がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」

午前中は所用のあと日比谷・有楽町と歩く。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_11204834.jpg
日比谷公園で消防庁の音楽隊がリハーサル。
バラはほとんど終わった、代わりに青々と木々が繁っている。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_11212454.jpg
有楽町交通会館で郷土物産の店を冷やかしてお菓子などを仕入れて帰宅。
ブログと読書、夕方シャワーを浴びて半蔵門・国立劇場の「落語研究会」。
今日は先代小さんの弟子(およびその弟子)集合だ。

台所鬼〆「狸の鯉」
花緑の弟子。
変わった名前、実は先代小さんが気に入った名前で柳家一門の誰かに名乗らせたかったのだという。
狸の感じがよく出ていて楽しかった。
狸の化けた俎板の鯉、早く逃げろよとハラハラした。
帰宅して夜中に聴いた小さんのテープ、ははあ、大師匠のを勉強しているんだ。

喬之助「道灌」
柳家では噺家修行の最初に習う前座噺が『道灌』。

喬太郎が『落語こてんパン』という本で、
将来『道灌』でトリをとれるようになるのが夢である。、、(略)お客様達に充分な満足感を味わってもらって、その日の興行を終えるのが夢なのだ。ことさらなケレンなど無しに、である。
 ハハハッ、いやはやたぶん生涯、無理だ。しかし存外、『道灌』でトリを、、なんて考えている、そういう噺家は多いのである。
 もちろん、特に、柳家に。
と書いている。

トリではなかったが小三治の「道灌」に感心したことがある。
そうだ、横浜で聴いたこれも好かった。

さて、喬之助、うーむ、どうして面白くないのだろうか。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_1147351.jpg
(新潟の柿の種、煎餅がからっとして大豆もうまい)

市馬「笠碁」
このところ、よく聴くネタだ。
良くも悪くも市馬のあっさりしたおおらかな人柄が出た楽しい噺になった。

碁仇と喧嘩して碁が出来ずにイライラしていると、番頭が「お退屈でしょう?」と愛想をいう(この番頭と旦那の関係がいつも面白いのだ)。
見りゃわかるでしょう!ただ息してるだけなんだよ。
することがないってつらいねえ。
同じ隠居だけれど、することがいろいろある(家事も含めてだけど)俺はシヤヤセというべきか。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_1157146.jpg
(人の頭くらいな大きさのキャベツが350円、よほど買って帰ろうと思ったが重さも人の頭のように重いのであきらめた)

権太楼「短命」
「いい女だね、アレ。後家になると何とも言えないいい風情だ」
「ああ、俺もカミさんを後家にしたい」
よく聴くジョークを権ちゃん流に決めて本編に。

勘の悪い八がやっと短命のわけを覚って、手真似でいろいろやると、
手え、やめなさい!研究会なんだから品よくやりなさい。
隠居がおかしかった。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_125667.jpg
さん喬「頓馬の使者」
山田洋次が先代小さんのために書き下ろしたという作品。
マクラで小さんとお上さんの夫婦喧嘩の実相などを振ってネタに。

友だちに誘われて吉原に行ったのがバレて家を追い出された八五郎。
追い出した女房のお菊が流行病で死んでしまう。
それを八五郎に知らせに走る熊さんが、隠居から「いいか、遠回しに話をして八の心支度ができたら肝心の話をするんだぞ」といわれたもののいざとなると四苦八苦。
さいごにお菊の死を知った八五郎のセリフは?

