人類の明日は炭素にある 佐藤健太郎「炭素文明論 『元素の王者』が歴史を動かす」
2013年 11月 25日
直るまで三週間、カミサンのPCを借りてブログ生活。
馴れないせいもあってなかなか大変。
PCがダメになってるのでメールが見られないのが不便、でもほとんどはイベント情報だからまあいいか。
面倒だけど覚えさえすれば頭の悪い俺でも点数を稼げたから当時の英国数理社5教科9科目の国立大学受験、理科は生物と化学を取ったのだ。
だから試験が終わればすべて忘却の彼方、炭素が元素の王者・ヒーローだという本書は初耳の話が多くて楽しかった。
地表、海洋の元素分布を調べると重量比でわずか0.08パーセントしかないという炭素があらゆる生命体を作りだし、したがって食品、医薬はもとよりメデイアやエネルギー源、木材、プラステイックにも化けるのだ。
デンプンの加熱調理を知った人間は体内で行うべき消化機能を火に外部委託して、代わりにカロリーと時間、高い知能を手に入れた。
なかでも米、日本は「米が作った国」、租庸調、口分田、荘園、、日本の政治は「米を管理する」ところから始まった(TPPは日本であることをやめようとしているのかもしれない)。
一方14世紀半ばから19世紀半ばへの小氷期のヨーロッパを支えたのはジャガイモだ。
アイルランドで1845年に起きたジャガイモの疫病のために百万以上の海外移民があり、そのうちアメリカに渡った者たちの子孫がケネデイ、レーガン、クリントン、オバマたちだ。
新しい大使もジャガイモ異変の因果を背負っているのだ。
そして”甘味”の化学的追求が続けられるがその正体はいまだ謎だ。
大航海時代は香辛料を求めることから始まった。
日本人がこよなく愛するグルタミン酸は「旨味」の存在につながる。
アレクサンダー大王、フビライ・ハーン、クロムウエル、ダンテ、ゲーテ、スタンダール、ベーコン、ニュートン、ダーウイン、ルター、フランクリン、チャーチル、カール大帝、ルイ14世、ヘンリー8世、フリードリヒ大王、、偉人英傑を苦しめた尿酸(痛風)は天才物質ではないかと言われたことがあるがウーマンリブ運動の高まりにより否定されている。
男性の方が尿酸値が高いってのが気に食わないのらしい。
俺も尿酸値を下げる薬を飲んでいる、逆は真ならずだが。
そして俺も含めて人類最大の友となったのがエタノール、酒だ。
アメリカを創ったのも酒、サトウキビ(ラム)、トウモロコシ(バーボンウイスキー)、ニューイングランド植民地からの輸出の8割はラム酒だった。
ノーベルは「平和賞」をもうけたように平和主義者だったが
爆発事故で弟を失い、世の激烈な非難を浴び、現実に戦場で兵士の命を奪っている姿を目にしながら、なお研究に打ち込む姿には、爆発に取り憑かれた男の「業」のようなものを感じずにはいられない花火や爆発が人々を魅了するのと通じるのか。
1898年、イギリスのサー・ウイリアム・クルックスが「このままいけば窒素肥料が30年で尽き人類は養うだけの食糧生産はできなくなる。それを回避するためには空気から人工で窒素を固定するしかない」と演説,世界は騒然となった。
これに答えたのがドイツのフリッツ・ハーバー、高熱高圧のもと触媒を使って窒素固定をする方法を考案、カール・ボッシュのアンモニア合成プラントに結実する(1913年)。
それぞれ別の年にノーベル賞を受賞したこの研究がなければ世界で二十億人が飢えて死ぬ計算だ。
ハーバーが「空気からパンを作った男」といわれる所以。
しかし現在ハーバー=ボッシュ法のエネルギー消費が高すぎるなどの弊害が指摘され、常温常圧で窒素固定を行う方法が模索されている。
筆者はIPS細胞の研究よりも優先して推進すべき課題ではないかという。
いくら医療が進んでもエネルギーと食糧がなければ人は生きられないのだから。
わずか60年前のロンドンの大気が現在の北京に匹敵する汚染レバルだったのは石炭のせいだった。
救世主・石油も実は由来不明の物質、ひょっとすると無機起源、地球のできた時に閉じ込められた炭化水素が変成したもの、従来の生物起源説よりも大量に埋蔵されているのかもしれない。
さらに現在はナノカーボン、カーボンナノチューブのような
自然界に全く存在しない性質を持った物質を、新たに設計して生み出すという段階に近付いている。
原子力に多くは頼れない、かといって太陽光はエントロピー的に主力たりえないとすれば人工光合成などが研究されている。
人類は炭素によって生かされ、歴史は炭素化合物につれて動いてきた。今後の我々の未来を支え、道を切り開くのは、炭素をマネジメントする技術に他ならない。人類の明日のため、炭素という小さく平凡で、それでいて不思議な力を秘めた元素に、光が当たることを願ってやまない。筆者の結語だ。
炭素史観、面白いのでついついだらだら引いてしまった。
新潮選書
PCが壊れてしまったとのことですが、不便でしょうね。
私は重要なデータだけUSBメモリーに保存しています。
早く 直ると良いですね。 お大事に。
パソコンが壊れると、ストレスになりますね。以前、夫婦で1台だった頃、壊れた時は、苛々しました。
お家でのお誕生会に、料理の腕を振るわれるご隠居シェフのお幸せそうなこと!!素敵ですね。
ご一家揃ってお幸せ。理想の家族。
まあ、オバマの祖先にもアイリッシュが。
ケネディ家が移住したのも、じゃがいも飢饉の時だったのですか。
アメリカは人種の入り混じった国なのに、差別感をぬぐえないのですね。
昔のことを思えばなんですが、一度便利さを知ってしまうとね。
アメリカの警察官にはアイリッシュが多いようです、今もかは知りませんが。