東京帝国大学出身者が道徳的勇気を欠いたことが敗戦の原因だった 辰野隆随想全集・5
2014年 10月 02日
サンチがクンクンやってると思ったら、、、おべんとつけてどこいくの?
買っちゃ読みまたは読まず、ほとんどは行く先々で人にあげてきた。
ただ漱石全集、鴎外全集、百閒全集など全集のいくつかは
退職後、お金がなくなり暇ができたときにじっくり読もうと思って取っておいた。
三木清全集とか津田左右吉全集とかはとうてい読みそうもないので処分した。
ところが新聞雑誌などの書評欄を見て読みたくなる本が出てきたり、読んだ本のつながりで図書館から借りることが多く、さらに俺の好みを熟知しているかのような友人がいろんな本を貸してくださるから、「お金がなくなり暇が出来ても」、全集に手が届かなかった。
でも予約した本の到着が滞り友人と会うチャンスが減って、、
とうとう長い長い待機命令をかけておいた全集に召集令状。
明治38年に一高に入り、帝大法科から文科をへて東大フランス語教授。
教え子には三好達治・渡辺一夫・飯島正・伊吹武彦・小林秀雄・今日出海・中島健蔵・井上究一郎・中村光夫・森有正・鈴木力衛ら、そうそうたるもの。
東京駅や日銀を設計した辰野金吾の長男。
谷崎潤一郎は中学以来の親友。
漱石、露伴、狩野亨吉、富井政章、、ぱらぱらめくっても歴史上の人物が続々登場する。
おおらかな人柄がおおらかな文章を生み、この間の小出楢重にもあったユーモアたっぷりのエッセイは今の人には書けないだろう。
エッセイではないがそんな先生がちょっと厳しくしゃべっている速記録が載っている。
「一杯きげんの昔話」の中の「東京帝国大学について」から、
当時の法科にいた一流の秀才たちは、法律なんかやらずにほんとうのヒューマニズムの学問、文学とか哲学、そういうものをやったら、もっと日本のために幸いだったと思うね。つまり法律を学ぶ前に、文学、史学、、哲学の如き基本的教養(LES・HUMANITES)があったらよかったと思う。ただ立身出世主義で、殊に帝大の法科でなければ出世の道がなかったということが、結局あとの日本に禍いしたんじゃないかね。現代の「東大」は帝大ほどの一流の頭脳を集めているかどうか、立身出世のパスポート足りうるかどうかは疑問ではあるが、やはり現代日本の混迷には東大ないしその他のいわゆる「エリート大学出身者」の作為・不作為による責任は大きいと思う。
今度の戦争に敗けた近い原因は、何と云っても陸軍の智慧の足りなさだよ。ほんとうの近因はね。その次は陸軍を馬鹿にしていた海軍の知識というものは知れたものだったということ、そうして最大の原因は、帝国大学のだらしなさだと思うな。つまり研究の材料あり、批評的精神があるくせに、それを堂々と言い得るエネルジー・モラール、道徳的勇気を欠いたことが、僕は最大の原因じゃないかと思うな。
エネルジー・モラール、道徳的勇気が欠けている。
それが原子力ムラの復活、知性を欠いた安倍政権の暴走を許しているのではないか。
私には難しそうなご本ばかりですが・・・saheizi さんには、いいご本友達がいらっしゃるようで…羨ましく思いました。
ありがたいことです。
匂いの記憶っていいものですね。金木犀の香りを思い出しました。
九州の川内原発の再稼働にしても、火山の噴火はまったく想定していないそうですから、このままでは何が起こるか本当にわかりません。
花の香は近くより離れたところの方が感じやすいように思います。
形式的に国民の負託を得ているのですから。
川内のことだっていちばん危険性を分かっていたり、再稼働の決定に関わっているのはエリート連中ですから、早い話が経産省で何人かが反乱を起こせばいいのです。一人ではだめですね。
安倍政権は全く逆の方向に大学を変えようとしていますが。
このコメントにはお返事無用ですよ。