西行が身近になった 井上靖「西行 山家集」
2014年 04月 23日
夜中に目が覚めて落語をきいても寝つけない。
そういう時はラジオやパソコンとかでなく本を読んだ方がいい、とどこかで読んだ。
読みさしにしていた文庫本を読み始めたら面白くてとうとう読了、そろそろ五時、新聞配達の音がした。
私生活はベールに包まれて、23歳で出家した理由、家族、生涯の隠遁生活や旅の詳細、交友、、いずれもはっきりしていない西行は作家たちの創作意欲をかきたてるだろう。
辻邦生「西行花伝」も面白かった。
西行の遺した「山家集」の中からそれを作ったときのことがはっきりしている歌八十余首を選び西行の置かれた状況を解説し歌の現代語訳にそえて西行の心事を忖度する。
保元平治の乱、鹿ケ谷の変、義仲挙兵、頼朝の登場、平氏の滅亡、、歴史の大波が次から次へと押し寄せ都は往生要集に描かれた地獄絵さながらだったという。
本の最後に
これからの人生に、本書を離れて「ただ歌の心を貰う」楽しみがあるというわけだ。
とりあえず、心を貰った歌。
俺は葬儀に限らずふとしたときに故人の面影や言動がぽかっと心に浮かんでくることがある。
そういう時に、「あっ そうだったんだ!」と故人がいかに俺のことを思いやってくれたかを、”発見”するのだ。
契というか深い縁があったことに気がつくのだが、手遅れなのだ。
じつは眠れなくなったのはそんなことを思い出したからだった。
それで読んだ本にこんな歌があったのだ。
これぞシンクロニシティ!
もう一首
ほんとに愚かな心の引くに任せての人生だったのう。
亡妻の卒論は西行だった。
大学生がこんな歌をどう感じたのだろう。
表装した論文がどこかにあるはずだが。
学研M文庫
そういう時はラジオやパソコンとかでなく本を読んだ方がいい、とどこかで読んだ。
読みさしにしていた文庫本を読み始めたら面白くてとうとう読了、そろそろ五時、新聞配達の音がした。
辻邦生「西行花伝」も面白かった。
西行の遺した「山家集」の中からそれを作ったときのことがはっきりしている歌八十余首を選び西行の置かれた状況を解説し歌の現代語訳にそえて西行の心事を忖度する。
西行は花鳥風月の歌人ではない。こうした何を信じていいか判らぬ時代にも、なお変わらぬものがあるかも知れない。もしあるなら、自然であれ、人情であれ、それを見届けたいと思ったことであろう。反対にないならないで、またそれを見届けたいと思ったに違いない。もしそうでなかったら、西行は西行でないのである。それにしても西行の生きた1118年から1190年の日本とは!
保元平治の乱、鹿ケ谷の変、義仲挙兵、頼朝の登場、平氏の滅亡、、歴史の大波が次から次へと押し寄せ都は往生要集に描かれた地獄絵さながらだったという。
西行は訳すべき歌人ではなく、ただ歌の心だけを、こちらに貰ってしまう、そうした歌人であるようである。と書いてある。
これからの人生に、本書を離れて「ただ歌の心を貰う」楽しみがあるというわけだ。
とりあえず、心を貰った歌。
今宵こそおもひ知らるれあさからぬ鳥羽法皇が亡くなったときに、その葬送に侍ったときの感慨。
君に契のある身なりけり
俺は葬儀に限らずふとしたときに故人の面影や言動がぽかっと心に浮かんでくることがある。
そういう時に、「あっ そうだったんだ!」と故人がいかに俺のことを思いやってくれたかを、”発見”するのだ。
契というか深い縁があったことに気がつくのだが、手遅れなのだ。
じつは眠れなくなったのはそんなことを思い出したからだった。
それで読んだ本にこんな歌があったのだ。
これぞシンクロニシティ!
