がっぷり四つ聴きごたえあり 東の喜多八&西の露の新治@かもめ亭
2013年 06月 25日
よく、三大ナントカのひとつってな言い方をする、すぐに例が思い浮かばないけれど。
で、他の二つはなんなの?と訊くとパッと出て来なかったりして。
どう考えても目下俺の好きな落語家、ベスト5に入る喜多八がベスト5の座を窺おうかという露の新治との二人会、これが見られずにおかりょーか!
6時半かと思ったら7時開始、芝大門「集来」で腹ごしらえ。
文化放送の会場からは浜離宮や東京湾がよく見える。
前座、なな子「味噌豆」
喜多八「仏の遊び」
暗いとか音響が良くないとか会場にケチをつけてから、前座時代の思い出、呑む打つ買うの修行についての馴染の噺。
貧しいなら貧しいなりに、粋な酒の呑み方ってのがあって、喜多八がいう、ツマミをやたら食うなんてのは野暮だ、とか、コップ酒を受け皿にこぼして注いでもらったときの作法とか、なにより、強い酒(喜多八は”根性が違う酒”=強くてマズイという)をグイグイ飲んで崩れないこと、、そういう呑み方は俺にも粋だった。
持ってる金では飲みたらないから、走って帰って酔いが回るようにしたこともある。
冷房が効きすぎたせいもあって、いつもより温まらない会場で20分近くマクラをやっていたらようやくエンジンがかかって、本題に。
阿弥陀様と一緒に女郎買いをする生臭坊主。
罰当たりメ!
先月も聴いたばかりだが、無条件に笑わせる。
坊主と阿弥陀様の掛け合いの妙。
(大きくなった)
新治「兵庫船」
見台に張扇、小拍子をもって登場、上方は大道芸やよって、こういうもので道行く人の注意をひきつけなあかんのです、パンパン!
もひとつ、厚労省の発表で落語聴きながら居眠りすると早死にするそうやさかい、パンパン!
金比羅参りの帰り道、兵庫で遊んで、あとは船で大阪に帰ることになった二人組。
舟のなかで足のやり場、互い違いに出したらええねン、ごつい脚やなあ、草鞋履いたまま出すな、乗り合わせた客同士で出身(出所)紹介、大和に紀州、因州、芸州、堂州、なんやそれ?へえ、堂島だんねん、道頓堀も道州か、わしはごう州、近江やね、いや豪州、、なぞかけやろうや、いろはのいの字とかけて船頭さんの手と解く、心は櫓の上、うまいなあ、、
なんとも賑やか切れ間なしに笑いのうず。
喜多八の会話に比べるとスピードがあってウッカリしていると置いていかれそうだ。
(生りはじめたらさっさと食べないと!人の心配してしまう)
喜多八「青菜」
夏の定番、しょうがないからこれでお茶を濁します、と喜多八節。
旦那と植木屋、植木屋と半公、どちらの会話も会話の内容自体の面白さもあるけれど、二人の表情や早いテンポのなかにあるチョイとした”間”が面白さを盛り上げていく。
新治のケレンに対する抑制とでもいえるか。
せんじつ深川資料館で江戸の貧乏長屋には押入れがなかったと聞いてきたのに、この噺は押し入れにカミサンが入って、「奥や!」と呼ばれると汗みどろになって出てくるところが爆笑場面なのだ。
つまらないことが気になるのは落語を楽しむ態度としてはよろしくない、反省。
(ここの焼き鳥も食いたかったけれど、、)
新治「鹿政談」
見台を取り払って登場、奈良出身の新治が奈良についてのマクラ。
奈良名物に、「大仏に、鹿の巻き筆、あられ酒、春日灯篭、、町の早起き」、なぜ「早起き」か。
奈良の鹿は神の使いの神鹿、殺した者は石子詰めの刑、一族郎党は島流しになる。
だから早く起きて家の前に鹿が死んでいたらこっそり隣に動かすのだ。
正直者の豆腐屋・六兵衛が暗いうちから豆腐を作っていると表で犬がキラズを食っている。
キラズとはおからのこと、ほら豆腐と違って切らないで食べる、おからなんて客の入りが悪いようでゲンが悪いでしょ。
六兵衛さん、カッと来て傍に遭った割り木を投げつけたら当たり所が悪かったと見えて犬は死んでしまった。
いや、犬だと思ったらさにあらず、鹿を見違えていた。
正直者だから鹿を動かすことなんてやらない、お奉行が「お前は奈良の生まれじゃないだろう、だから鹿を殺すと大変なことになるとは知らなかったのだろう」とか、耄碌して身体の調子が悪いのだろう、などと情状酌量しようとするのだが、「いえ、三代続いて奈良に住んで、風邪ひとつ引いたこともない」と困ったちゃん。
窮した奉行は、これは犬である、そうだろう、皆の者、と言い出す。
ひとり頑固な鹿守り役人が「鹿です」と譲らない。
「鹿にはお上から莫大な餌料が下されているはず。それでたっぷり餌を食べさせていればキラズなど喰わぬはず。
鹿守りの役人が餌料をピンハネして懐を肥やしているという噂も聞くが、、」と奉行はドスを利かす。
「犬か鹿か」「、、」「どうじゃ、犬か鹿か、ふたつにひとつじゃ!」、気迫の追及に、鹿守り役人真っ青になって、「犬です」。
六兵衛が好きな町役人たちは声を揃えて「犬です、さっきワンと鳴きました」死んだ犬は鳴かないって。
お裁きの場を、「至誠一如」と墨痕淋漓たる額がかかっているとか、居並ぶ役人たちを事細かに説明して、
芝居仕立てで語る。
つられた六兵衛が忠臣蔵の六段目をやってしまうご愛嬌もあって、実に楽しい。
(遠来の方から思いがけない頂きもの。手作り。サンチもちゃんと一員だって、嬉しいなあ)
東と西の落語の違いを感じながら、どっちも大笑いして、「鹿政談」ではホンワカして。
すてきな企画だった(冷房の利き過ぎだけが難あり)。
で、他の二つはなんなの?と訊くとパッと出て来なかったりして。
どう考えても目下俺の好きな落語家、ベスト5に入る喜多八がベスト5の座を窺おうかという露の新治との二人会、これが見られずにおかりょーか!
