脱原発は脱システムだ 山形孝夫「黒い海の記憶 いま、死者の語りを聞くこと」
2014年 01月 30日
おととい落合監督の「戦士の休息」を紹介して、その夜昔の仲間たちと新年会、その席上で隣の男にこの本のことや子供のころの映画体験のことなどを語り合った。
その時本書を説明しながら落合が「チャップリンはナンバー1、オンリー1だ。1936年『モダンタイムス』は製作・脚本・主演・音楽(歌ってもいる)などすべてを自分でやるのもすごいけれど機械に使われて人間性を押しつぶされていく現代を予想していたという点が素晴らしい」と書いていることを紹介した。
話しながらなんか変だなと思ったのはブログ記事の中で落合のベスト10のことを書いた、そこにチャプリンのことを書いた記憶がない。
帰宅してチエックしたら、なんと空席をいれて9本しか挙げてない、きれいに抜け落ちている。
しかもわざわざ空席を設けたのは、将来チャプリンのように近未来予想を描いた好い映画が出てくるのを期待して、というのが理由だったのに。
会費を払わないまま帰ってしまう人、バッグを忘れていく人もいたり、「すでに私たちは悪魔と契約してしまったのだから原発は推進しなければならない」などとほざくやつもいたり、ちょっと嫌気がさしていたが、俺もこんなボケをしてる。
そろそろ、この会の存続も危ういな。
忘れないうちにという意味では前にちょっと触れた本書のことも書いておかないと。
元宮城学院女子大学学長の山形は3・11後の人々の悲しみに宗教がどのように向き合っていくかを探り、宗教の根源を考察している。
コプト教徒の信仰の本質には「悲しみ」がある、ということを引いてその悲しみは
それが仏教では「慈悲」、キリスト教では「悲愛(アガペー)」、泣く者と共に泣き、苦しむ者と共に苦しむ、ここにすべての宗教をつなぐ源流があるのではないか。
原発についての言及
フクシマだけではない。
第二次大戦の戦争犠牲者も然り。
古代に遡れば神に捧げられる、人間、動物。
キリストの十字架はすべての犠牲の終焉を意味したはずなのに、キリスト教がローマ帝国の国教となることにより民衆を”聖戦”に狩り出し教会と殉教者を神聖化していった。
フランス革命により政教分離が確立するがこんどは近代国家の出現によりナショナリズムが新たな犠牲を求める。
日本において天皇が「人間宣言」し、憲法9条ができることで国家から犠牲のシステムを追放したはずだった。
ところが「国民国家」は巨大資本主義と手を結び資源獲得競争に血眼になっていく。
その過程で、市場の透明性とか貨幣価値の画一性とか、、、近代国家の使用する大義名分のもとに犠牲のシステムは正当化され、延命し、ヴィールスのように生き続けてきた。
格差、脱落者、それを自己責任の名のもとに正当化してきた。
(今朝の東京新聞、同じく東京新聞がこんな記事も。NHK、脱原発論に難色 「都知事選中はやめて」(HOOPさんから))
その虚構を一挙に暴露したのが3・11、なのにまた再稼働、特定秘密保護法、集団的自衛権、、。
本書の第三部は、外典『マグダラのマリアによる福音書』を紹介してローマ国教となったパウロ書に発する現在の正統派キリスト教により異端とされてきた、”十字架のないキリスト教”のこと。
女性差別の一つの淵源がパウロ書にあること、現在の中東の混乱の背景に正統派キリスト教の身勝手に構築した犠牲のシステムが存在すること。
ホロコーストからイスラーモフォビアへの21世紀戦争と平和の宗教的構図など刺激的覚醒的論述が続く。
この本は図書館に返さなければならないが、別に自分で一冊買ってもう一度読まなければならない。
岩波書店
その時本書を説明しながら落合が「チャップリンはナンバー1、オンリー1だ。1936年『モダンタイムス』は製作・脚本・主演・音楽(歌ってもいる)などすべてを自分でやるのもすごいけれど機械に使われて人間性を押しつぶされていく現代を予想していたという点が素晴らしい」と書いていることを紹介した。
話しながらなんか変だなと思ったのはブログ記事の中で落合のベスト10のことを書いた、そこにチャプリンのことを書いた記憶がない。
帰宅してチエックしたら、なんと空席をいれて9本しか挙げてない、きれいに抜け落ちている。
しかもわざわざ空席を設けたのは、将来チャプリンのように近未来予想を描いた好い映画が出てくるのを期待して、というのが理由だったのに。
会費を払わないまま帰ってしまう人、バッグを忘れていく人もいたり、「すでに私たちは悪魔と契約してしまったのだから原発は推進しなければならない」などとほざくやつもいたり、ちょっと嫌気がさしていたが、俺もこんなボケをしてる。
そろそろ、この会の存続も危ういな。
元宮城学院女子大学学長の山形は3・11後の人々の悲しみに宗教がどのように向き合っていくかを探り、宗教の根源を考察している。
コプト教徒の信仰の本質には「悲しみ」がある、ということを引いてその悲しみは
(人が)この世を超えた聖なる者の手が、かつて自分の魂に触れたという記憶の「痕跡」を持っていて、それが”内なる光”の源泉となり悲しみの由来ともなっている「悲しみの知」は「癒しの知」に通じる。
それが仏教では「慈悲」、キリスト教では「悲愛(アガペー)」、泣く者と共に泣き、苦しむ者と共に苦しむ、ここにすべての宗教をつなぐ源流があるのではないか。
原発についての言及
私たちは、近代国民国家と資本主義が、国益という名のもとに、こうした犠牲のシステムと一つに手を結んでいることに敏感でなければならない。その中核に位置を占めるのが「原発安全神話」なのである。そうした神話の欺瞞を黒い海は暴露した。犠牲のシステムとは、ある人の利益が、別の人々の日常や尊厳などを犠牲にするシステム(高橋哲哉)のこと。
黒い海の記憶は、深く広く共有され、未来に向かって伝えられねばならない。なぜならそれは、東日本の被災地が近代日本の安全神話という呪縛から解放され、自然との共生、人と人との命の絆の原点に立ち戻り、日本に向かって、世界に向かって、立ち上がる新しい未来の始まりのしるしだからである。
フクシマだけではない。
第二次大戦の戦争犠牲者も然り。
古代に遡れば神に捧げられる、人間、動物。
キリストの十字架はすべての犠牲の終焉を意味したはずなのに、キリスト教がローマ帝国の国教となることにより民衆を”聖戦”に狩り出し教会と殉教者を神聖化していった。
フランス革命により政教分離が確立するがこんどは近代国家の出現によりナショナリズムが新たな犠牲を求める。
日本において天皇が「人間宣言」し、憲法9条ができることで国家から犠牲のシステムを追放したはずだった。
ところが「国民国家」は巨大資本主義と手を結び資源獲得競争に血眼になっていく。
その過程で、市場の透明性とか貨幣価値の画一性とか、、、近代国家の使用する大義名分のもとに犠牲のシステムは正当化され、延命し、ヴィールスのように生き続けてきた。
格差、脱落者、それを自己責任の名のもとに正当化してきた。
その虚構を一挙に暴露したのが3・11、なのにまた再稼働、特定秘密保護法、集団的自衛権、、。