サゲのセリフが途中から予想できてしまった。
落語というものはそんなことは当然、分かっていて噺の運びを楽しみ味わうものだ。
なのに、サゲが予想できたとたん、噺の命が失せてしまった。

決してさん喬が下手だったというわけではない。
これは原作が悪いのだ。
熊と八のやり取り、熊の四苦八苦がそもそも面白くないのだ。
サゲだけに頼っている噺、そのサゲが見えてしまったら、ただ長い噺になってしまう。

八五郎のお菊を想う気持ちの複雑さというものも聴いているこちらが勝手に想像するだけの噺、それほど深い味わいはない。
期待が大きすぎたかな。
がっかりした山田洋次作「頓馬の使者」 第551回「落語研究会」_e0016828_1235612.jpg
(これは一昨日、東京藝大で)

午前と午後、併せて19000歩。
Commented by 小言幸兵衛 at 2014-05-31 16:12 x
『頓馬の使者』は、たしかに難しいネタですね。
同じ山田洋次作品なら、『真二つ』にして欲しかったと思います。
来月の主任、あの人ですか・・・・・・。
京須氏、ネタ選びも人選びも、老害の影響が出てきたかな。
Commented by 豆ママ at 2014-05-31 17:13 x
「笠碁」に間に合ったら行くつもりでしたが・・・やっぱり、なカンジだったようで(笑)
藝大の毘沙門天&吉祥天、見てきました。ありがとうございます!
Commented by weloveai at 2014-05-31 19:57
>人の頭くらいな大きさのキャベツが350円
お買い得と感じましたか?
これに消費税、
数年前、上京したとき東京ミッドタウンで大根1本が580円で腰抜かしそうになりました。(笑)



Commented by saheizi-inokori at 2014-05-31 21:39
小言幸兵衛さん、さん喬があえてこっちを選んだとか、いや違ったかな、パンフレットを捨ててしまいました。
帰りの駅までの道でオジサン二人づれの一人が「京須が悪い、小三治も花緑も当代小さんもみんな失敗している噺だ、原作がどうにもならない」と文句を言ってました。
よほど、いっぱい付き合ってくれ、といおうかと。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-31 21:41
豆ママ さん、まあ、無理においでになることはなかったかな。
法隆寺から来た夫婦、よかったでしょ^^。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-31 21:43
weloveai さん、ホントに東京の物価は高いです。
産地まで行かないで食うのですからしょうがないかと思ってもなお。
以前群馬の田舎で大根をいくらでもタダでやるから持って行けと言われて一同狂喜したことがあります。
Commented by j-garden-hirasato at 2014-06-01 10:02
山田洋次が落語を書いているんですか。
自分は、
それなりに楽しんでじゃうんでしょうけど、
通の方は、さすがです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-06-01 10:28
j-garden-hirasato さん、作庭や建築物の良し悪しを鑑賞するときも楽しみながら、ではないでしょうか。
私も落語を楽しみながらもこっちが好きだこれは少し趣味じゃないなどと素人談義が楽しさを増すような気分です。
Commented by wawa38 at 2014-06-01 22:58
藝大に合わせて芸術的に育った? まさか。
Commented by at 2014-06-02 06:49 x
「道灌」
金馬(三代目)のをCDで聴いたら、「四天王」の例にいやに現代的なものが挙げられていて、笑ってしまいました。
Commented by saheizi-inokori at 2014-06-02 09:34
wawa38さん、まるでベートーベンのシンフォニーのようですね。
Commented by saheizi-inokori at 2014-06-02 09:40
福さん、それは誰だったのでしょうか。
小野小町の絵のくだりの代わりに四天王を出すのが金馬系統らしいですね(喬太郎本からの受け売り)。
今落語家で言うなら、小三治を別格にして、喜多八、雲助、一朝、新治、、ああ、とても4人では収まらない^^。
Commented by at 2014-06-04 06:37 x
金馬「道灌」では、隠居が武将の家来で強い四名の名を語るのに対し、
八つぁんが「競馬・競輪・酒・麻雀」と並べて「この頃の道楽の四天王」と混ぜかえす、という、いわば漫才的な展開を聴かせます。

私には「納豆・空豆・枝豆・隠元豆」が豆の四天王です。
Commented by saheizi-inokori at 2014-06-04 07:17
福さん、なるほど、物できたのですか。
ストレッチ、読書、散歩、ブログ、これが私の毎日してんのう^^.
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2014-05-31 12:36 | 落語・寄席 | Trackback | Comments(14)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori