哀愁の男・喜多八、「野ざらし」「にらみ返し」「妾馬」爆笑三連発@博品館劇場
2014年 11月 13日
なんだか久しぶりに好い天気。
夕べ落語のあと、自重して晩飯すら食わずに早寝したから風邪っ気が抜けて爽快だ。
散歩、洗濯、シーツのとっかえ、部屋の掃除、食事、、一気呵成に3時間半、さらに爽快也。
「喜多八膝栗毛 秋之月」@銀座博品館も久しぶり。
年賀状売り場をみるとイヤ~ナ気分になるねえ。
酔歌「銀座のなまはげ」
人形町の会社で総務部人事課に勤務した経験があるという。
落語だと思うから腹が立つのであって、会社のQCサークル(小集団活動)の発表会でOLが頑張っていると思えば楽しいのだ。
喜多八「野ざらし」
行きつけの店がなくなって、規則正しい不摂生ができなくなって、どうかすると素面で徘徊してる、ってそりゃ師匠身体によくないなあ。
もてなさが煮詰まっちゃって脂ぎった男が、隣の浪人が釣り上げたコツ(骨)の幽霊にもてた噺を聴いて、自分も年増でも釣り上げようと勇んででかける。
周囲の釣り人の迷惑を顧みず、ではなくてわざと迷惑をかけて騒ぎまくるのが乱暴で面白し。
(銀座で飲み歩いたこともあるんだぜ、この俺も)
喜多八「にらみ返し」
早い早い、もう大晦日の噺。
前段、掛取りに来た薪屋の「カネを貰うまでは動かない」というセリフを逆手に取って熊五郎が「こっちも江戸っ子、払うまでは一歩たりとも動かさねえ。早くて半年、炊き出しもしねえからずっとそうやって待ってろ」とマキざっぽを手にスゴム。
たまりかねた薪屋が「わかった、貰ったつもりで買える」、「え、もらった?払ったかなあ」
じゃあ、帰るといえば「受け取りをおいてけ」懐から出して投げつけると「ハンコをつけ」ぶつぶつ言いながらいくつもいくつも判をつく薪屋、さいごに「釣銭もらってねえぞ」だと。
不条理だなあ、我慢しろよ、その内いいこともあるさ。
後段、「借金の言い訳屋」が登場、さらにさらに爆笑。
借金取りを睨んで追い返す。
まったく無言で上目づかいの白目、薄気味悪い。
虚勢を張る田舎侍をやらせたら喜多八くらい笑わせる人はいない。
小三治の睨み返し(とくに↑の25分くらいから)も傑作だ。
小さん(22分)は悠々として力があるなあ。
でも俺は喜多八の睨み返しがいちばんおもしろいのだ。
パンフレットに本田久作が、「にらみ返し」は仕草(表情)で見せる落語だと言われているが、じつは見えなくとも見える何かがあるのが落語、文章で言えば「行間」のようなものこそ落語の味だと書いている。
同感、音だけ聴いていても上の三人は面白い。
しかし、表情が見えるとなったら、それはもう格段に面白さが際立つのも事実だ。
マジック・ジェミー・奇術
ビートの利いたBGM、サングラス、赤く染めた毛髪、ラメ入りのシルバーのスカートに黒のジャケット、かっこよく英語で登場。
客席から選んだ若者を壇上でいびるのが愉快。
若者もイイ感じでまるで仕込んでいたかのようだ。
喜多八「妾馬」
黒い羽織に金色の袴に着換えて登場。
おつるが大名に見初められたところからやる。
八五郎が屋敷に上がって「お」と「奉る」をつけてしゃべるところ、昨日書いた「ら抜きの殺意」を思い出して一段と面白かった。
喜多八のやり方は、ホントにしっちゃかめっちゃか、「喋ってる自分でもわからねえ」ようなシャベリだった。
酒に酔って都々逸をやるあたりもいかにも喜多八。
初孫をみられないとおふくろが嘆いているというお涙頂戴はあっさり。
笑いの多い噺ばかり三席。
男っぽくて、知性も感じさせて、粋で、茶目っ気があって、哀愁も漂わせ、やっぱり喜多八殿下はいいなあ。
夕べ落語のあと、自重して晩飯すら食わずに早寝したから風邪っ気が抜けて爽快だ。
散歩、洗濯、シーツのとっかえ、部屋の掃除、食事、、一気呵成に3時間半、さらに爽快也。
年賀状売り場をみるとイヤ~ナ気分になるねえ。
人形町の会社で総務部人事課に勤務した経験があるという。
落語だと思うから腹が立つのであって、会社のQCサークル(小集団活動)の発表会でOLが頑張っていると思えば楽しいのだ。
喜多八「野ざらし」
行きつけの店がなくなって、規則正しい不摂生ができなくなって、どうかすると素面で徘徊してる、ってそりゃ師匠身体によくないなあ。
もてなさが煮詰まっちゃって脂ぎった男が、隣の浪人が釣り上げたコツ(骨)の幽霊にもてた噺を聴いて、自分も年増でも釣り上げようと勇んででかける。
俺はお化けだって幽霊だってかまやしねえ、生きてたって怖いのはいくらもいるからねほんとほんと!
