丸いタマネギも切りよで四角 渡辺誠「昭和天皇のお食事」
2014年 11月 04日
「お皿に盛り付けるものは、すべて食べられるもの」が天皇家の掟、それを失念して筆者が葉っぱを広げないまま出したのだ。
天皇は葉脈だけ残してすべて平らげた由。
おそばに女官がいるのに、注意しないのは、「天皇家の人に直答(直接申し上げること)は許されていない」からだって。
サンマも焼いたら中の小骨まですっかり取り除いて元の形にして出す。
宮中の元日は行事が立て込んでいるから天皇と近しい皇族揃ってのランチはフレンチのワンプレートにしてさっさと食べる。
人数分の倍の皿を用意しておいて、たとえば「春小鯛」をお代わりというリクエストがあったら皿ごと新しいのを出す。
落語「目黒のサンマ」さながらだ。
昭和天皇や皇太子(今上)たちが思いやりが深くそばにいる人たちがみんなファンになっていく。
筆者の真っ直ぐな人柄も好感がもてる。
覗き見趣味も満たされて楽しい一冊だ。
とはいえ、天皇とは気の毒な暮らしだとつくづく思う。
筆者が仕えた秋山徳蔵シエフの完全主義は凄まじい。
ジャガイモを丸く剥いてそれを転がして真っ直ぐに転がらなかったら、その時剥いたすべてのジャガイモを廃棄した。
タマネギを一枚一枚剥がして、天地左右を切り落として四角くする。
それを一センチ幅に切っていく。
同じ大きさ・厚さにしなければ火の通り方も違うし食べたときの食感も違うからだと。
アホちゃうか!手間も食材もモッタイナイ、税金使ってるんだぜ!
そうまでして食べるものが作られ気を使われる生活、「たまには焼き鳥屋で一杯」てなわけにはいかない。
若かりし頃、先輩に「俺は現場のある仕事を選んで良かった。現場の人たちとそこらの居酒屋で焼き鳥なんどを食っておだを挙げる楽しさは霞が関官僚には分からんだろう」と言ったら、「いや彼らも焼き鳥屋に行くよ」なんてソッポな答えが返ってきてがっくりした。
焼き鳥を食やァいいって話じゃないんだが分からんシトには死ぬまで分からん機微だ。
筆者の思い出の中で、小学校の遠足に母がサンドイッチを作ってくれて、それをクラスメートが大騒ぎしたことが出てくる。
みんなお握りに玉子焼きかゆで卵だった。
俺の母もサンドイッチを作ってくれた。
それをもっていくのが鼻が高かったのだ。
田舎だったからサンドイッチ自体が珍しかった。
いまじゃ、すっかりお握り党だが。
クイズ。
宮中の「晴れ御膳」(新年に神様に捧げる儀式用の御膳)に「お湯の下」というのがある。
これなあんだ?
焦げ飯を少し作って、そこにお湯をさしてことこと炊いて、小さな銀鍋に入れて出すもの。
ものを大事にする意味合いがこめられているのではないか、と筆者。
文春文庫
彼の言葉を読むと 思わず可笑しくなっめ
憂鬱が吹き飛びます。
天皇陛下のお食事、作る方も召し上がる方も何だか大変そうです。庶民で良かった!
すべて九州の能古島の旅から帰ってから、檀一雄の事が話題になったのがきっかけでした。檀一雄のポルトガル、小さな漁村の写真集も見、ドラマでは「火宅の人を、思い出しました。
ご紹介ありがとうございます。
玉葱は四角に切りませんが、なるべく同じ大きさに。
炒め物のキャベツは同じ大きさの四角に切ります。
味が違う気がします。
端っこもちゃんと使いますけどね♪
そりゃそうだろうとは思うけど、私の毎朝の野菜スープはバシビシ切っちゃあ鍋に突っ込んでぐらぐら煮ちゃうんですから、それでうまいうまいと食っているんです(カミさんも)^^。
庶民でよかった^^
そのときは笑顔とお話が出番です。
「北海道料理は素材そのものを味わう」だから手はかけないということです。
道産子には茹でたてトウキビ、茹でたてジャガイモ、厚切りシャケの塩焼き、
そんなのが自慢で、京料理みたいに手をかけるのは亜流に思えたりする(^-^)。
天ちゃんご一家は決まりごとが多くてお気の毒。「ゆるくないっしょ〜!」
私も毎日有機野菜などを買い歩きますが、普通のスーパーの二倍から三倍近い値段に悲鳴を上げています。
自分だけだったらとうてい買えませんが病んでいる人がいるから買います、うまいですね。
うまそうだな。
野菜破産しそうです^^。