ヒエロニムス・ボッシュは自分のために働く マイクル・コナリー「ブラック・アイス」
2013年 08月 19日
読み終ってもブログに書いてない本がたまる。
カンタンに一冊を。
コーク(コカイン)とヘロインとPCPを混ぜ合わす。
コカインがハイな気分、ヘロインが長い持続時間(あし)、何時間もの、ひとつまみのダスト、つまりPCPがトリップの最後に向かって強烈なキックをもたらす。
それがブラックアイス。
メキシコの法王はこいつでアメリカの麻薬市場を牛耳ろうとする。
ハリー・ボッシュがあったことのある刑事がモーテルで死体でみつかった。
どう見ても自殺(汚職警官の)。
尻のポケットにあったメモには
おれは自分がなにものなのかわかったその意味は?
ほんとうに自殺なのか?
といっても無頼なヤクザ刑事ではない。
むしろ捜査の基本を大事にする。
大事にする上にきわめて優秀なのだ。
情報を吐けと刑事からいたぶられるチンピラを助けてやる、どうせまた殺人事件を起こすだろうと思いながらも。
だから現場がどうであるかには無関心でゴマスリ、事なかれ、嘘つき、保身第一の連中からは嫌われる。
罠にかけて追い出そうとする。
ボッシュ。わたしにはおまえが理解できない。なんにもならないことになぜすべてを賭ける?、、おまえはチームのために働いていない。自分のために働いている。胸クソ悪くなる上司の言葉は当たっているのだ。
ボッシュは自分のために働いている。
その自分は、自分のなかの空虚を埋めるために「善なるもの」を求めて、現場を見て判断し推理し行動する。
当然組織のためではない。
古沢嘉通 訳
扶桑社ミステリー
「ブラック・ハート」もおもしろいですよ!
最高です。
虜になりますよ。
そんなカッコいいセリフ、
一度でいいから言ってみたいものです。
組織に従わず・・・、
そんなことができる人って、
ほんとにいるのでしょうか。
日本では、
刑事でもダメでしょうね。
本なんか読まなくてもいいのではないですか?
て、推理小説、「やあ、犯人突きとめても、失なわれた命戻ってこないし」と、後は、うとうと朦朧となってしまう私ですが、一度きちんと読んでみたら、嵌るのかも知れない気がしてまいりました。
ヒエロニムス・ボッシュはこの作品の主人公の名前、略してハリー・ボッシュです。
犯人は必ず見つかる(死んでいることもある)のがミステリですが、それをどういうキャラクターの人物がどういうふうに難関を乗り越えて見つけていくか、そこが面白い、下手な作者だとつまらないのです。
主人公=作家の人生観や趣味嗜好などもいろいろあった、気の合う主人公を発見するとはまります、この作品シリーズのように。
どうぞ、楽しいミステリの世界へ!