遅れてきた青年の友情はねじれている 三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」

好い天気でしたね。
昨日ちょっと触れたおつまみで読んだ本。
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映画でも小説でも評判になった「舟を編む」(映画の記事はこちら)の三浦しをんが直木賞をとった作品だ。

まほろ市、東京都でありながら神奈川県に突き出してバスは横中バス(神奈中?)が走っている。
国境の町なのだ。
そこで育って、まほろ高校を卒業した中年同級生が偶然出会う。

ひとりは多田便利軒なる便利屋稼業、もうひとりは行くところも仕事もない変人(気をつけていないと”向こう側に行ってしまう”、暴力の世界に)。
フウテン、名前は行天は便利屋・多田の事務所兼自宅に転がり込む。
二人ともワケアリの独身。

持ち込まれる依頼は普通の仕事のようで、実は裏があって、二人は巻き込まれてしまう。
チャンドラーってほどでもないが暴力もあるし、ヤクザさんも、殺されはしないが可愛い女も出てくる。
ちょっと変わった遅れてきた友情物語。
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ワケアリ人生は修復・再生可能なのだろうか。
「やり直せることなんかほとんどない」、けれど
まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、お前は新しくだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されている。
ともいうし、
愛情というものは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうことをいうのだ
ともいう。
マーロウ君はどう思うかな。
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ちょっと前に、生まれてすぐに取り違えられたまま大きくなった二人がそのことを知るという事件があった。
今目の前にある育ての親の愛か、血のつながりか、そんなテーマも登場する(連作短編なのだが)。
「MONKEY」の巻頭短編、ブライアン・エヴェンソン「ザ・パニッシュ」のテーマ、子供の頃に怪我させられた事件に大人になって再会した男たちがどう対処するか、というシチュエイションもある。
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人生はドラマじゃ、同じような事件があってもそれに対処する仕方がヒトミナ異なるドラマじゃ。

文春文庫
Commented by ginsuisen at 2014-05-03 20:54
これ、おもしろかったです。私も読みました。三浦しをんさん・・ずっと女性ではないと思っていたのですが・・もう一つの「きみはポラリス」もよかったです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-03 21:17
ginsuisen さん、私も男だと思っていましたよ。
後から考えると、あそうか、という感じもしないでもないですが。
Commented by みい at 2014-05-03 21:27 x
これって映画化されてましたね。観てないけれど。
「舟を編む」は、映画観ました。

カタツムリ、最近見てないなあ~

今夜のお月さま、わたしも見ました~
三日月ですね^^。
Commented by ginsuisen at 2014-05-03 21:33
これのTVドラマがなんともいい加減でよかったです。松田龍平と瑛太。絶妙でした。逆歩きのオープニングとか。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-03 22:18
みいさん、いかにも映画の脚本みたいな感じもしました。
分かりやすいのです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-03 22:19
ginsuisen さん、どちらも知らない俳優ですが何となく想像できるような感じがします。
Commented by ginsuisen at 2014-05-03 22:35
松田龍平は松田優作の長男。瑛太は・・いいですよー、若手俳優として、なかなかです。
二人が、ほとんど、あの原作のまま、動きます、のたりくたりと。
Commented by ginsuisen at 2014-05-03 22:35
追記・船の主役が龍平です。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-03 22:42
ginsuisen さん、舟の主役、多田君とはちょっと違う感じだけど、そこが役者かな。
Commented by ikuohasegawa at 2014-05-04 10:04
多田便利軒。原作も読んだし、TVも再放送を録画して見てしまいました。 
三浦→舟・映画→松田龍平→TV多田便利軒と、行き着きました。とにかくTVの中で二人はタバコをショッチュウ吸います。初期のボッシュのように。
Commented at 2014-05-04 10:10
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-04 12:30
ikuohasegawa さん、読んでいて口の中がヤニ臭くなりました。
マルボロのハッカ入りってのがなあ。
私は一日百本、ピース、シンセイ、イコイ、、さいごはチェリーだった。
25年以上も前に止めたのに、こうして書いていると喫いたくなるから怖いです)。
削除、やってみます、ありがとう。
Commented by 豆ママ at 2014-05-04 15:04 x
舟を編むにも仏果を得ずにも昭和の犬にもたどり着いてないのに・・・
まほろ駅前シリーズも面白そうですね。
Commented by calligraphy_m at 2014-05-06 18:05
多田便利件は間違えて(読んでないと思って)実は3回も買ってしまったという文庫本…(まほろは映画の新作が秋に公開になるようなで、今から楽しみです。)
MONKEYは買ったけれども積ん読になってます。
木内昇の笑い三年…も茗荷谷の猫もいいですねぇ。しっとりと心に残ります。
さへいじさんと本の傾向がリンクして嬉しくなって
久しぶりにコメントいれましたぁ。

肉フェスは今夜までか...。
まだ並んでるのかなぁ。
行きたいような、どうでもいいような。笑。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-06 21:58
豆ママ さん、楽しく読めますよ。
うまいんです、この人。
Commented by saheizi-inokori at 2014-05-06 22:01
calligraphy_mさん、積読もリンクしてます^^。
これけっこう読みでがありますよ。
肉、私は並んでまで食う気、いや立ち食いする気もありませんよ。
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by saheizi-inokori | 2014-05-03 10:12 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(16)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori