穴かしこ穴があったら穴どるべからず穴たは誰だ 小山田浩子「穴」
2014年 02月 12日
恒例の文藝春秋、芥川賞発表号。
去年上期の「abさんご」だったかは難解で途中で放り出したが他はたいてい読み通している。
今回の「穴」は書き出しがとても素直、すらすらと作中に入り込めた。
夫の転勤に伴い夫の実家の離れに引っ越すところから始まる。
主人公が非正規雇用、会社を辞めるといっても誰も引きとめもしないなかで非正規仲間の友人と昼休みの手洗い(正社員たちが帰社するまでの間使うのだ)で、非正規の辛さ・不公平な待遇などを語り合うのを読むと、おやまあ、珍しく社会派小説かと思ったりしていた。
が、それにしては主人公の様子が妙に脱力感がありこの世に未練がある風でもない。
死のうとか生き甲斐がないとか、そんなことでもなく、まっとうなようでどこか頼りなく実在感がない暮らし。
そうすると、彼女には見えてくるのだ。
犬でも狸でもない、名前のわからない動物、その動物が掘ったと思しき穴、いままで実在を知らされなかった義兄、義祖父の奇矯な振る舞い、そういえば姑だっておかしくないか。
なによりも存在感があるようでこの世の人とも思われない夫が不思議な存在なのだ。
そういうことに苛立つでもなく究めようという気持ちにもならず主人公がいる。
すらすらと頭に入ってくる(意味不明なことまで)文章。
ユーモアがある。
日本の古層、なんちゃって、大げさかな。
このひとの作品、もっと読んでみたい。
今回の「穴」は書き出しがとても素直、すらすらと作中に入り込めた。
夫の転勤に伴い夫の実家の離れに引っ越すところから始まる。
主人公が非正規雇用、会社を辞めるといっても誰も引きとめもしないなかで非正規仲間の友人と昼休みの手洗い(正社員たちが帰社するまでの間使うのだ)で、非正規の辛さ・不公平な待遇などを語り合うのを読むと、おやまあ、珍しく社会派小説かと思ったりしていた。
が、それにしては主人公の様子が妙に脱力感がありこの世に未練がある風でもない。
死のうとか生き甲斐がないとか、そんなことでもなく、まっとうなようでどこか頼りなく実在感がない暮らし。
犬でも狸でもない、名前のわからない動物、その動物が掘ったと思しき穴、いままで実在を知らされなかった義兄、義祖父の奇矯な振る舞い、そういえば姑だっておかしくないか。
なによりも存在感があるようでこの世の人とも思われない夫が不思議な存在なのだ。
そういうことに苛立つでもなく究めようという気持ちにもならず主人公がいる。
すらすらと頭に入ってくる(意味不明なことまで)文章。
ユーモアがある。
日本の古層、なんちゃって、大げさかな。
このひとの作品、もっと読んでみたい。
Commented
by
maru33340 at 2014-02-12 18:39
ちょっと気になってました、この小説。
日本の古層は丸山さんでしょうか?
日本の古層は丸山さんでしょうか?
0
Commented
by
chaiyachaiya at 2014-02-12 19:37
佐平次さんに、もっと他の作品も読んでみたいと思わせるとは、力のある書き手なのですね。いいなあ。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 00:18
maru33340 さん、丸山眞男、そんな御大層なものではないですよ。
なんか懐かしいものを感じたというほどの他愛のない感想です。
なんか懐かしいものを感じたというほどの他愛のない感想です。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 00:20
chaiyachaiya さん、村田喜代子も好き、同じような魅力を感じました。
Commented
by
keiko_52 at 2014-02-13 01:59
Commented
by
sweetmitsuki at 2014-02-13 04:54
Commented
by
福
at 2014-02-13 06:57
x
Commented
by
chaiyachaiya at 2014-02-13 10:39
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 11:02
keikoさん、脱力、執心しない、はかなげですらあります。
何を喜びとしているのだろうか?
何を喜びとしているのだろうか?
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 11:04
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 11:08
福さん、川上弘美、「センセイの鞄」が面白かったです。
ちょっと百閒風味がある作風かな。
ちょっと百閒風味がある作風かな。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 11:09
chaiyachaiya さん、物理的な穴もあれば心理的な穴、感覚的な穴、いろんな穴が出てきますね。
Commented
by
hanamomo06 at 2014-02-13 11:54
saheiziさんは「この本面白いよ~」とここの読者を納得させる方。
私も読みたい!
まかてさんの樋口一葉の師の話「恋歌」も興味深い。
本を書くたびに年金暮らしの両親がその新しい本をごっそり買って友人知人に送ってくれていたと感謝している話を新聞で読みました。
夫の実家の離れ・・・・・これだけでなんか読みたい気持ちになります。
私も読みたい!
まかてさんの樋口一葉の師の話「恋歌」も興味深い。
本を書くたびに年金暮らしの両親がその新しい本をごっそり買って友人知人に送ってくれていたと感謝している話を新聞で読みました。
夫の実家の離れ・・・・・これだけでなんか読みたい気持ちになります。
Commented
by
saheizi-inokori at 2014-02-13 12:35
hanamomo06 さん、ほんとにあるのかなあ、この離れ^^。
by saheizi-inokori
| 2014-02-12 13:54
| 今週の1冊、又は2・3冊
|
Trackback
|
Comments(14)