小三治と扇橋のちょっといい話 「東京かわら版4月号」

柳家小三治が落語協会の会長を退任して市馬が後を襲うことが報じられた。
わが友サンチの名は顔が畏れ多くも小三治に似ている(と俺が思った)ところから、小三治とするのは憚られるし呼びにくい(「小三治!お手!」なんて想像できますか)ので、小三治、コサンチ、サンチと小三治三段活用の末、サンチとあいなった。
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小三治と縁のある人がその話を聞いて本人からサイン入りの本をいただいてきたことは以前書いた

志ん生を生で(末廣亭)見たし、人形町の末廣もなんどか行ったことがある。
それでも現役時代はふらっと寄席に行くのが年に一度か二度。
小三治の名は「ま・く・ら」の著者として知っていたが高座に接することもなかった。
隠居して先達に恵まれて、これは聴くべきだという噺家を教えてもらったりする中で小三治を初めて聞いたのだった。
2007年の末廣亭あたりがそうだったか、この日の記事を読むと夢中になっている。
以後、ずっと炎天下の行列もものかわ追っかけてきた(俺もまだ若かった)。

最近やや高座の生彩を欠くことがあって体調が悪いのかと心配していたが、大任から解放されて再びあの春風駘蕩の芸に接したいものだ。
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「東京かわら版」4月号に「特集 小三治と話そう」(表紙の見出しは「柳家小三治、語る」となっている)という記事が載っている。
「落語研究会 柳家小三治大全(下)」というDVDブックが発売になるのを記念して小三治を囲む合同記者茶話会が開かれたときの記録。

いろいろ面白いのだが、特に「ライバルはいない」と言いつつ、刺激を受けた存在として扇橋の名を挙げて
(年とってから)ときどき高座で、私の理想は扇橋ですと言ったことがあります。自分の世界を持っているということですかね。人の言うことに耳貸さねえもんな、あいつ。
と言っている。
俺も小三治が扇橋のことを心から好いているという気分で語るのを聞いたことがあるし、逆に扇橋の独演会で扇橋が「私の噺より、今末廣で小三治がやっているのを聴きに行った方がいいです、私も行きたい」というのも聞いた。
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(今日の菓子は「お麩かりんとう ころかり」、オフに食うかりんとう)

今、扇橋が寝たきりで胃瘻をしている話になって、小三治はいったんは「そんなことしねえで殺してくれりゃいいのに」と思うが扇橋の弟子たちが「師匠がああいうふうに息をしているだけで私たちは違うんです」と言ったのを受け止める。
そして小三治はある実験をするのだ。
見舞いに行った時に、「返事ができないのは分かるが、もし俺の声が聞こえたら目をパチパチやって見せてくれ」と言った。
そうしたら二回やったという。
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二人は一緒に旅をすることが多かった。
あいつはどうにもしょうがないやつで、人が風呂場で洗っていると、後ろから来て私の頭へ袋を乗せたりするんですよ。
そしてガハハハなんて言って笑っていたそうだ。
で、そのことを思い出してね、ちょっと袋を握ってやろうかと思って、それで前をまくって、手を突っ込んで、袋を持ったんですよ。そのうちあいつね、ぽーっと赤くなったんですよ。面白いでしょこの話。すごくうれしかったですね。
弟子の扇遊に「喜ぶからお前もやってみろ」と言ったけれどやった形跡はないようだ。

好い話だ。
Commented by maru33340 at 2014-04-20 12:41
そうでしたか、知りませんでした(^^;
そう言えばば、以前末廣で小三治がトリで出たときに、前に上がった扇橋の話の題が「小三治を頼む」となっていた、私に言わせれば「扇橋を頼むだ」とぼやくように話していたのを思い出しました。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-20 15:26
maru33340 さん、その時私もいました。
ご一緒だったのかなあ。
Commented by c-khan7 at 2014-04-20 17:59
扇橋師匠、ご病気とはしりませんせんでした。
タコの唄は、もう、聞けませんか!!
数年前小三治、扇橋二人会に行きました。
マクラの端々に二人の友情を感じました。
Commented by 小言幸兵衛 at 2014-04-20 19:00 x
扇橋の状況、「東京かわら版」で、そこまで明らかにしたのですか・・・・・・。
協会の会長交代も、扇橋のことなども関係しているのかなぁ。
Commented by たま at 2014-04-20 19:20 x
今日、麩の味噌汁⇒「恐怖の味噌汁」・・・?
銀行が開くのは10時⇒「悪の十字架」・・・?なーんちゃってネ。
アメリカハナミズキにソメイヨシノの新緑が、小雨混じりの今日に似つかわしく・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-20 21:38
c-khan7 さん、あのとぼけた蛸の歌、も一度聞きたいですね。
あれは小三治も歌えません。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-20 21:39
小言幸兵衛さん、意識のどこかにあるかもしれないですね。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-20 21:41
たまさん、パソコン入力をすると思いがけない文章になります。
オフかりんとうはそうではないのですが。
花見好きがハナミズキを見ているなんてね。
Commented by reikogogogo at 2014-04-20 22:28
サンチの名前の由来、面白い!
オフに食べるかりんとう(笑)ーーー時折いたずらっ子みたいな
saheiziさんが見え、我家の様な落語を地で行く、笑いの絶えない、日々を送ってますね!
Commented by unburro at 2014-04-21 01:00
小三治・・・いいですね・・・。
私はかつて、「いしいしんじ」 から回って 「小三治」 に辿り着いた
遠回り組です。 
そして、数年前、「小三治」 から回って、この「梟通信~ホンの戯言」に辿り着いたという、三題噺のような次第であります。
Commented by j-garden-hirasato at 2014-04-21 06:18
ライバルであり、親友であり。
いい関係だなあ。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 09:23
reikogogogo さん、>笑いの絶えない
屁をひっておかしくもナシ、に近い一人笑いが多いのです。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 09:24
unburro さん、ほんとに^^!
なんかウレシイですよ。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 09:25
j-garden-hirasato さん、俳句は扇橋が師匠なんですね。
羨ましいような二人です。
Commented by tona at 2014-04-21 11:22 x
サンチという名前の由来がわかりました。面白いですね。
お麩かりんとう、美味しいですか?どんなあ味か想像してみるのですが・・。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 11:51
tonaさん、さくっと軽く、黒糖の甘味だけが残ります。
食べ過ぎ(糖分摂取)に注意です。
Commented by ikuohasegawa at 2014-04-21 14:36
落語から江國滋、そこから扇橋が宗匠の東京やなぎ会にいきつきました。東京やなぎ会も一人欠け二人欠け寂しいことになっています。宗匠には頑張って欲しいものですが
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-21 21:27
ikuohasegawa さん、まったく!
小沢昭一の最後に近い舞台もみました。
ぐるぐる話が回って締まりがないのが扇橋の私が最後に見た高座に似ているのが気になります。
Commented by at 2014-04-22 00:22 x
落語家って面白いことすんねんね、笑うわ!
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-22 13:19
蛸さん、いかにも噺家のシャレですね。
粋だと思うなあ。
Commented by 小言幸兵衛 at 2014-04-26 12:12 x
このかわら版は永久保存の価値ありますね。
ブログに書き、リンクさせていただきましたので、ご了解のほどを。
Commented by saheizi-inokori at 2014-04-26 12:28
小言幸兵衛 さん、どうぞどうぞ。
私も捨てないでとっておこうかな。
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by saheizi-inokori | 2014-04-20 12:10 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(22)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


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