日本人は幸せ?ですね? 松島泰勝「琉球独立論 琉球民族のマニフェスト」

今日も快晴、洗濯日和、陽射しを一杯に浴びた洗濯物が揺れてるベランダ、気持ちがいい。
けさの東京新聞に入院している子どものための「院内学級」の先生のことが載っていた。
そのなかに
お家にいられれば幸せ
ごはんが食べられれば幸せ
空がきれいだと幸せ
みんなが幸せと思えないことも幸せに思えるから
ぼくのまわりには幸せがいっぱいあるんだよ
先天性の腸疾患で手術を繰り返し、亡くなった6年生の男児の詩。
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筆者は、1963年石垣市生まれ、早大卒、在グァム日本国総領事館、在パラオ日本国大使館調査員、東海大学海洋学部助教授を経て龍谷大学経済学部教授。
2013年「琉球民族独立総合研究会」の設立メンバーとして同学会共同代表。

琉球人は独自の歴史や文化をもつにもかかわらず日米の植民地支配を受けてきた民族である。
プラトンが
楽しみと苦しみが共にされて、できるかぎりすべての国民が得失に関して同じことを等しく喜び同じことを等しく悲しむような場合、この苦楽の共有は、国を結合させる。
逆に、そのような苦楽が個人的なものになって、国ないしは国民に起っている同じ状態に対して、ある人々はそれを非常に悲しみ、ある人々はそれを非常に喜ぶような場合、この苦楽の私有化は、国を分裂させる(『国家』藤沢令夫訳)
と言っている。
日本と琉球の関係においては、まさに日本による「苦楽の私有化」が行われ、琉球人からみると、日本人は琉球人と互いの幸せや苦しみを分かち合い、ともに困難に立ち向かおうとしているとは思えません。
琉球の歴史、とくに日本の武力によって無理やり併合され、戦争中は捨石とされ、戦後はアメリカの支配をうけ、今また日本による植民地的支配に屈している歴史・事実を具体的に記す。
そういう琉球が独立することの正当性・妥当性・現実性を国際法、政治哲学、地政学、国連委員会報告、他国事例、経済的なデータなどから論じる。

日本は琉球の独立を支援すべきであって、その結果日本自身が対米独立を果たす。
それこそが”現実的”な国際平和への道筋だ。
琉球人も「骨くされ・惰民」状態から眼をさまし(日本からの援助や基地経済は本土経済による収奪や弊害とは差し引きマイナスになっている)自らの尊厳を取り戻すべきで、そうするしか琉球のみじめな現状・将来から脱する道はない。
私たちの独立論のモチーフは実のところ極めてシンプルなものです。
すなわち、民族としての尊厳の回復、米軍基地をはじめとする現在の差別状況の解消、現前する戦争リスクの回避、そして「まったく新しい価値」の創造が、独立のモチーフとなっているのです。
武装自衛権と交戦権を完全放棄して、どのような大国にも安全保障を委託せず、全世界の国々に委託する、「主権国家」から「国際国家」へ。
「関係」を防衛力とする。
独立琉球は、琉球だけのために島々の所有、使用を宣言する近代国民国家の論理を押し出すのではなく、東アジア地域の共有・共同使用の場所(コモンズ)として、平和を創造する場所にすべきです。それにより琉球は近代国民国家の限界を超克し、戦争から身を遠ざけることができます。
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独立実現や新しい価値の国家論の現実性に疑問は多い。

だが、今沖縄の人々が、日本人と当たり前の幸せ・苦しみを共有できていないことは現実そのものだ。
「琉球とは我々そのものである」と考え行動する琉球人がいる限り、そして制度としての国家は滅亡しても民族が集い心を寄せる限り、抵抗運動の礎となる「琉球国」は確かに存在していると言えます。そして、そこから琉球独立への希望、さらに意志が生まれていくのです。
本土の日本人の多くにとっては「不都合な真実」かも知れない。
一読を薦めます。

バジリコ株式会社
Commented by wawa38 at 2014-11-14 14:42
琉球は、明治になるまで中国と日本の両方に朝貢していたのですよね。明治になって廃藩置県のときに日本に併合されてしまった・・・と何かで読んだことがあります。
独立云々は今となっては、実現が難しそうですが、その歴史は、日本人なら知っておくべきだと思っています。

Commented by sora at 2014-11-14 15:11 x
本のご紹介と、示唆多き解説をありがとうございます!