周囲の釣り人の迷惑を顧みず、ではなくてわざと迷惑をかけて騒ぎまくるのが乱暴で面白し。
喜多八「にらみ返し」
早い早い、もう大晦日の噺。
前段、掛取りに来た薪屋の「カネを貰うまでは動かない」というセリフを逆手に取って熊五郎が「こっちも江戸っ子、払うまでは一歩たりとも動かさねえ。早くて半年、炊き出しもしねえからずっとそうやって待ってろ」とマキざっぽを手にスゴム。
たまりかねた薪屋が「わかった、貰ったつもりで買える」、「え、もらった?払ったかなあ」
(薪屋)もらいましたよ。グヤジイだろうなあ薪屋、
(熊五郎)何を!?
(薪)勘定を!
(熊)いつ!
(薪)いま!
(熊)どこで?!
(薪)、、このあたりで(両手を動かす)
(熊)あ!そういえば、思いだした!たしかに払ったなあ。
じゃあ、帰るといえば「受け取りをおいてけ」懐から出して投げつけると「ハンコをつけ」ぶつぶつ言いながらいくつもいくつも判をつく薪屋、さいごに「釣銭もらってねえぞ」だと。
不条理だなあ、我慢しろよ、その内いいこともあるさ。
後段、「借金の言い訳屋」が登場、さらにさらに爆笑。
借金取りを睨んで追い返す。
まったく無言で上目づかいの白目、薄気味悪い。
虚勢を張る田舎侍をやらせたら喜多八くらい笑わせる人はいない。
小三治の睨み返し(とくに↑の25分くらいから)も傑作だ。
小さん(22分)は悠々として力があるなあ。
でも俺は喜多八の睨み返しがいちばんおもしろいのだ。
パンフレットに本田久作が、「にらみ返し」は仕草(表情)で見せる落語だと言われているが、じつは見えなくとも見える何かがあるのが落語、文章で言えば「行間」のようなものこそ落語の味だと書いている。
同感、音だけ聴いていても上の三人は面白い。
しかし、表情が見えるとなったら、それはもう格段に面白さが際立つのも事実だ。
マジック・ジェミー・奇術
ビートの利いたBGM、サングラス、赤く染めた毛髪、ラメ入りのシルバーのスカートに黒のジャケット、かっこよく英語で登場。
客席から選んだ若者を壇上でいびるのが愉快。
若者もイイ感じでまるで仕込んでいたかのようだ。
喜多八「妾馬」
黒い羽織に金色の袴に着換えて登場。
おつるが大名に見初められたところからやる。
八五郎が屋敷に上がって「お」と「奉る」をつけてしゃべるところ、昨日書いた「ら抜きの殺意」を思い出して一段と面白かった。
喜多八のやり方は、ホントにしっちゃかめっちゃか、「喋ってる自分でもわからねえ」ようなシャベリだった。
酒に酔って都々逸をやるあたりもいかにも喜多八。
初孫をみられないとおふくろが嘆いているというお涙頂戴はあっさり。
笑いの多い噺ばかり三席。
男っぽくて、知性も感じさせて、粋で、茶目っ気があって、哀愁も漂わせ、やっぱり喜多八殿下はいいなあ。
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喜洛庵上々
at 2014-11-13 13:40
x
あぁ、もう『睨み返し』の時期なんですねぇ。
私、気忙しいところをわざとのんびり構えてみたりもするのですが、結局「棒に振り回されて」あれこれ頑張っちゃうんです、毎年。
私、気忙しいところをわざとのんびり構えてみたりもするのですが、結局「棒に振り回されて」あれこれ頑張っちゃうんです、毎年。
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jarippe at 2014-11-13 13:43
ちょっと寒くなってきましたが 空が青いからいいです
きちんと身の回りのことなさるんですね
怠けてばかりの私 困った者です
今やらなくちゃ寒くなるばかりなのにね
小三治さん 小さんさんなつかしいです
寄席の席に腰を落ち着けないと
落語に集中できないこの頃です
きちんと身の回りのことなさるんですね
怠けてばかりの私 困った者です
今やらなくちゃ寒くなるばかりなのにね
小三治さん 小さんさんなつかしいです
寄席の席に腰を落ち着けないと
落語に集中できないこの頃です
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saheizi-inokori at 2014-11-13 16:05
喜洛庵上々さん、芯棒がしっかりしてるから大丈夫でしょう^^。
私は辛抱ができなくなることが多くなりました。
私は辛抱ができなくなることが多くなりました。
