大名と按摩の友情、妻と妾の火の玉合戦 喬太郎、小満んがよかった 第540回「落語研究会」
2013年 06月 27日
一日雨降り、サンチの散歩も無し、歩数計の出番もないと思っていたら、それでも5000歩になった。
いつも歩くところをバスに乗ったのになあ、半蔵門のホームから国立小劇場までが思いのほか距離があるのだ。
都会の建物は距離感を失わせる、いや、田舎の一本道もそうだなあ。
小駒「釜どろ」
ことし9月に真打昇進、嬉しそうに新しい名前「金原亭竜馬」を披露した。
明るい明晰な芸風。
釜のなかに入って泥棒を待ち伏せする爺さんとなぜか冷ややかな婆さんの会話がもう少しヒョウゲテいると、、ま、これからだ、がんばれ!
馬石「崇徳院」
ゆっくりした喋りにどこか気負いが感じられた。
端正すぎるのだ。
さいごに床屋でお嬢さん側のカシラを発見したときの「さ、ん、げん、なが、やあ~!」と唸るところなど、もっと今までの苦労を凝縮して爆発させる凄みを利かせて欲しいのだ。
ずいぶん整ってうまくなっただけに注文をつけたくなる。
喬太郎「錦木検校」
酒井雅楽頭の次男坊・角三郎、なぜか父親に疎んぜられて下屋敷に捨扶持の身。
その角三郎、腹の座った男で、ふてくされることもなく市井に出入りして毎日を楽しんでいる。
たまたま呼んだ生まれついての盲人按摩・錦木と気があって友達のような付き合い。
錦木が言うには、あなたの骨組みは大名の相がある。
馬鹿を言うな、俺は一介の家中の者だ。
だが、万が一俺が大名になったときにはお前を検校にしてやろう、もとより座興。
父親の死後、長男が病弱故、あとを継ぐことになる。
その時、錦木は風邪をこじらせて瀕死の床にあったが、角三郎が大名になったことを聞いて這うようにしてお城に。
「お前が俺を大名にしてくれた、あの頃俺は内心父を憎み心が折れていた、お前は身体だけでなく俺のこころも癒してくれたのだ。お前は私の友だ、約束通り検校として胸を張ってくれ」
感動の言葉を聞いて錦木は「そんな約束は覚えていない、おめでとうございます」と言い、こと切れる。
長屋の源兵衛が見舞いに来たときの錦木の話しぶり、さすが喬太郎だった。
力のある人なのだ。
(1、2、3、4、、5、ぜんぶいたぞ!)
小満ん「悋気の火の玉」
寄席なら10分かそこらで済む噺だが時間を貰ったから、と子供の頃、小学校の庭の映画会で橙色の火の玉が二つ並んで校舎の角を曲がっていったのを見た噺、
本妻と妾が互いに呪い殺し合って、二人とも火の玉になって夜ごと空中戦。
世間の評判になって、旦那は二つの火の玉のぶつかるところでそれぞれに懇々ともういい加減にしておくれと口説く。
煙草の火を忘れたので火の玉に、近くによってくれと火を貰う。
妾の火で、ああ、うまい。
本妻は、、「どうせあたしのではまずいでしょ、フン」。
久しぶりの小満ん、やっぱりいいなあ、粋だな。
こういうすっきりした色気はこの人でなければ味わえない。
扇遊「大山詣り」
お辞儀をして、「富士詣り」ならよかったんですが。
いえいえ、富士詣りなんて聞きたくない。
富士山を大事にするのか富士山をダシにして儲けようというのか、信仰の山とは当の富士山が呆れているだろう。
風呂のなかで屁をひられて喧嘩というのは「三軒長屋」にもあったなあ。
「大山詣り」では屁の段階ではやられた方が我慢しているのだが、熊が風呂から出るときに定の頭を踏んづけたので切れちゃった。
喧嘩したら坊主にするという約束だったが先達さんは押しとどめる。
なんとも我慢できない定と治郎吉が二人だけで熊をつるつる坊主にしちゃうという演出だ。
翌朝、目覚めて旅館の女中から坊主になっていることを知らされた熊の復讐。
みんなより先回りして長屋に帰って留守を守る女房連中に「舟がひっくり返ってみんな死んでしまった。俺は菩提を弔うつもりで坊主になった。みんなも坊主になったらどうか」。
かくして、長屋につるつる真っ青、きれいな坊主頭の尼さんだらけになっちゃった。
爆笑場面が続く、、はずなのに、、どうしたことか、もうひとつ弾けなかったのは俺の受信装置のせいか。
夜は小雨になったので、駅から歩いて帰った。
それで5000歩。
いつも歩くところをバスに乗ったのになあ、半蔵門のホームから国立小劇場までが思いのほか距離があるのだ。
都会の建物は距離感を失わせる、いや、田舎の一本道もそうだなあ。
ことし9月に真打昇進、嬉しそうに新しい名前「金原亭竜馬」を披露した。
