ウナギのふしぎ 驚き!世界の鰻食文化 リチャード・シュヴァイド(日本経済新聞社)
2005年 07月 17日
今年の土用丑の日は何日だっけ?とインタネットで調べた。驚いたことに「土曜」と誤記が多い上に、日付も7月21日、26日、28日と諸説フンプン(28日が正当)。まことにつかみ所のないウナギだ。
陸地から2000キロ離れた海中に雌雄の別もない存在として生を受け、二度も体を変え、川を遡り、ときには陸や木の枝をも登り、土中に冬眠し、最後には又遠い海に産卵のために帰る。古代エジプトでは神とあがめられ、世界中で多様な料理法で美味を愛される。それほど人類になじみのあるウナギなのに、今でも謎ばかり。養殖だって孵化はできない。シラスから育てるのだ。4つある鼻は犬よりも嗅覚が鋭くわずかな海水の汚れでもかぎ分けることが最近わかって、水質汚染の研究に利用されてもいる。
ウナギの生態のふしぎ、鰻食や鰻漁の歴史と現状、薀蓄を傾け、関係者のインタビューを織り交ぜ、まことに面白い。清教徒たちが新大陸に来て、まさに飢えなんとしたときに先住民からウナギを食べることを教えられ、以後ずっとウナギ食いだったアメリカ人が今は食べない。その背景に水質汚染や現代人の食の乱れが垣間見える。サラッと書かれたウナギをめぐる歴史上のエピソードにも、支配される民の必死の知恵の物語もある。
訳者の梶山あゆみが、トテモ素敵なあとがきを書いている。
by saheizi-inokori
| 2005-07-17 22:57
| 今週の1冊、又は2・3冊
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