人生は弦楽四重奏だ 映画「25年目の弦楽四重奏」
2013年 08月 20日
シューベルトは死ぬ直前にこの曲以外は聴きたくないと言った。
だから私はこの曲を演奏するときにはシューベルトの死の枕元で弾くつもりになる完璧主義の天才、第一ヴァイオリンが天才に恵まれた少女に言う。
べ―ト―ベンの弦楽四重奏第14番作品131のことだ。
全7楽章を休みなく演奏し続けよという指示がついている。
どんなに名人でもそれだけの間演奏を続けると調弦が狂ってくることは避けがたい。
4人の奏者がどうやって最後まで調和を保って演奏することができるか。
この曲を演奏しようとする至高のクァルテット・「フーガ」は25年間、お互いに切磋琢磨して理想的な調和を実現してきたのに、最年長のチエロリストがパーキンソン氏病になって引退することを表明したことから突然乱調が始まる。
メンバーそれぞれが抑えこんできた人生のもう一つの真実が表出してチームに亀裂が走る。
よくも今までうまくやってこれたものだ!
人々から頼られ力もある者がどのように自ら幕引きをするのか。
彩り、調整役に甘んじる人生に耐えられるか。
妻は本当に自分を愛しているのか。
妻として母として女としての自分は迷いがないのか。
完璧を目指すあまりに人を、自分を抑えつけて解放することがなかったのではなかろうか。
両親のように生きていくことへの怖れ・嫌悪。
4人のそれぞれが自分の才能を的確に自己評価し、あるいは他人の評価を甘受して自分の役割を完璧に果たすこと、それができないと四重奏は破綻する。
4人+1人がそれぞれに真実と向き合って苦しみ、その姿は美しい。
通奏低音は作品131だ。
作品131を最後まで破綻なく演奏することができるかというテーマがクァルテットの行く末と重なる。
弦楽四重奏入門でもある。
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osamukunn at 2013-08-20 16:13
評判が良かったのでレンタルされたら観ようと思っていました。
映画館で観れば良かったと反省。
映画館で観れば良かったと反省。
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ginsuisen
at 2013-08-20 18:31
x
おっとっと。暑さのせいですっかり、うっかりしておりました。行きます!まだ間に合いそうなので。
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maru33340 at 2013-08-20 21:21
間に合って良かったです。まさに、これこそ映画というべき傑作ですね。
恥ずかしいことに知りませんでした。内容ご紹介、いい映画ですね。映画だけは一人で行けないトホホの私です。
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yukiwaa at 2013-08-20 22:14
京都のほうはこれからでしょうか?
音楽を聴いているだけでもいいですねっ。
たまには映画もいいものですねっ。
我が家の二重奏はどうなってゆくでしょうか?
四重奏もきになるところですが。
老いてゆくという事は色んな事に向き合わないといけないんですね。
音楽を聴いているだけでもいいですねっ。
たまには映画もいいものですねっ。
我が家の二重奏はどうなってゆくでしょうか?
四重奏もきになるところですが。
老いてゆくという事は色んな事に向き合わないといけないんですね。
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:10
osamukunn さん、私も三番館、70人定員くらいなところ、12人客がいました。
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:10
ginsuisen さん、ぜひぜひ!
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:11
maru33340 さんに背中を押されてみることができました。
ありがとう。感謝感激!
ありがとう。感謝感激!
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:12
tonaさん、世界を股に駆けるあなたが?!
信じられないですよ。
信じられないですよ。
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:14
yukiwaa さん、私も久しぶりにしっとりとした好い映画を観ました。
独奏だけでも難しいのに重奏なんて、とも思いますが、逆に一人じゃないから弾きつづけられるのかもね。
独奏だけでも難しいのに重奏なんて、とも思いますが、逆に一人じゃないから弾きつづけられるのかもね。
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keiko_52 at 2013-08-20 23:28
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saheizi-inokori at 2013-08-20 23:35
keiko_52 さん、身体を適度に動かしてあとは面白い本を読む、これが最高の消夏法かもしれないですね。
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k_hankichi at 2013-08-25 20:31
saheiziさん、このような映画やそれを生み出そうとする方々を、支えていきたいですね。
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saheizi-inokori at 2013-08-26 20:47
k_hankichi さん、微力以前の微力ではありますが。
by saheizi-inokori
| 2013-08-20 15:30
| 映画
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