すてきな写真。このお花の名前は何でしょう 
同じデザインの銀のイヤリングを持っていてハッとしました 
Commented by unburro at 2014-11-14 17:50
スペインの、カタルーニャ独立も色々大変そうです。
カタルーニャは、お金持ちだから、独立の可能性がありますが。
同じ様に、独自の文化、言語を持ち、中央政府から迫害された歴史を持つ
ガリシアやバスクは、お金が無い(経済的に自立出来ない)から、
独立は、考えられないのだ、と聞いたことがあります。
先日のスコットランドも、大変でしたね。

もし、もしも、国際国家として琉球が独立したら、是非、琉球国民になりたいです。
Commented by sweetmitsuki at 2014-11-14 21:02
スコットランド独立の時入院していまして、することがないのでTVばかり見ていました。
地域や民族や歴史については肯けるものがありましたけれど、結局のところ1960年代に発見された北海油田の存在が焦点で、欧州最大の埋蔵量とされる石油・ガス資源を支配下に置くことで、独立すれば1人当たりの所得が年1000ポンド(約17万円)増えるとの主張にはすっかり興ざめしてしまい、否決が決まった時には入院患者全員でほっと胸をなでおろしたものです。
沖縄独立論の裏には、決して海底油田の利権が関係してるわけではないと信じたいです。
Commented by koro49 at 2014-11-14 21:25
プラトンの言葉に頷いています。

下の黄色の花、菊の種類だと思うのですが、義母の庭にあったけど、今は無くなってしまって残念。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-14 21:42
wawa38 さん、その歴史とともに今も植民地状態であり、その上に本土の我々があぐらをかいていることも意識していなくてはならないと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-14 21:45
sora さん、散歩の旅にいろんな花を見つけます。
ブログを始めた頃は調べたりお尋ねしたりして名前を覚えようと思ったのですが、、。
今は撮るだけです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-14 21:50
unburroさん、だから決して無茶苦茶な噺ではないですよね。
私は隠居したら沖縄に住もうかと考えたこともあります。
寄席とか映画館とか本屋とか、要するにさびしがり屋なんだと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-14 21:59
sweetmitsukiさん、スコットランドのような恵まれた独立論とは次元が違うような気がします。
日本人の夜郎自大的な植民地支配に我慢ができないのではないでしょうか。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-14 22:17
頃子さん、沖縄だけではなくて青森などの地方とも苦楽を共にしない時代ですね。
分裂の危機です、精神的な。
Commented by at 2014-11-15 00:13 x
歪められた真実しか知らん子供、大人。
安易に入る情報は想像力も無くなってまう。
仕舞いに真実って何よ?
Commented by fukuyoka at 2014-11-15 00:43
6年生の男の子の詩に心うたれます。近頃はなんでも
幸せに感じるのは歳なのかなと思うのです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-15 09:37
蛸さん、沖縄の人たちが国の支援や基地の存在にすがって生きているというのが歪められた情報、実質的には本土の植民地だというのが真実だと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-15 09:38
fukuyoka さん、かつては当たり前のことと思っていたことがいつまでも続かないということが感じられると今あることがとてもありがたいと思うようになりました。
Commented by cocomerita at 2014-11-15 17:55
Ciao saheizi さん
お久しぶりです
全く同感です
読んでみたいけど いちいちうなずきながら骨腐り惰眠をむさぼる惰日本国民の情のなさ、身勝手さに腹立てるだろうなあ、
Commented by saheizi-inokori at 2014-11-15 20:28
cocomerita さん、自分に腹をたてていました。
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by saheizi-inokori | 2014-11-14 11:56 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori