与太郎はモテモテ男なのだ 第557回「落語研究会」
2014年 11月 26日
雨と分かっていたから目が覚めても外の様子を確かめずにベッドでぐずぐずしていたらあっという間に時間が過ぎて7時半。
たまには寝坊もいいだろう、なあサンチ?、、散歩にいきたいか。
雨の上がりかけた国立劇場へ続く道。
背中を丸めたじいさんばあさんが落語を聴きに集まる。
笑って過ごしたい老人たちなのさ。
百栄「やかん泥」
10分もあれば済むような噺なのに25分も割り当てられたとぼやき?ながら泥棒ちなみのマクラを。
泥棒の親分が料理屋に入って100両強奪したはいいが、腹が減って鯉の洗いを食って料金を払えといわれ、いくらだと訊いたら100両、外に出た親分が子分に首尾を訊かれて「シっ、鯉(こえ)が高い」という小噺は俺が小学校のときに誕生会かでやった。
母が内職に使う毛糸織り機のことで上京したときに俺たち兄弟の食事と寝床を近所の小母さんに頼んでいったのだが、その家に落語全集があって、外に出ずにずっとそれを読んで覚えた小噺だった。
本題は軽妙、とくに間抜けな子分が楽しい。
フクヨカさんはこの噺ご存知かな。
権太楼「錦の袈裟」
高倉健のことを話すのかと思ったら「わたしたち噺家にとって一番カッコウ良かった男、男の中の男は志ん朝だった」と志ん朝のゴルフのエピソード、たぶん霞が関カントリーだと思うけれど、そこに志ん朝が初めて行ったとき90台半ば、彼にしては大叩き(あそこは落とし穴が多いのだ)、口惜しがって「権!もう一度来よう、セットしてくれ」という。
聞いていた金馬が、まだ時間が早いからもうハーフやろうよ。
いや、稽古がある、と志ん朝。
なんの稽古?
「明烏」、落語研究会でやる。
なあんだ、それだったら目をつぶっても出来るだろう、と金馬。
そのとき志ん朝、きっと振り返って
たしかに、カッコいいな。
悪仲間たちが隣町の若い衆に張り合って趣向を凝らして吉原に行こうとて、みんな揃って錦の褌をしていくことになる。
かつて俺は都市対抗野球で後楽園に出場が決まったチームの応援に関わったことがある。
貧乏な会社だったから予算がない、背伸びしてもロクなことができやしない、
だったら、いっそ応援団全員赤褌で応援したらどうか、目立つぞ~!と提案した。
一蹴されたなあ、シャレのわからん会社だった。
与太郎が仲間に入れてもらうについてはオカミサンの許可を得る。
和尚さんの袈裟を借りてこいと知恵を授ける。
袈裟輪のついたキンキラキンの袈裟の褌を締めた与太郎は花魁に一番もてて、朝もいつづけをせがまれる。
しっかり者のカミさんや花魁にもてる与太郎。
見かけによらない魅力・能力がありそうだ。
菊之丞「お見立て」
期せずして、か志ん朝のことをマクラにふって、これも吉原の噺。
花魁が杢兵衛大尽のこと「いやだよ、あんな田印」というのだ。
「田舎者」の意味らしい。
それにしても恋焦がれてやって来る杢兵衛に、死んだことにしてでも会いたくない、って与太郎とはずいぶん違うなあ。
器用だけれど粗雑な高座。
とくに杢兵衛の造型がつまらない。 (一昨年の九品仏、今頃雨に濡れているだろう)
小満ん「お神酒徳利」
粗忽にして忘れっぽい二番番頭のとんだ出世譚、おかみさん大明神とホントの稲荷大明神に助けられる。
こんなに忘れっぽくて粗忽でも番頭にまでなれたのは年功序列もあるが、これでなかなかちゃっかり機転の利く男でもあるのだ。
予定時間は40分だったが、5分以上オーバーは小満んらしくないのではなく主催者の時間配分のミス。
緩急をつけた語りに味わいがあり、途中でちらちらといぶし銀のようなクスグリを入れるのが魅力なのに、今夜は時間内に終わろうとして急いだ嫌いがあるのが残念。
個々の出演者は魅力的なのに、会が終わってみると、どこか印象が散漫。
権ちゃんの強烈な与太郎が突出して、それを中入り後に受ける器用な菊之丞も吉原の持てない男の噺という
組み合わせも問題がある。
居残り会は幸兵衛さんと我がフランチャイズ「はじめ」で。
昭和天皇が食べたかったという鰯の炊いたのとか栃尾の油揚げなど。
たまには寝坊もいいだろう、なあサンチ?、、散歩にいきたいか。
背中を丸めたじいさんばあさんが落語を聴きに集まる。
笑って過ごしたい老人たちなのさ。
百栄「やかん泥」
10分もあれば済むような噺なのに25分も割り当てられたとぼやき?ながら泥棒ちなみのマクラを。
泥棒の親分が料理屋に入って100両強奪したはいいが、腹が減って鯉の洗いを食って料金を払えといわれ、いくらだと訊いたら100両、外に出た親分が子分に首尾を訊かれて「シっ、鯉(こえ)が高い」という小噺は俺が小学校のときに誕生会かでやった。
母が内職に使う毛糸織り機のことで上京したときに俺たち兄弟の食事と寝床を近所の小母さんに頼んでいったのだが、その家に落語全集があって、外に出ずにずっとそれを読んで覚えた小噺だった。
本題は軽妙、とくに間抜けな子分が楽しい。
フクヨカさんはこの噺ご存知かな。
高倉健のことを話すのかと思ったら「わたしたち噺家にとって一番カッコウ良かった男、男の中の男は志ん朝だった」と志ん朝のゴルフのエピソード、たぶん霞が関カントリーだと思うけれど、そこに志ん朝が初めて行ったとき90台半ば、彼にしては大叩き(あそこは落とし穴が多いのだ)、口惜しがって「権!もう一度来よう、セットしてくれ」という。
聞いていた金馬が、まだ時間が早いからもうハーフやろうよ。
いや、稽古がある、と志ん朝。
なんの稽古?
