怖いね! 週刊金曜日「さらば、独裁者」&石川九楊「書のスタイル 文のスタイル」(2)

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すごい顔してるね。
この雑誌のことを書く前にちょっと回り道を。
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石川九楊は言う。
政治・宗教・思想を表現するのに適した漢字、四季や愛の細やかさを表現するひらがな、漢字(外来語)を翻訳するためのカタカナ、この三つの文体を持っている日本人はそのそれぞれのスタイルを活かしてものを考え、世界と話すことによって大きなチャンスを得られるはずだ(漢字習得の苦労を厭ってはならない)。

日本は明治維新後、西欧の文体も採り入れたが、なんといっても戦後の憲法の前文および第9条は第四の文体を言える画期的なものだ。
政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
ここに書かれた、「政府は戦争という過ちを犯す」「その誤りを克服するため、国民にこそ主権がある」という文体こそ東アジアにはなかった西欧語の文体の根底・核心である。
そしてこの文章は国連憲章よりずっと先を行く「未来の世界の文体」なのだ。
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(サザエさん通りにできたサザエさんカフエ「Lien de SAZAESAN」、シンプルな店内の壁にサザエさんの思い出の写真)

日本の最高の安全保障は日本国憲法の存在だ。
日本の最大の領土問題とは尖閣や北方領土よりも沖縄の基地問題であること。

篆書、隷書、草書、楷書、万葉仮名、ひらがな、、の歴史を実例を丁寧に示しつつ書体・文体の変遷こそ東アジア(日本)の歴史を動かしてきたことを解き明かしている。
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「週刊金曜日」4・18号では辺見庸が佐高信との対談(2)で
ぼくは非武装反戦でなにが悪いのだと思っているんです。丸腰論者です。自衛隊までは許されるとか、専守防衛ならいいとか、憲法に対する認識の曖昧さと、その論拠のなさが、戦後民主主義から個々の主体性を奪っていった。いくら少数派でもはっきりさせておきたい。ぼくは「9条死守」、パシフィズム(徹底的な非武装)という立場です。それを理念として持っている。なぜかというと、日本は敗戦したんです。
と語っている。
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さて「週刊金曜日」臨時増刊号「検証 暴走する安倍政権 さらば、独裁者」。
巻頭の「独善的な安倍政権が支持される理由 民主主義よりカネが大事な日本人」と題する論文で内田樹は
「国民国家の株式会社化」という政策方向が40代男性を中心とした国民層を惹きつけているのだろう。
株式会社と同じく、経済成長がそのまま唯一無二の国家目標に掲げられてあらゆる社会制度が「カネ儲けしやすい制度であるかどうか」を基準にして判断される。

社長(首相)の一言で「決められる経営=政治」がいい、彼らの身を置く株式会社のシステムがそうなのだ。
株式会社は平均寿命5年として経営方針を立てる、日本も5年先はどうでもいい、関係ないのだ。

最大の成功例はシンガポール。
すべての社会制度は「カネ儲けに役立つか」で設計される。
事実上の一党独裁、権力は世襲、集会・結社・言論の自由はなく労働運動や学生運動もない。
「上」に話を通せばたちまちトップの指令が現実化する。
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(サザエさん焼き、150円、白餡がサザエさん、波平さんは小倉、ちょっと老けてフデさんみたいだ)

石川は「ヒトが地球に存在する」という当今流行の文体を捨てて「人間が世界を生活(いき)る」という文化的なスタイルに立ち返ることが大事だという。
ホモ・サピエンス、グローバル、サバイバル、などという言葉を振り払って人と人の間=人間として生きること。
その意味でもSTAP細胞なんてものはほっときゃいいのだ。

中野晃一は「国民国家の空洞化を進める ネオリベ時代のエア・ナショナリスト」という論文(週刊金曜日・臨時増刊)で
はっきり言ってしまえば、安全保障が守るという対象が国民国家からグローバル企業に変わっている
と書くが俺もそう思う。
安倍を支える大企業にとっても、グローバル市場でビジネスを確保し、利益を上げるためには、ショバ代を日本としてアメリカに払う必要があり、私企業のために血を流したがる人はあまりいないだろうから、エア・ナショナリズムが必要不可欠になってくるのである。
そしてその空疎さを穴埋めするのが「歴史認識」の問題、
歴史修正主義に対する情熱のみで暴走してしまうのが安倍らポスト冷戦時代の特徴なのだ。
いやはや。
なんとかしないと!
Commented by m-rica at 2014-04-21 13:22
なんとかするには どうすればいいのか?
都知事選で ガックリ テレビをつければゲンナリ
政治家なぞ くだらん奴ばかり…
少数民族なのだな〜と実感するのです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 21:24
m-rica さん、あきらめずにものを言い続けるしかないですね。
少数派は生まれてからずっとそうですから。
Commented by reikogogogo at 2014-04-21 23:29
週刊金曜日に臨時増刊号というのが有るんですね。
暴走する安倍、本当に凄い顔に成ってます!!
Commented by j-garden-hirasato at 2014-04-22 08:06
戦前の様子はよく知りませんが、
何か似ているように思えます。
ただ、今は情報化社会なので、
同じ過ちは犯さないと
信じています。
Commented by unburro at 2014-04-22 10:22
内田樹という学者は、いわゆる左翼でもないし、
武道家でもあり、フェミニストとしょっちゅう喧嘩してるし、
ひょっとして右翼なのか、と思わせて、どちらでもなく、
真っ当な主張や、伝統的な日本の感性を、的確な言葉で書いてくれる人ですね。
辺見庸の「抜き身」の姿勢にも、激しく共感するのですが、日常を生きるには、内田樹の方が落ち着くかな・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-22 10:30
reikogogogo さん、ものに憑かれた物狂い?
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-22 10:33
j-garden-hirasato さん、その情報化社会が曲者かもしれません。
情報が統制されたり自粛されて伝わらなければ何も知らないうちにエライことになるのかもしれない。
集団的自衛権を認めたらいったいなにが憲法で禁じられるのでしょうか。侵略戦争?歴史上常に戦争は自衛を大義としてますし。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-22 10:39
unburro さん、今内田が売れまくっている(?)のもそういう点にあるのかもしれないですね。
たしかに説得力があります。
辺見のいうことも私が大学に入る頃までは多数派だったのになあ。
国の基本姿勢は50年やそこらでいい加減な政治家たちの了解とやらでなし崩し的に変えることは許されない、そういう点で辺見の原点に戻って考えることも有効だと思います。
Commented by jarippe at 2014-04-22 11:40 x
いやはや なんとかしないと!!
考えるだけで 恐ろしくて逃げ回っている私です
サザエさん焼き食べて落ち着きたいですー
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-22 12:12
jarippe さん、サザエさんを見て(新聞で)育ったころとは別世界になってしまいました。
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by saheizi-inokori | 2014-04-21 11:49 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(10)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori
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