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saheizi-inokori at 2014-11-13 16:06
jarippe さん、私もテレビやラジオの落語は苦手、テープを聴きます。
動画は参考資料^^。
動画は参考資料^^。
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otebox at 2014-11-13 22:56
saheiziさま、小気味よい発信を楽しませていただき、爪の垢でもと思わないではいられません。…が、違いすぎる世界で…とうてい無理なことは分かっております。なのにこうして一筆というのは何ぞ琴線に触れた証であります。
江戸前にも落語にもまったく通じてはいないので「はあーん、そんな世界もあるんか」くらいの余所者ですが小三治は別。若かった時から気になる噺家でした。私めも、昔っからバイクフリークやっとります。
かといって、上方も知ってる訳じゃない。昔、枝雀が爆笑王なんて騒がれてたときも、その手法が「痛々しい」と思えてしまって観るに堪えなかったものですから。「粋」じゃなかったですわ。
江戸前にも落語にもまったく通じてはいないので「はあーん、そんな世界もあるんか」くらいの余所者ですが小三治は別。若かった時から気になる噺家でした。私めも、昔っからバイクフリークやっとります。
かといって、上方も知ってる訳じゃない。昔、枝雀が爆笑王なんて騒がれてたときも、その手法が「痛々しい」と思えてしまって観るに堪えなかったものですから。「粋」じゃなかったですわ。
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amore_spacey at 2014-11-14 02:29
11月に入ると日本では年賀状やおせち料理の文字が飛び交うように、こちらはクリスマス一色です。昔は何もそんなに慌てなくたって…と思ったものですが、最近はあっという間にクリスマス・お正月です。なので今年は1ヶ月も早くツリーを飾りました。これで12月の仕事が1つ減りました。
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saheizi-inokori at 2014-11-14 09:40
otebox さん、小三治のバイクの噺を読むとやってみたくなりますが、それこそ私には異次元です。
枝雀は自身がその感覚から逃げられなかったかもしれないですね。
枝雀は自身がその感覚から逃げられなかったかもしれないですね。
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saheizi-inokori at 2014-11-14 09:43
amore_spacey さん、年賀状も楽しんで書けばいいのですが、、顔を忘れた人にまで何百枚も我ながらあほかと思いながら犬の写真を撮ったりしてます。
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ikuohasegawa at 2014-11-14 10:55
そうかあ、年賀状のことを忘れていました。厄介だなあ。
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saheizi-inokori at 2014-11-14 11:58
ikuohasegawa さん、ね、やめちまおうかな。
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unburro at 2014-11-14 17:37
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saheizi-inokori at 2014-11-14 21:54
unburro さん、一度年賀状をやめたのですが、ある人から叱られて、、やめたらやめたなりに寂しいし、、。
どうしようかな。
どうしようかな。
by saheizi-inokori
| 2014-11-13 12:23
| 落語・寄席
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Comments(12)