前座、なな子「味噌豆」
喜多八「仏の遊び」
暗いとか音響が良くないとか会場にケチをつけてから、前座時代の思い出、呑む打つ買うの修行についての馴染の噺。
貧しいなら貧しいなりに、粋な酒の呑み方ってのがあって、喜多八がいう、ツマミをやたら食うなんてのは野暮だ、とか、コップ酒を受け皿にこぼして注いでもらったときの作法とか、なにより、強い酒(喜多八は”根性が違う酒”=強くてマズイという)をグイグイ飲んで崩れないこと、、そういう呑み方は俺にも粋だった。
持ってる金では飲みたらないから、走って帰って酔いが回るようにしたこともある。
冷房が効きすぎたせいもあって、いつもより温まらない会場で20分近くマクラをやっていたらようやくエンジンがかかって、本題に。
阿弥陀様と一緒に女郎買いをする生臭坊主。
罰当たりメ!
先月も聴いたばかりだが、無条件に笑わせる。
坊主と阿弥陀様の掛け合いの妙。
新治「兵庫船」
見台に張扇、小拍子をもって登場、上方は大道芸やよって、こういうもので道行く人の注意をひきつけなあかんのです、パンパン!
もひとつ、厚労省の発表で落語聴きながら居眠りすると早死にするそうやさかい、パンパン!
金比羅参りの帰り道、兵庫で遊んで、あとは船で大阪に帰ることになった二人組。
舟のなかで足のやり場、互い違いに出したらええねン、ごつい脚やなあ、草鞋履いたまま出すな、乗り合わせた客同士で出身(出所)紹介、大和に紀州、因州、芸州、堂州、なんやそれ?へえ、堂島だんねん、道頓堀も道州か、わしはごう州、近江やね、いや豪州、、なぞかけやろうや、いろはのいの字とかけて船頭さんの手と解く、心は櫓の上、うまいなあ、、
なんとも賑やか切れ間なしに笑いのうず。
喜多八の会話に比べるとスピードがあってウッカリしていると置いていかれそうだ。
喜多八「青菜」
夏の定番、しょうがないからこれでお茶を濁します、と喜多八節。
旦那と植木屋、植木屋と半公、どちらの会話も会話の内容自体の面白さもあるけれど、二人の表情や早いテンポのなかにあるチョイとした”間”が面白さを盛り上げていく。
新治のケレンに対する抑制とでもいえるか。
せんじつ深川資料館で江戸の貧乏長屋には押入れがなかったと聞いてきたのに、この噺は押し入れにカミサンが入って、「奥や!」と呼ばれると汗みどろになって出てくるところが爆笑場面なのだ。
つまらないことが気になるのは落語を楽しむ態度としてはよろしくない、反省。
新治「鹿政談」
見台を取り払って登場、奈良出身の新治が奈良についてのマクラ。
奈良名物に、「大仏に、鹿の巻き筆、あられ酒、春日灯篭、、町の早起き」、なぜ「早起き」か。
奈良の鹿は神の使いの神鹿、殺した者は石子詰めの刑、一族郎党は島流しになる。
だから早く起きて家の前に鹿が死んでいたらこっそり隣に動かすのだ。
正直者の豆腐屋・六兵衛が暗いうちから豆腐を作っていると表で犬がキラズを食っている。
キラズとはおからのこと、ほら豆腐と違って切らないで食べる、おからなんて客の入りが悪いようでゲンが悪いでしょ。
六兵衛さん、カッと来て傍に遭った割り木を投げつけたら当たり所が悪かったと見えて犬は死んでしまった。
いや、犬だと思ったらさにあらず、鹿を見違えていた。
正直者だから鹿を動かすことなんてやらない、お奉行が「お前は奈良の生まれじゃないだろう、だから鹿を殺すと大変なことになるとは知らなかったのだろう」とか、耄碌して身体の調子が悪いのだろう、などと情状酌量しようとするのだが、「いえ、三代続いて奈良に住んで、風邪ひとつ引いたこともない」と困ったちゃん。
窮した奉行は、これは犬である、そうだろう、皆の者、と言い出す。
ひとり頑固な鹿守り役人が「鹿です」と譲らない。
「鹿にはお上から莫大な餌料が下されているはず。それでたっぷり餌を食べさせていればキラズなど喰わぬはず。
鹿守りの役人が餌料をピンハネして懐を肥やしているという噂も聞くが、、」と奉行はドスを利かす。
「犬か鹿か」「、、」「どうじゃ、犬か鹿か、ふたつにひとつじゃ!」、気迫の追及に、鹿守り役人真っ青になって、「犬です」。
六兵衛が好きな町役人たちは声を揃えて「犬です、さっきワンと鳴きました」死んだ犬は鳴かないって。
お裁きの場を、「至誠一如」と墨痕淋漓たる額がかかっているとか、居並ぶ役人たちを事細かに説明して、
芝居仕立てで語る。
つられた六兵衛が忠臣蔵の六段目をやってしまうご愛嬌もあって、実に楽しい。
東と西の落語の違いを感じながら、どっちも大笑いして、「鹿政談」ではホンワカして。
すてきな企画だった(冷房の利き過ぎだけが難あり)。
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旭のキューです。
at 2013-06-25 13:41
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こんど、スマホから投稿できたり、コメントできたりで大変便利になりました。いままで、コメントしかできませんでしたけど、撮影した写真からその場で投稿できるので、これからバンバンいきます。
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saheizi-inokori at 2013-06-25 14:30
旭のキューです。さん、楽しみにしてます。