安全神話も含めて、時の政権党の判断、つまり原発の危険を知らせることなく国策として原発の採用に踏み切った当時の日本の政治体制、そしてそのために動いた大企業、さらにそれを支援し、国民を誘導したメデイアの責任、こうした全体的政治体制が、改めてしっかり検証されねばならないと思います。脱原発は、言い換えると脱システムなのです。問題は、その全体がよく見えない。おそらく誰にも見えていないというところにある。はっきりしていることは死者の語りを封印してはいけない。福島の犠牲者の無念を封印してはいけない。ということ。
本書の第三部は、外典『マグダラのマリアによる福音書』を紹介してローマ国教となったパウロ書に発する現在の正統派キリスト教により異端とされてきた、”十字架のないキリスト教”のこと。
女性差別の一つの淵源がパウロ書にあること、現在の中東の混乱の背景に正統派キリスト教の身勝手に構築した犠牲のシステムが存在すること。
ホロコーストからイスラーモフォビアへの21世紀戦争と平和の宗教的構図など刺激的覚醒的論述が続く。
この本は図書館に返さなければならないが、別に自分で一冊買ってもう一度読まなければならない。
岩波書店
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旭のキューです。
at 2014-01-30 13:25
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原発が無くても電気は充分まかなっていますから、危ない原発は、必用ないと思います。
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saheizi-inokori at 2014-01-30 17:19
旭のキューです。さん、コストも原発の方が高いという説もあるようですしね。
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at 2014-01-30 19:16
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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sweetmitsuki at 2014-01-30 20:10
私も脱原発派ですけど、私の持論はちょっと違います。
私はそういう感情論より、理路整然としたテーゼが欲しいのです。
私はそういう感情論より、理路整然としたテーゼが欲しいのです。
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saheizi-inokori at 2014-01-30 21:37
鍵コメさん、ありがとう。
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saheizi-inokori at 2014-01-30 21:38
熊伍朗さん、そうですね。
自分の暮らしにも跳ね返ってくるのですからね。
自分の暮らしにも跳ね返ってくるのですからね。
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saheizi-inokori at 2014-01-30 21:41
sweetmitsuki さん、脱原発だったらどちらかにとうひょうしたらいかがですか。
理路整然としたテーゼなど私には無理です。
本書↑で山形も書いている通り、誰も全体を見通せていないのが脱原発の問題ですから。
世界のシステムを変える時はそういうことだと思いますよ。
理路整然としたテーゼなど私には無理です。
本書↑で山形も書いている通り、誰も全体を見通せていないのが脱原発の問題ですから。
世界のシステムを変える時はそういうことだと思いますよ。
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keiko
at 2014-01-30 23:58
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いつまでたっても福島では汚染水が垂れ流し
あったまにきます!
あったまにきます!
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saheizi-inokori at 2014-01-31 09:19
keiko さん、けさの朝日にも載ってますね。
何とか手がないものでしょうかね。
何とか手がないものでしょうかね。
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tocotoco-o3po at 2014-01-31 10:30
saheiziさん~こんにちはです。
朝日新聞によると関西電力の八木社長が、自民党に原発を新規増設を依頼したそうです。どうも関西電力は、原発を新しくつくりたいのですね(汗
国会中継では、愛媛松山出身の塩崎議員が首相に質問してました。
朝日新聞によると関西電力の八木社長が、自民党に原発を新規増設を依頼したそうです。どうも関西電力は、原発を新しくつくりたいのですね(汗
国会中継では、愛媛松山出身の塩崎議員が首相に質問してました。
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LiberaJoy at 2014-01-31 10:54
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saheizi-inokori at 2014-01-31 12:01
tocotoco-o3po さん、目先のカネを取るか子供たちの未来を取るか、ですね。
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saheizi-inokori at 2014-01-31 12:02
LiberaJoy さん、頑張って引っ込みつかなくなるのはもっと哀しいものね^^。
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nao
at 2014-01-31 12:03
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私も図書館行ってきます‼
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saheizi-inokori at 2014-01-31 12:10
nao さん、テストが終わってからね^^。
by saheizi-inokori
| 2014-01-30 11:29
| 今週の1冊、又は2・3冊
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