本。

羽生善治(2007年、チェスの国内レーティングで第一位)が解説でフィッシャーはチェス界のモーツァルトだと言ってその理由として、①だれもが認める”天才”であること、②その天才性を簡単に知ることができる③それとは別の部分に大きなギャップがあること、の三つをあげている。
本書を読むとこの三つがよく分かる。

貧しい子供時代、ユダヤ人の生物物理学者だった父親と別れたスイス生まれの母と姉の三人ぐらし、食う寝るところの確保が大変だったが、自らも医者になろうとして成ってみせる母の奮闘も素晴らしい。
その母を心配させながらも周囲に理解者・後援者を得てチェスの勉強(凄まじい)を続け驚異的なデビューを果たす前半のスリル。

世界チャンピオンになってからの何百万ドルものオファ―を断り所在をくらます奇行・慢心・世捨て人・反ユダヤ的発言など、ついにはホームレスに近い状態にまでなる。
にもかかわらず、誰かが彼を探し出し救いの手を差し伸べる。
47歳のフィッシャーは17歳の少女の手紙を読んで彼女に恋をする。
彼女の手引きもあって世界選手権のリターンマッチをユーゴスラヴィアで行い400万ドル近い賞金を手にするが(名声も)、ユーゴスラヴィアに経済制裁を課しているアメリカ政府から告発され、逃亡生活に入り、日本の渡井美代子(日本チェス協会会長代行)と結婚する。
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9・11テロの際にラジオで、「ブッシュに死を!アメリカに死を!アメリカなんかくそ喰らえ!ユダヤ人なんかくそ喰らえ!」などと発言し世界を敵に回す。
成田でパスポートの無効を理由に逮捕され成田に一か月、その後牛久収容所で10か月収監される。

世界の各国に救いを求めたがアメリカの目を恐れて受け入れ先はみつからない。
最初の世界チャンピオン戦が行われたアイスランドでフィッシャーの永久的市民権を認める法律が成立する。
温かく迎え入れたアイスランドに対してもさいごは敵対的なことをいうフィッシャー、病気になっても医者にみせるのを嫌い、治療を受け入れず、孤独のうちに64歳で死んだのは2008年。

死後、遺産を巡って争いがあり、墓を掘り起こしてDNA鑑定騒ぎ。
けっきょく渡井が相続人となるのだが、アメリカ政府が罰金や所得税を求めたらほとんど残らないだろうと結ばれる。
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いささかでも「裏切られた」「嘘をつかれた」と判じたらどんな恩人をも即座に切り捨てた。
ハラハラするような、そんなにまでしなくても、と思わせる生き方。
それにもかかわらず、多くの人が愛した。
とくにチャンピオン戦で敗れた男などが「俺の弟」とまでいってフィッシャーの再起を願った。
生きていれば俺と同い年。
やっぱり素晴らしい人生だったと思う。

佐藤耕士 訳
文藝春秋
Commented by unburro at 2014-11-28 14:27
このフィッシャーを受け入れた、アイスランドって、
なんかスゴイ国ですね。
ちょっと、アイスランドについて勉強したくなりました。
Commented by at 2014-11-28 15:18 x
凄まじく本望な人生。そこまで出来へんなぁ、
Commented by 旭のキューです。 at 2014-11-28 17:41 x
朝起きて、ご飯が美味しいと体調がいいです。(*^.^*)
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-28 20:54
unburro さん、フィッシャーとスパスキーの世界選手権の会場をレイキャビックにしたためにアイスランドが有名になったということに恩義を感じたようですが、なかなか魅力的な国ですね。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-28 20:55
蛸さん、本人は不平不満が多かったようですがね。
私もイイ人生だと思いますよ。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-28 20:56
旭のキューです。さん、うまい朝飯を食うと元気になるのか元気だから朝飯がうまいのか、どっちにしても朝飯がうまいのは幸せなことだと思います。
Commented by reikogogogo at 2014-11-28 23:18
saheiziさんは、生活の基本を欠いていないから心配ない人ですね。連日飲み会でもちゃんと自身のコントロールが出来ている、散歩も、読書も。
Commented by chaiyachaiya at 2014-11-29 00:25
不平不満が多いとこだけ、天才チェス屋さんと似てる私です。
Commented by sheri-sheri at 2014-11-29 07:55
おはようです。フロに入って浴槽を洗う、いい気持ちで寝た・・・良かったです。いい気持ちでねることくらい幸せな事はないですよね。私もベッドに入るときいつも満足満足という気分になります。おそらく寝具が今、気にいってるからかもしれません。さて、フィッシャーですが、自分を貫く、強い人でしたね。意志が強い。お母さんもそのようですね。そして父親もきっと意志が強い。なかなか凡人はそうもいきませんね。非凡な才能を持つフィッシャー、どこか生一本で周りの人を魅了したのですね。会ってみたかったです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-29 09:39
reikogogogo さん、放埓、意思の弱い人生を送ってきたのに、こそばゆい^^。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-29 09:39
chaiyachaiya さん、不平不満こそ飛躍への原動力!^^。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-29 09:41
sheri-sheri さん、ちょっと怖いような気もしますがね。
昨日だったかの新聞に羽生がロシアのチェス名人に敗けたという記事が載っていました。
シンクロみたい^^。
Commented by unburro at 2014-11-29 11:23
そういえば、例の元CIAスノーデン氏の時も、
亡命先としてアイスランドの名前が出ていましたね。
(蛇足、でした^ ^)
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-29 11:26
unburro さん、そうでした。
Commented by ikuohasegawa at 2014-11-29 17:52
15日を読んでいたので、20日のNHKBS1で「天才ボビーフィッシャーの戦い・・・盤上の米ソ冷戦」を録画しました。見るのが楽しみです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-29 19:49
ikuohasegawa さん、おやまあ、そんな放送があったのですか。
テレビ見ないからなあ。
Commented by sheri-sheri at 2014-11-30 11:20
ほんとですね。なんだか彷彿させますね。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-30 12:11
sheri-sheri さん、天才は人を惹きつけますね。
悪の天才だって、きっとそうでしょう。
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by saheizi-inokori | 2014-11-28 11:12 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(18)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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