雪の結晶の終わりを犬は気にもとめない 松家仁之「沈むフランシス」
2014年 02月 15日
よく降ったなあ。
ストレッチをして部屋の掃除をして、人参、カブ、セロリの葉っぱ、玉ねぎ、カリフラワー、ブロッコリ、生姜、トマト、エノキ、キャベツ、野菜スープの具を切っては鍋に放り込む。
そうしながら今日は山梨の法事に行かないことを昨日のうちに連絡しておいてよかったと思う。
どうせ道路も列車も乱れているから午前中の法要には間に合いっこないのだが、出席の返事のままだったら一晩中気になっただろう。
法事自体が中止になったかもしれないな。
甲府は記録的な積雪だというからブドウ畑の中のお墓へのお参りは無理かもしれない。
施主のTさんは、俺なんかよりずっと気がもめただろう。
相談しようと思う相手が仏様になっている、俺も経験がある寂しさ。
手当り次第に投げ込んだスープがつくづくうまい。
セロリの香り、昨夜の鍋の残りのエノキが鍋の時とは異なる食感と味わいで無理に食べてしまわなくて好かった。
「火山のふもとで」でその静謐な世界に魅せられ、編んだ短編集、「美しい子ども」にも満足した松家の小説がやっと図書館から届いた。
冒頭、ちょっとわかりにくいが、すぐに東京の一流会社を辞めて北海道の過疎地に非正規の郵便配達人として独り暮らしを選んだ30代半ばの女性の、開拓地の自然や暮らしぶりを描く透明な文章を読むと、ああ、これが松家の世界だとその先が楽しみになった。
そして謎の中年男との出合い。
世界の音を集めて聴く男、料理がうまくて、ちょっと村上春樹の初期の小説に登場したようなストイックな雰囲気の男。
彼はフランシスという名の水力発電機のお守りをしているのだ。
とまあ、この辺までは好かったのだが、、。
真ん中以降はいささか期待外れ。
とぎれることなく降る雪の結晶のような無常、流れていく者の儚いけれど確かな生の歓びを描いたデッサン集か。
次作に期待しよう。
新潮社
ストレッチをして部屋の掃除をして、人参、カブ、セロリの葉っぱ、玉ねぎ、カリフラワー、ブロッコリ、生姜、トマト、エノキ、キャベツ、野菜スープの具を切っては鍋に放り込む。
そうしながら今日は山梨の法事に行かないことを昨日のうちに連絡しておいてよかったと思う。
どうせ道路も列車も乱れているから午前中の法要には間に合いっこないのだが、出席の返事のままだったら一晩中気になっただろう。
法事自体が中止になったかもしれないな。
甲府は記録的な積雪だというからブドウ畑の中のお墓へのお参りは無理かもしれない。
施主のTさんは、俺なんかよりずっと気がもめただろう。
相談しようと思う相手が仏様になっている、俺も経験がある寂しさ。
セロリの香り、昨夜の鍋の残りのエノキが鍋の時とは異なる食感と味わいで無理に食べてしまわなくて好かった。
冒頭、ちょっとわかりにくいが、すぐに東京の一流会社を辞めて北海道の過疎地に非正規の郵便配達人として独り暮らしを選んだ30代半ばの女性の、開拓地の自然や暮らしぶりを描く透明な文章を読むと、ああ、これが松家の世界だとその先が楽しみになった。
そして謎の中年男との出合い。
世界の音を集めて聴く男、料理がうまくて、ちょっと村上春樹の初期の小説に登場したようなストイックな雰囲気の男。
彼はフランシスという名の水力発電機のお守りをしているのだ。
とまあ、この辺までは好かったのだが、、。
真ん中以降はいささか期待外れ。
とぎれることなく降る雪の結晶のような無常、流れていく者の儚いけれど確かな生の歓びを描いたデッサン集か。
次作に期待しよう。
新潮社
Commented
by
maru33340 at 2014-02-15 19:04
「沈むフランシス」は、確かに次回に期待という所でしたね。
0
Commented
by
chaiyachaiya at 2014-02-15 19:26
「沈むフランシス」、新聞だったかの書評で気になっていましたけれど、佐平次さんの上記の文章を読んで、そういうことか、と、何だか納得‼︎
ありがとうございます。
ありがとうございます。
Commented
by
sweetmitsuki at 2014-02-15 21:42
東京に積もる雪は美しいというより鬱陶しいだけなのですが、それでも大江光氏作曲の「雪」を思い浮かべると、ま、いいか。と感じてしまいます。
と、いうようなことをリア友に話したところ「mitsukiちゃんて、あんなの好きなの?趣味悪~い」って笑われてしまいました。
私は大江光氏の父親が誰であろうと境遇がどうであろうと知る前から彼の音楽が好きでした。
偽ベートーベンとか脱原発&護憲=山本太郎=バカという世論が蔓延ってる世の中なんですから、仕方ないんですけど。
でも、悔しいです(#`Д´)。
と、いうようなことをリア友に話したところ「mitsukiちゃんて、あんなの好きなの?趣味悪~い」って笑われてしまいました。
私は大江光氏の父親が誰であろうと境遇がどうであろうと知る前から彼の音楽が好きでした。
偽ベートーベンとか脱原発&護憲=山本太郎=バカという世論が蔓延ってる世の中なんですから、仕方ないんですけど。
でも、悔しいです(#`Д´)。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-15 22:11
maru33340 さん、ブログに書くにあたって終わりの方を読み直してみたらちょっと見直しましたが、やっぱり滑ったかという感じですね。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-15 22:13
chaiyachaiya さん、当方このところやや身辺に暗い影あり(太宰じゃないけれど)本の読み方も歪んでいるのかもしれません。
あまり信用しないでね^^。
あまり信用しないでね^^。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-15 22:15
sweetmitsuki さん、大江光のCDがあるはずなんですが「雪」は記憶がないです。
バカと言われようがアホといわれようが思うことを行いましょうよ。
アホとかキ印とかいうんだったらNHKに何匹もいるじゃないですか。
バカと言われようがアホといわれようが思うことを行いましょうよ。
アホとかキ印とかいうんだったらNHKに何匹もいるじゃないですか。
Commented
by
tona
at 2014-02-16 09:32
x
このスープ本当に美味しそうです。材料は足りないけれども今日早速作ってみます。
松家仁之にも挑戦してみなくては。
松家仁之にも挑戦してみなくては。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-16 09:53
Commented
by
蛸
at 2014-02-16 14:08
x
想像すら出来ない本達だが、書き留めておく。ありがとう
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-16 18:28
蛸さん、すぐれた小説です。
by saheizi-inokori
| 2014-02-15 13:01
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Trackback
|
Comments(10)