おろかなる心のひくにまかせてもなんの備えもできていない。
さてさはいかにつひのおもひは
ほんとに愚かな心の引くに任せての人生だったのう。
亡妻の卒論は西行だった。
大学生がこんな歌をどう感じたのだろう。
表装した論文がどこかにあるはずだが。
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mother-of-pearl at 2014-04-23 13:33
さすが、のシンクロニシティですね。
久しぶりに本気で読みたくなりました。
西行は、西田幾太郎の『善の研究』の序文で出会いました。
不思議な出会いでした。
身分・家族を捨てた彼の生き方を
今この年齢で知るのも面白い気がします。
いつも素晴らしい本のご紹介、有り難うございます。
久しぶりに本気で読みたくなりました。
西行は、西田幾太郎の『善の研究』の序文で出会いました。
不思議な出会いでした。
身分・家族を捨てた彼の生き方を
今この年齢で知るのも面白い気がします。
いつも素晴らしい本のご紹介、有り難うございます。
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mother-of-pearl at 2014-04-23 13:38
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saheizi-inokori at 2014-04-23 16:06
mother-of-pearl さん、西行に家族がいたのかどうかも定説はないそうですが(本書)よ。
幾多郎、しばらく眺めないとどこが違うのかわかりませんでした。
手書きだと自信がなければ辞書に当たるのでしょうが、パソコンは油断ができないですね。
幾多郎、しばらく眺めないとどこが違うのかわかりませんでした。
手書きだと自信がなければ辞書に当たるのでしょうが、パソコンは油断ができないですね。
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旭のキューです。
at 2014-04-23 18:52
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眠れない時は、本ですか!俺、酒飲んじゃたりして、しっかり二日酔いになったりして
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maru33340 at 2014-04-23 21:26
つい先日本屋を歩いていて、ふと気がつくと西行、良寛の本の前に立ってました。
まだ読んでいない本がたくさんあるので、買わずに帰りましたが、どこかで呼ばれているような気がします。
まだ読んでいない本がたくさんあるので、買わずに帰りましたが、どこかで呼ばれているような気がします。
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reikogogogo at 2014-04-23 21:54
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saheizi-inokori at 2014-04-23 23:08
旭のキューです。さん、私は酒を飲むとかえって目がさえちゃうことが多いです。
そうかといって眠くなるほど酔うと夜中に目が覚めます。
そうかといって眠くなるほど酔うと夜中に目が覚めます。
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saheizi-inokori at 2014-04-23 23:10
maru33340 さん、良寛が73才、西行が72才で亡くなりました。
たしかに呼ばれているような年になりました^^。
彼の西行にして地獄を恐れ死の覚悟ができていないというのはある意味では救いでもあります。
たしかに呼ばれているような年になりました^^。
彼の西行にして地獄を恐れ死の覚悟ができていないというのはある意味では救いでもあります。
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saheizi-inokori at 2014-04-23 23:12
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ikuohasegawa at 2014-04-24 06:00
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福
at 2014-04-24 06:52
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saheizi-inokori at 2014-04-24 09:35
ikuohasegawa さん、私も若いころから起き出したり酒を飲んだりいろんなことをやったことがあります。
忙しくて睡眠時間が取れないときに限って眼が冴えて困ったものです。
起き出しても掃除をするわけにもいかないのでけっきょく本を読むことになります。
ベッドの中なら明け方にはうとうとできるのです。
忙しくて睡眠時間が取れないときに限って眼が冴えて困ったものです。
起き出しても掃除をするわけにもいかないのでけっきょく本を読むことになります。
ベッドの中なら明け方にはうとうとできるのです。
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saheizi-inokori at 2014-04-24 09:40
福さん、あの時代のことが日本人の血肉と化しているのかもしれないですね。
圓歌は圓生にならったのでしょうが、どちらも聴いた記憶がありません。
圓歌は圓生にならったのでしょうが、どちらも聴いた記憶がありません。
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ginsuisen
at 2014-04-24 10:26
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今、一番、知りたいのが、歌。西行、万葉集・・でも、ついていけない・・
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saheizi-inokori at 2014-04-24 12:22
ginsuisenさん、のんびり行きましょう。
お若いのだし。
お若いのだし。
by saheizi-inokori
| 2014-04-23 11:03
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
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