バカ息子に泣く父&グレンミラー&金坊の鰻&大狸に化かされたイイ女 志ん輔三夜・第二夜
2013年 10月 08日
例によって少し早めに行ってあたりを歩く。
かつてジョギングで一周5キロを25分、それを2周して風呂に入ってからみんなと呑む酒がウマかったのなんの。
想えば遠い遠い昔のできごとのようだ。
前座の半輔「無学者」
よくとおる大きな声で滑らかに語る。
ウケている、いいぞ。
こんど真打になったという、龍馬「釜泥」
石川五右衛門の子分ふたりが、親分の追善と自分たちが捕まって釜茹でにならないようにと世の中の釜を盗み出す、まずは豆腐屋のデカい釜から。
豆腐屋たちは大恐慌。
ある豆腐屋のオヤジが一計を案じ、「俺が釜の中で泥棒を待ち構えて捕まえよう」。
釜に入ったはいいが退屈でしょうがない、「婆さん、酒をくれ」、つまみもなしに「お、釜の中もいける」ちびちび。
泥棒が入ったときは、白河夜舟。
泥ちゃん、釜を担いで歩く。
釜の中から「婆さん!水をくれ」、蓋をあけるとにゅっとオヤジの頭。
ギャッ、逃げる泥棒。
豆腐屋のオヤジ、釜の中から夜空を見上げて
ああ、きれいな星空だなあ。、、あ、いけね!こんどは家ごと盗まれたこういう噺大好きだ。
覚えておいて孫たちに聴かせてやりたい、絵本でも描いたら喜ぶかも、そういえばあったかな。
志ん輔「片棒」
ケチベエさん、「俺が亡き後、この店をますます大きくしてくれるのは誰か」、三人の子供に葬式プランを言わせてコンペ。
長男の金太郎、緊張して震えながら進み出るが「この店の格を傷つけないように思い切って盛大な葬式にします」と言い切ったあたりからのびのびと楽しげにプランをぶちあげる。
聞いてるケチベエさんが逆に震えだす。
「お前が逝くまでは俺は死なないから!」。
ベランメエの次男が木遣り、手古舞、山車、神輿、、「弔いの歴史を変えるような」プラン。
いろいろ習い事をしている成果がこういうときにものをいう、とても楽しい。
ケチベエの人形がカクカクギクギクと動く様子に満場爆笑・拍手。
馬鹿息子高笑い、おとっつあん泣きだす。
結局は末っ子の「菜漬の樽棺」スタイルの超質素コースに決まったか。
そういえば日曜日の朝、ストレッチをやってシャワーを浴びながらラジオを聴いていると終活放送をやる。
お葬式を家族だけでやるのはどうしたらいいか、などと、実に不愉快な番組だ。
「片棒」でもかけてくれ、銀次郎スタイルのあれこれ、とかね。
ボックス、皿回し、お手玉、中国独楽、、軽妙な語り、スピード、見事な曲芸だ。
BGMにグレン・ミラーを使っているのがぴったり、まるでオーケストラボックスがあるみたいだ。
志ん輔「子別れ」
金があってもロクな子供たちがいないケチベエさんは気の毒だ。
熊さんはイイ子がいるのに酒に飲まれて花魁におぼれた。
でも女の正体をみて目が覚めて酒を断っていい腕の大工によみがえった。
となったら金坊とカミさんとよりを戻すのはみんなの願い。
母と子が糸巻をする場面。
俺もよくやったぜ、親子が向かいあって話をしながら、糸を巻きまき、いいもんだ。
金坊がおませを前面に出して笑わせる。
ふつうは中休みは10分だけど、それだと最後に力が抜けてしまうので15分頂きました。これが効果があるかどうかはこれから見ていればわかりますなんて意識し過ぎたんじゃなかろうか。
どうもリズムがイマイチ。
とくにカシラが根岸と浅草橋の間をエッサカオッサカ、顔色変えて往ったり来たり二往復するところが盛り上がらない。
その前の伊之助じつは大狸がお若をたぶらかすところにあらまほしい妖艶な風情も淡々過ぎる。
毎夜三席づつ、三日連続。
大変だろう。
ブログで観ていると常に稽古を怠らずいろいろなことに心をくだいて寧日がない。
第一夜の「柳田格之進」はことのほかの出来栄えだったと聞いた。
「酒さえ飲まなければ」といわれた熊さんのことを考えながら少しだけ喉しめし。
隠居だし。
置いといて・・・さっき、池袋でそのジャグリング見ました!
渋谷の空も秋の雲。ビルのガラスに映ってきれいですね。
グレン・ミラーをバックに演芸、なんだか不思議で、いい空気感な気が致します。いいなあ。
“喉しめし”、ああ、いい言葉。明日から、飲む時に言うっと!
ご本人、だいぶ太った、と仰ってました。
白河夜船...こういう落語で昔ながらの日本語が語り継がれるっていいですよね。
今夜、№2に教えようって思いました。
サザエさんのお母さんのフネさんがお出迎えの看板も情緒があっていいですね。
都会の夕暮れにも味がないわけじゃないです。
ジェイムススチュアートの「グレンミラー物語」とか主演は忘れたけれど「ベニーグッドマン物語」「五つの銅貨」など面白かったなあ。
あの頃はアメリカが嫌いじゃなかった。
志ん朝命でしょう。
それを一瞬でも瞼に浮かばせてくれるのが落語の藝です。
人情についても今は失われてしまった情けを感じさせてくれますよ。
エライさんにはない顔です。
小三治あたりで聴いてみたいな。