ヒエロニムス・ボッシュは自分のために働く マイクル・コナリー「ブラック・アイス」

酷暑は読書に通じる。
読み終ってもブログに書いてない本がたまる。
カンタンに一冊を。
ヒエロニムス・ボッシュは自分のために働く マイクル・コナリー「ブラック・アイス」_e0016828_865665.jpg
このところはまっているマイクル・コナリーの刑事・ハリー・ボッシュシリーズの第二作(1993)。
コーク(コカイン)とヘロインとPCPを混ぜ合わす。
コカインがハイな気分、ヘロインが長い持続時間(あし)、何時間もの、ひとつまみのダスト、つまりPCPがトリップの最後に向かって強烈なキックをもたらす。
それがブラックアイス。
メキシコの法王はこいつでアメリカの麻薬市場を牛耳ろうとする。

ハリー・ボッシュがあったことのある刑事がモーテルで死体でみつかった。
どう見ても自殺(汚職警官の)。
尻のポケットにあったメモには
おれは自分がなにものなのかわかった
その意味は?
ほんとうに自殺なのか?
ヒエロニムス・ボッシュは自分のために働く マイクル・コナリー「ブラック・アイス」_e0016828_837834.jpg
父に捨てられ売春婦だった母は殺され施設で育ちベトナムでゲリラのトンネル破壊工作をやって今でも不眠症になっているハリーは警察という組織に身を置きながら、組織には忠実ではない。
といっても無頼なヤクザ刑事ではない。
むしろ捜査の基本を大事にする。
大事にする上にきわめて優秀なのだ。
情報を吐けと刑事からいたぶられるチンピラを助けてやる、どうせまた殺人事件を起こすだろうと思いながらも。
だから現場がどうであるかには無関心でゴマスリ、事なかれ、嘘つき、保身第一の連中からは嫌われる。
罠にかけて追い出そうとする。
ボッシュ。わたしにはおまえが理解できない。なんにもならないことになぜすべてを賭ける?、、おまえはチームのために働いていない。自分のために働いている。
胸クソ悪くなる上司の言葉は当たっているのだ。
ボッシュは自分のために働いている。
その自分は、自分のなかの空虚を埋めるために「善なるもの」を求めて、現場を見て判断し推理し行動する。
当然組織のためではない。
ヒエロニムス・ボッシュは自分のために働く マイクル・コナリー「ブラック・アイス」_e0016828_8411746.jpg
さあ、次は「ブラック・ハート」だ。

古沢嘉通 訳
扶桑社ミステリー
Commented by 小言幸兵衛 at 2013-08-19 21:04 x
おや、しっかり順番にお読みになっていますね^^
「ブラック・ハート」もおもしろいですよ!
Commented by rengesou009 at 2013-08-19 21:10
ひゃあ〜〜〜面白そう!!!
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-19 21:11
小言幸兵衛さん、「ブラック・ハート」上があと少しです。
最高です。
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-19 21:12
rengesou009 さん、騙されたと思って一冊読んでみてください。
虜になりますよ。
Commented by itohnori at 2013-08-20 08:57
saheizi-inokoriさん 、お早うございます。
 最近、読書と縁がなくなりました。
PCばかりやっているせいでしょうか。
Commented by j-garden-hirasato at 2013-08-20 12:39
自分のために働く。
そんなカッコいいセリフ、
一度でいいから言ってみたいものです。
組織に従わず・・・、
そんなことができる人って、
ほんとにいるのでしょうか。
日本では、
刑事でもダメでしょうね。
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-20 13:43
itohnori さんはアウトドアで素晴らしい写真を撮っていらっしゃる。
本なんか読まなくてもいいのではないですか?
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-20 13:45
j-garden-hirasato さん、アメリカでも稀有、だから魅力があるヒーローたりうるのでしょうね。
Commented by ikuohasegawa at 2013-08-20 15:15
講談社文庫から攻めています。扶桑社は次に・・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-20 15:32
ikuohasegawaさん、お楽しみはこれからだ^^。
Commented by chaiyachaiya at 2013-08-20 23:49
ヒエロニムス ボッシュって、フランドル派の画家ですよね・・・ミステリーのタイトルに!? なしてだ〜っ!!
て、推理小説、「やあ、犯人突きとめても、失なわれた命戻ってこないし」と、後は、うとうと朦朧となってしまう私ですが、一度きちんと読んでみたら、嵌るのかも知れない気がしてまいりました。
Commented by saheizi-inokori at 2013-08-21 08:55
chaiyachaiya さん、わかりにくくてごめんなさい。ミステリの表題は「ブラックアイス」です。
ヒエロニムス・ボッシュはこの作品の主人公の名前、略してハリー・ボッシュです。
犯人は必ず見つかる(死んでいることもある)のがミステリですが、それをどういうキャラクターの人物がどういうふうに難関を乗り越えて見つけていくか、そこが面白い、下手な作者だとつまらないのです。
主人公=作家の人生観や趣味嗜好などもいろいろあった、気の合う主人公を発見するとはまります、この作品シリーズのように。
どうぞ、楽しいミステリの世界へ!
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by saheizi-inokori | 2013-08-19 08:41 | 今週の1冊、又は2・3冊 | Trackback | Comments(12)

ホン、よしなしごと、食べ物、散歩・・


by saheizi-inokori