「明烏」、落語研究会でやる。
なあんだ、それだったら目をつぶっても出来るだろう、と金馬。
そのとき志ん朝、きっと振り返って
兄さんのやる明烏とあたしのやる明烏とは質が違う!
たしかに、カッコいいな。
悪仲間たちが隣町の若い衆に張り合って趣向を凝らして吉原に行こうとて、みんな揃って錦の褌をしていくことになる。
かつて俺は都市対抗野球で後楽園に出場が決まったチームの応援に関わったことがある。
貧乏な会社だったから予算がない、背伸びしてもロクなことができやしない、
だったら、いっそ応援団全員赤褌で応援したらどうか、目立つぞ~!と提案した。
一蹴されたなあ、シャレのわからん会社だった。
与太郎が仲間に入れてもらうについてはオカミサンの許可を得る。
ねえ、ねえ、おじょろう買に行っていい?錦の褌を持っていないのは与太郎だけと聞いて「悔しいねえ」とカミさん、
和尚さんの袈裟を借りてこいと知恵を授ける。
袈裟輪のついたキンキラキンの袈裟の褌を締めた与太郎は花魁に一番もてて、朝もいつづけをせがまれる。
しっかり者のカミさんや花魁にもてる与太郎。
見かけによらない魅力・能力がありそうだ。
期せずして、か志ん朝のことをマクラにふって、これも吉原の噺。
花魁が杢兵衛大尽のこと「いやだよ、あんな田印」というのだ。
「田舎者」の意味らしい。
それにしても恋焦がれてやって来る杢兵衛に、死んだことにしてでも会いたくない、って与太郎とはずいぶん違うなあ。
器用だけれど粗雑な高座。
とくに杢兵衛の造型がつまらない。
小満ん「お神酒徳利」
粗忽にして忘れっぽい二番番頭のとんだ出世譚、おかみさん大明神とホントの稲荷大明神に助けられる。
こんなに忘れっぽくて粗忽でも番頭にまでなれたのは年功序列もあるが、これでなかなかちゃっかり機転の利く男でもあるのだ。
予定時間は40分だったが、5分以上オーバーは小満んらしくないのではなく主催者の時間配分のミス。
緩急をつけた語りに味わいがあり、途中でちらちらといぶし銀のようなクスグリを入れるのが魅力なのに、今夜は時間内に終わろうとして急いだ嫌いがあるのが残念。
個々の出演者は魅力的なのに、会が終わってみると、どこか印象が散漫。
権ちゃんの強烈な与太郎が突出して、それを中入り後に受ける器用な菊之丞も吉原の持てない男の噺という
組み合わせも問題がある。
居残り会は幸兵衛さんと我がフランチャイズ「はじめ」で。
昭和天皇が食べたかったという鰯の炊いたのとか栃尾の油揚げなど。
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Vimalakirti at 2014-11-26 17:21
老人たちは笑いを求めている ... 心にしみました。
与太郎がもてる話もあるのですね。錦のふんどし、
聞いたことがあるような気もするけれど...
与太郎がもてる話もあるのですね。錦のふんどし、
聞いたことがあるような気もするけれど...
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chaiyachaiya at 2014-11-26 21:44
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hanamomo06 at 2014-11-26 22:34
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福
at 2014-11-27 07:00
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saheizi-inokori at 2014-11-27 10:41
Vimalakirtiさん、おカミさんに許しを得て吉原に行く与太郎、幸せそうです。
おおらかな時代でした。
おおらかな時代でした。
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saheizi-inokori at 2014-11-27 10:42
chaiyachaiya さん、わっははのはのはのは、笑って過ごせば世の中は、、そんな歌がありました。
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saheizi-inokori at 2014-11-27 10:44
hanamomo06 さん、あの頃はラジオでよく落語を聴きました。
金馬、柳橋なんかを覚えています。
金馬、柳橋なんかを覚えています。
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saheizi-inokori at 2014-11-27 10:46
福さん、第一人者としての自負なんでしょうね。
ゴルフをやっていて仕事に戻らなかった森元首相とはだいぶ違います。
ゴルフをやっていて仕事に戻らなかった森元首相とはだいぶ違います。
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sheri-sheri at 2014-11-27 18:21
賛成です。笑いがあってこそ。とくに、子供も育ち気がつけばあれよというまに、もしか老境?世代なのかと。・・どことなく孤独の風も吹き始め、わが身が寂しい日も。そんな時お腹から笑わせてくれるなら行きますよね。どこへでも。私も近くなら必ず行きます。今日もお写真素晴らしいでございます。
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saheizi-inokori at 2014-11-27 23:13
sheri-sheri さん、落語があってよかったと思うことが多いです^^。
by saheizi-inokori
| 2014-11-26 12:40
| 落語・寄席
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