明るい明晰な芸風。
釜のなかに入って泥棒を待ち伏せする爺さんとなぜか冷ややかな婆さんの会話がもう少しヒョウゲテいると、、ま、これからだ、がんばれ!
馬石「崇徳院」
ゆっくりした喋りにどこか気負いが感じられた。
端正すぎるのだ。
さいごに床屋でお嬢さん側のカシラを発見したときの「さ、ん、げん、なが、やあ~!」と唸るところなど、もっと今までの苦労を凝縮して爆発させる凄みを利かせて欲しいのだ。
ずいぶん整ってうまくなっただけに注文をつけたくなる。
酒井雅楽頭の次男坊・角三郎、なぜか父親に疎んぜられて下屋敷に捨扶持の身。
その角三郎、腹の座った男で、ふてくされることもなく市井に出入りして毎日を楽しんでいる。
たまたま呼んだ生まれついての盲人按摩・錦木と気があって友達のような付き合い。
錦木が言うには、あなたの骨組みは大名の相がある。
馬鹿を言うな、俺は一介の家中の者だ。
だが、万が一俺が大名になったときにはお前を検校にしてやろう、もとより座興。
父親の死後、長男が病弱故、あとを継ぐことになる。
その時、錦木は風邪をこじらせて瀕死の床にあったが、角三郎が大名になったことを聞いて這うようにしてお城に。
「お前が俺を大名にしてくれた、あの頃俺は内心父を憎み心が折れていた、お前は身体だけでなく俺のこころも癒してくれたのだ。お前は私の友だ、約束通り検校として胸を張ってくれ」
感動の言葉を聞いて錦木は「そんな約束は覚えていない、おめでとうございます」と言い、こと切れる。
長屋の源兵衛が見舞いに来たときの錦木の話しぶり、さすが喬太郎だった。
力のある人なのだ。
小満ん「悋気の火の玉」
寄席なら10分かそこらで済む噺だが時間を貰ったから、と子供の頃、小学校の庭の映画会で橙色の火の玉が二つ並んで校舎の角を曲がっていったのを見た噺、
人魂で 行く気散じや 夏野原北斎の辞世、
人魂が並んで飛ぶわ憎らしい川柳「人魂」シリーズだ。
人魂の頓死と見えて矢の如し
本妻と妾が互いに呪い殺し合って、二人とも火の玉になって夜ごと空中戦。
世間の評判になって、旦那は二つの火の玉のぶつかるところでそれぞれに懇々ともういい加減にしておくれと口説く。
煙草の火を忘れたので火の玉に、近くによってくれと火を貰う。
妾の火で、ああ、うまい。
本妻は、、「どうせあたしのではまずいでしょ、フン」。
久しぶりの小満ん、やっぱりいいなあ、粋だな。
こういうすっきりした色気はこの人でなければ味わえない。
お辞儀をして、「富士詣り」ならよかったんですが。
いえいえ、富士詣りなんて聞きたくない。
富士山を大事にするのか富士山をダシにして儲けようというのか、信仰の山とは当の富士山が呆れているだろう。
風呂のなかで屁をひられて喧嘩というのは「三軒長屋」にもあったなあ。
「大山詣り」では屁の段階ではやられた方が我慢しているのだが、熊が風呂から出るときに定の頭を踏んづけたので切れちゃった。
喧嘩したら坊主にするという約束だったが先達さんは押しとどめる。
なんとも我慢できない定と治郎吉が二人だけで熊をつるつる坊主にしちゃうという演出だ。
翌朝、目覚めて旅館の女中から坊主になっていることを知らされた熊の復讐。
みんなより先回りして長屋に帰って留守を守る女房連中に「舟がひっくり返ってみんな死んでしまった。俺は菩提を弔うつもりで坊主になった。みんなも坊主になったらどうか」。
かくして、長屋につるつる真っ青、きれいな坊主頭の尼さんだらけになっちゃった。
爆笑場面が続く、、はずなのに、、どうしたことか、もうひとつ弾けなかったのは俺の受信装置のせいか。
それで5000歩。
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marsha
at 2013-06-27 14:25
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気にかかっていて、かもの一家が全員無事,
目出たし、目出たし!
目出たし、目出たし!
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旭のキューです。
at 2013-06-27 17:24
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5000歩健脚ですね。私も昨日大雨の中、ゴルフやってきました。
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高麗山
at 2013-06-27 18:28
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hanamomo06 at 2013-06-27 21:10
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saheizi-inokori at 2013-06-27 21:17
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saheizi-inokori at 2013-06-27 21:18
旭のキューです。 さん、あなたはゴルフがうまいから一日でも1万歩歩かないんじゃないかな。
私は今日は12000です。
私は今日は12000です。
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saheizi-inokori at 2013-06-27 21:19
高麗山さんから見たらほとんど歩いていないようなものでしょう^^。
今日は晴れたので12000ですよ。
今日は晴れたので12000ですよ。
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saheizi-inokori at 2013-06-27 21:22
行けばよかった・・・ちょっと思うけど、私の受信機も弾けなかっただろうな・・・。
とにかく、今年の夏こそ八景島に行きますぞ^-^
とにかく、今年の夏こそ八景島に行きますぞ^-^
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kuukau at 2013-06-27 23:19
映画を観るのも受信装置が必要になりましたw
何事も己あっての他だな、と。
何事も己あっての他だな、と。
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saheizi-inokori at 2013-06-28 09:43
豆ママ さん、梅雨時は機械の手入れをこまめに^^。
八景島、私も未踏の地です。
八景島、私も未踏の地です。
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saheizi-inokori at 2013-06-28 09:44
空子さん、周りの人が笑っているのに、、周波数が違うのかなあ。
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kanekatu at 2013-06-29 05:30
「錦木検校」は喬太郎がベストです。「按摩の炬燵」もそうですが、この人は盲人の噺をさせると上手い。この点だけは黒門町と似てます。
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saheizi-inokori at 2013-06-29 10:58
kanekatu さん、盲人もそうですが、ちょっと陰のある人物描写がウマいですね。
まあ、そういう噺ばかりしているわけにもいかないのでしょうが。
まあ、そういう噺ばかりしているわけにもいかないのでしょうが。
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創塁パパ
at 2013-07-03 05:53
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すいません。伺えませんでした。小満ん聴きたかった。喬太郎のこの噺はいいですよ!!(笑)
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saheizi-inokori at 2013-07-03 09:53
創塁パパ さん、小満んと喬太郎もこういう演目なら聴きに行きたいものです。
by saheizi-inokori
| 2013-06-27 12:02
| 落語・寄席
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