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poirier_AAA at 2013-06-25 17:24
間違って鹿を殺してしまっても誤摩化そうとしない男、それをなんとか助けようとするお奉行様、こういう人達が出て来る話を聞くと心が軽くなりますね。
冷やし中華も美味しそう。今日はこちらは涼しいので、どっちかというとラーメン日和ですが。
冷やし中華も美味しそう。今日はこちらは涼しいので、どっちかというとラーメン日和ですが。
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たま
at 2013-06-25 19:56
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ほほえましい「頂きもの」の後方に覗く「水耕栽培の花瓶」は、ひょっとして、本格焼酎「いいちこ フラスコ瓶」の空き瓶かしら・・・?
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saheizi-inokori at 2013-06-25 21:13
poirier_AAA さん、今の融通の利かない、利かすと処分されるような役人にはできないですね。
ここの冷やし中華は知る人ぞ知るのです。^^。
ここの冷やし中華は知る人ぞ知るのです。^^。
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saheizi-inokori at 2013-06-25 21:13
たまさん、残念ながら普通の花瓶です。
焼酎党になったのですか?
焼酎党になったのですか?
三日間で、新治の高座を四席ですか!
独禁法違反です^^
独禁法違反です^^
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福
at 2013-06-26 07:07
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「秋田屋」さんは場所がいい。少し歩けばタワーと増上寺。
この辺りは散歩するのに素晴らしいところです。
最初のフォトの冷やし中華。大好物でして、こちらのも美味しそうですね。
冷やしには焼き豚かハムかという論争があるようですが。
この辺りは散歩するのに素晴らしいところです。
最初のフォトの冷やし中華。大好物でして、こちらのも美味しそうですね。
冷やしには焼き豚かハムかという論争があるようですが。
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saheizi-inokori at 2013-06-26 10:05
小言幸兵衛さん、へへ、申し訳ない、9月にはご一緒しましょう^^。
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saheizi-inokori at 2013-06-26 10:07
指をくわえながらこの記事を読んでます。
一言・・・、ズルイゾ!
一言・・・、ズルイゾ!
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saheizi-inokori at 2013-06-26 22:28
ほめ・くさん、ズルイ、かな^^。
申し訳ない、です。
申し訳ない、です。
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創塁パパ
at 2013-06-27 05:30
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「秋田屋」なつかしい。「兵庫船」「鹿政談」米朝の音源は聴いた事ありますが、新治師の演出聴いてみたかったなあ(笑)
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saheizi-inokori at 2013-06-27 10:14
創塁パパ さん、昨夜は米朝のCDを聴きながら寝ましたが、長いんですね。
新治くらいがちょうどいいです。
新治くらいがちょうどいいです。
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かおる
at 2013-06-28 15:27
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新治師匠、鈴本8月中席の中トリです!!!
http://www.rakugo.or.jp/2013-8naka-yoru.html
http://www.rakugo.or.jp/2013-8naka-yoru.html
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saheizi-inokori at 2013-06-29 00:01
かおるさん、絶対!何日行けるかな。
by saheizi-inokori
| 2013-06-25 13:27
| 落語・寄席
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Comments(16)